サキュバス (バルザックの短編小説)
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先行作品 Le Péché véniel の「著者」による語りを外枠とする枠物語の体で物語は構成される。
( Le Péché véniel ではフランストゥールのサン・マルタン修道院[注 1]が盗難に遭い、目ぼしい物は皆盗み出されるほどの被害を被る。現場には、盗人の仲間と思しき若く美しいアフリカ人の娘が一人、裸のまま残されていた。娘は仲間の罪を代表して背負わされ生きたまま火炙りにされるところであったが、これに老伯爵が強く反対して彼女をキリスト教徒へと改宗させることで命を救った。)
Le Péché véniel 発表後、「著者」はアフリカ人の娘の運命が書き残された、1271年の裁判記録を貸し与えられるという幸運に恵まれる。 その娘は生名をズュルマといい、老伯爵に命を救われてから十余年後、彼女がサキュバスであるとする住民たちからの申し立てを受けたサン・ガシアン大聖堂の参事会の裁きにより、火炙りの刑に処され非業の死を遂げていた。ところが判決の影には、ズュルマに同情的であった老宗教裁判官を、この機会を悪用して追い落とそうとする司教代理ジャン・ド・ラエの策謀があったのだ。大いに刺激を受けた「著者」はこの記録をフランス語へと翻訳する。