シュゴシン
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シュゴシン(英語: shugoshin)は染色体が細胞分裂によって2つの細胞に分配されるときに染色分体の分離を防ぐようなタンパク質である[1]。染色体は2つの染色分体(姉妹染色分体)で構成され、コヒーシン複合体によってつなぎ留められており、セパラーゼによってコヒーシンが分解されることで染色体分離が起こる。この染色体分離が適切な時期で起こるように、分離すべきでない時期にコヒーシンを保護する「守護神」のようなタンパク質である。シュゴシンは遺伝子名ではSGOと略され、SGO1とSGO2が存在する。SGO1とSGO2の機能は種によって変わるため、本項目ではSGO1・SGO2を「シュゴシン」としてまとめる。
シュゴシンは元々、ショウジョウバエの変異体のmei-S332 から発見された。mei-S332 では減数分裂の早期からコヒーシン複合体が失われることが確認されており、その原因タンパク質のMei-S332は第二減数分裂後期までセントロメアに局在することが明らかになった[2]。しかしながら、ショウジョウバエにて発見された当初は他の動物においてもこのような機構が働いているかどうかは未知であった[2]。
mei-S332 の作用を行う別の物質を発見するために渡邊らは分裂酵母の減数分裂を行う細胞からmRNAを得てcDNAライブラリーを作成し、減数分裂に異常を来すタンパク質を探索した[3]。その結果、減数分裂のコヒーシンを保護するようなタンパク質をコードする遺伝子が発見され、機能が守護神のようであったことから「シュゴシン」と名付けられた[2]。なお、発見当初は別物扱いされていたmei-S332 とシュゴシンであるが、実際には真核生物の間で保存された同一のタンパク質ファミリーに属することが明らかになっている[3]。
種類
ショウジョウバエや出芽酵母においては1種類のシュゴシンが知られているものの、分裂酵母や植物、アフリカツメガエル、哺乳類などにおいては2種類のシュゴシンが知られている[2][4]。
発見当初にショウジョウバエと酵母のシュゴシンが別物であると考えられたようにシュゴシンのオルソログはアミノ酸配列の類似性に乏しい。それゆえに機能的にも種間で比較すると多少異なってくる[4]。例えば、ショウジョウバエや酵母のシュゴシンは減数分裂でのみコヒーシン保護作用を持つが、脊椎動物のシュゴシンは有糸分裂においてもコヒーシン保護的に働くという違いがある[4]。つまり、進化的に見ると元々は減数分裂においてセンロトメア領域の結合を補助するという働きであったのが、脊椎動物からは有糸分裂においてもその能力を獲得した、と考えることができる[5]。
