シークレット・サンシャイン
イ・チャンドンによる2007年の映画
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背景・製作
1983年7月9日、イ・ユンサン誘拐殺害事件の主犯の元中学校体育教師の男の死刑が執行された[9]。翌日、各紙は死刑執行を報じる記事のなかで、男が拘置所の教会で洗礼を受けたこと、「信仰の道に導いてくれた神様に感謝する」という言葉を残したことなどを伝えた。小説家の李清俊(イ・チョンジュン)は、当時の住まいの近くで起こった事件であったことから興味を抱き、これに着想を得た短編小説「虫の話」を、季刊誌『外国文学』1985年夏号(第5号)にて発表した。1988年には単行本として刊行された[9]。イ・チャンドンは次のように述べている。
「(注・光州事件当時の軍司令官らを追及する)聴聞会が熱気を帯びていた1988年に『外国文学』という季刊誌で李清俊先生の『虫の話』を読んだ。『虫の話』は光州に関する内容が暗示すらないのに、私はそのとき光州に関する話として読んだようだった」[10][9]
イ・チャンドンは1987年に高校教師を退職し、1988年3月に韓神大学校国文学科に講師として赴任した頃だった。
それから約20年の時を経て、イ監督は「虫の話」を原作として本作を製作した。慶尚南道の密陽市を舞台とし、ロケも同市で行われた。
あらすじ
韓国ソウル在住だったイ・シネ(チョン・ドヨン)は幼い息子ジュンと共に密陽市に引っ越しを決めた。夫の故郷というだけで知り合いもいない密陽市に向かう道すがら車が故障し、修理屋のキム・ジョンチャン(ソン・ガンホ)を呼ぶシネ。シネ母子を市内まで送ることになったジョンチャンは、ピアノ教室を開く店舗付きの住宅の紹介を頼まれ、以来、何かとシネに付きまとい始めた。シネは夫を交通事故で亡くしていることがわかる。
ジュンを幼児教育の塾に通わせ、送迎バスの中で塾経営者のパク・ドソプ(チョ・ヨンジン)に家を建てる土地を探していると景気のいい話をするシネ。実は夫の生命保険は借金返済で消え、引っ越しなどでほとんど貯金も無いのだが、見栄を張り、投資なども話題にするシネ。シネを資産家だと信じたパクは誘拐事件を起こして金を奪い、ジュンを殺害した。
ピアノ教室の向かいで薬局を営むキム夫妻は熱心なキリスト教信者で、子供を失ったシネを執拗に勧誘した。シネに付いて教会通いを始めるジョンチャン。宗教に慰めを見いだしたシネは、刑務所に行ってパクに許しを与える決心をした。パクは「神に許された」と晴れ晴れとした顔で面会室に現れた。
シネは神が信じられなくなり、キリスト教の野外集会に赴いて、音響セットにCDを入れ、キム・チュジャの歌謡曲「コジンマリヤ」を大音響で流す(「嘘だ」という言葉が連呼される)。薬局の主人のキムを誘惑し、屋外で天を仰ぎながらセックスをしようとしたが、寸前で思い留まるキム。シネはジョンチャンの店にも行き、手を出す勇気もないと挑発したが、激怒されて逃げ出し、自分のために祈祷する信者たちの集会所に投石した。
家に帰り、リンゴをナイフで切りながら天を仰ぐシネ。「見た?」と手首を切ったが、外に飛び出したシネは通行人に助けを求め、精神科に入院した。
退院するシネを迎えに行くジョンチャン。伸びた髪を切りたいというシネをジョンチャンは手近な美容院に連れて行ったが、対応した店員は顔見知りのパクの娘だった。
家に帰り、庭に鏡を出して髪を切るシネ。追って来たジョンチャンは、甲斐甲斐しく鏡を持つのを手伝った。
キャスト
受賞とノミネート
| 賞 | 部門 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 第28回青龍映画賞 | 主演女優賞 | チョン・ドヨン | 受賞 |
| 第44回百想芸術大賞 | 作品賞 | 『シークレット・サンシャイン』 | ノミネート |
| 監督賞 | イ・チャンドン | 受賞 | |
| 主演女優賞 | チョン・ドヨン | ノミネート | |
| 脚本賞 | イ・チャンドン | ノミネート | |
| 第27回韓国映画評論家協会賞 | 女子演技者賞 | チョン・ドヨン | 受賞 |
| 第8回今年の女性映画人賞[注 2] | 演技賞 | チョン・ドヨン | 受賞 |
| シネ21今年の映画・映画人[注 3] | 今年の作品賞 | 『シークレット・サンシャイン』 | 受賞 |
| 今年の男優賞 | ソン・ガンホ | 受賞 | |
| 今年の女優賞 | チョン・ドヨン | 受賞 | |
| 今年の脚本賞 | イ・チャンドン | 受賞 | |
| 今年の撮影賞 | チョ・ヨンギュ | 受賞 | |
| 第60回カンヌ国際映画祭 | パルム・ドール | 『シークレット・サンシャイン』 | ノミネート |
| 女優賞 | チョン・ドヨン | 受賞 | |
| 第2回アジア・フィルム・アワード | 作品賞 | 『シークレット・サンシャイン』 | 受賞 |
| 監督賞 | イ・チャンドン | 受賞 | |
| 主演男優賞 | ソン・ガンホ | ノミネート | |
| 主演女優賞 | チョン・ドヨン | 受賞 |