ジャイロ効果
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回転軸保存性
ジャイロモーメント
自転する物体が存在する時、自転軸をひねるように物体を回転させると、反作用によって自転軸ともひねり軸とも異なる軸を周るように物体が回転するが、この反作用としての力のモーメント(トルク)をジャイロモーメントと呼ぶ。 [2][3]
発生原理

物体が角運動量で回転している時、その自転軸に垂直な角速度ベクトルでひねるように物体を回転させることを考える。
ここでは考えやすいように時刻のときが画面上向き(上から見ると反時計回りに回転)、が画面奥向き(画面上を時計回りに回転)とする。
は単位時間あたりだけ回転する(と考える)。においての差分距離は円弧に近似できるため、その変化率は
と書ける(は画面右向きの単位ベクトル)。
回転であるため変化率の向きはに垂直であり、画面右向きになる。この変化率の向きに注目して欲しい。右向きの回転ベクトルということは画面が手前に倒れ込むような回転になる。このような回転は意図していないが、にのひねり回転を与えると、結果としてにこのような変化を与えることになってしまうのだ(質点の慣性と運動変化を注意深く観察すると、慣性に逆らって手前に回転させる様子がより理解できる)。ここでオイラーの運動方程式を当てはめてみると、
となる外力モーメント(トルク)を加えていることになる。
このとき角運動量は素直に変化せず、反発力としてとなるジャイロモーメントが発生する。
これこそがジャイロモーメントである。の逆向きであるため、
である。ジャイロ効果によって物体がどちらに回転するかはこの式を参照すれば良い。自転ベクトルをひねりベクトルに重ねる方向に回転する(回転方向とベクトルの向きに注意)。
この通り外積であるため、ジャイロモーメントは自転軸およびひねり軸それぞれと直交して物体を回転させるため、一見して不思議な動きに見える。
これまでとの成す角度が直角の場合を考えたが、直角ではなく角度の場合はは円を描かずに円錐を描き、変化率は倍、つまり となるため、角度がの場合でも同じ式で表現できる。
二輪車の安定性
車体から外した自転車の車輪や落としたコインなどは、静止していればすぐにバランスを失って左右どちらかに倒れるが、転がっていると常に傾いた側にコーナリングしながらバランスを保ち、倒れない。これは地面などとの相互作用とジャイロ効果による。古くは箍廻しという子供の遊びもあった。
二輪車の安定性については、ジャイロ効果の寄与(ジャイロプリセッション)のほかに、乗員を含めた車体全体の慣性モーメント、ハンドルやキャスタ角、トレール量、フォークオフセットといったステアリング系の自己操舵作用などがあり[4]、ジャイロ効果だけによって説明できるものではない。車輪が小径で軽量であったり、走行速度が低いときほどジャイロ効果の寄与は小さい。前輪の横にもう一個の同じ車輪を地面と触れないように取り付け、それを正回転させながらでも、逆回転(ジャイロ効果はキャンセルされる)させながらでも、コーナリングに不具合は感じなかったという報告がある[5]。
ダートジャンプなどでは空中で車体や前輪をヨー軸方向に回すと、ジャイロ効果の働きで必ずロール軸方向にも回転するので、バイクを横に倒すことができる。初心者が不用意に空中姿勢を変えようとすると挙動を予測できないので危険である。