ジョルジュ・ディディ=ユベルマン
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ジョルジュ・ディディ=ユベルマン(Georges Didi-Huberman FBA、1953年6月13日生まれ)は、フランスの哲学者、美術史家。図像学およびイメージ理論の研究で国際的に知られる。
ジョルジュ・ディディ=ユベルマンは、1953年6月13日にサン=テティエンヌで生まれ、父方はチュニジア出身のセファルディ系、母方はアシュケナージ系ポーランドの家系である。彼の姉妹はコメディアンのエヴリン・ディディである。彼はローマのフランス・アカデミー(ヴィラ・メディチ)の研究員であり、フィレンツェのヴィラ・イ・タッティにあるベレンソン財団の居住研究員でもあった。
彼は1981年にパリ第7大学(Université Paris VII)で博士号を取得した。博士論文は、のちに『Devant l’image』(1989)へと発展した。
1990年より社会科学高等研究院(École des hautes études en sciences sociales:EHESS)に着任し、のちに研究指導教授(Directeur d’études)を務めている。
彼は1997年にパリのポンピドゥーセンターで「L’Empreinte」展(痕跡展)をキュレーションし、2001年2月10日~4月1日には「Fables du lieu」展をスタジオ・ナショナル・デ・アルス・コンテンポラン(トゥールコワン)でキュレーションしました。
研究・思想
ディディ=ユベルマンは、ルネサンス美術から現代芸術に至る図像学およびイメージ論を専門とし、美術史を哲学・精神分析・人類学と横断的に接続する理論家として知られる。とりわけ、ドイツの美術史家アビ・ヴァールブルクの思想を再評価し、イメージが歴史の中で反復し変容しながら「生き残る」という〈生存(survivance)〉の概念を現代的に再定式化した点に大きな特色がある。
彼は、イメージを単なる視覚的再現や様式の問題としてではなく、時間・記憶・欲望が交錯する場として捉え直した。精神分析(とくにフロイトやラカン)や哲学的思考を導入することで、図像の断絶や亀裂、残余といった側面を重視し、美術史の叙述を線形的発展史観から解放することを試みた。
主著『Devant l’image』(1989年;『イメージの前で』)では、美術史学における認識論的前提を批判的に検討した。
『L’Image survivante』(2002年:『残存するイメージ』)では、Aby Warburg の図像学を再読し、イメージの時間性についての理論を展開した。とりわけ、ヴァールブルクのアトラス構想に見られる図像の断片的配置を、歴史的時間を横断する思考方法としての「モンタージュ」として位置づけるとともに、パトスフォルメル(Pathosformel:情念の型。感情の身振りの定型。)の概念を再解釈した。
また『Images malgré tout』(2003年;『イメージ、それでもなお』)では、アウシュヴィッツで撮影された写真をめぐる議論を通して、表象不可能性と証言の問題を論じ、視覚表象の倫理的次元を問うた。
その思想は、とくにアビ・ヴァールブルク研究の再活性化に大きく寄与したほか、ジャック・ランシエールら同時代の思想家との理論的対話を通じて、視覚文化論や記憶研究、ホロコースト表象論の議論に参照されている。