ストロング・プログラム

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ストロング・プログラム英語: strong programme)ないし強い社会学(strong sociology)は、科学的知識の社会学(SSK)の一形態であり、とくにデイヴィッド・ブルア英語版[1]バリー・バーンズ英語版ハリー・コリンズ英語版ドナルド・A・マッケンジー[2]、ジョン・ヘンリーと結びつけられる。ストロング・プログラムの科学技術社会論への影響は比類のないものとされている[3]。主としてエディンバラを拠点とするこの学派は、共有されたパラダイムへの忠誠によって結びつけられた科学共同体の存在が、通常の科学的活動の前提条件であることを示すことを目指す。

ストロング・プログラムは、社会学の応用を骨相学のような「失敗した」あるいは「誤った」理論に限定する「弱い」科学社会学に対する反動である。失敗した理論は、隠れた政治的・経済的利害のような研究者の偏りを引き合いに出すことによって説明されるであろう。社会学は、自然の事実を明らかにしたから成功した、成功した理論にとっては周辺的にしか関連しないことになる。ストロング・プログラムは、「真なる」科学理論も「偽なる」科学理論も同じように扱われるべきだと提案した。両者ともに、文化的文脈自己利害のような社会的要因ないし条件によって引き起こされる。人間の認知のうちに存在するものとしてのすべての人間の知識は、その形成過程に何らかの社会的構成要素を含んでいなければならない。

特徴

デイヴィッド・ブルアによって定式化されたとおり[4]、ストロング・プログラムには四つの不可欠な構成要素がある。

  1. 因果性:ある種の知識への主張をもたらす条件(心理的・社会的・文化的)を検討する。
  2. 不偏性:成功した知識主張も成功しなかった知識主張も検討する。
  3. 対称性:成功した知識主張と成功しなかった知識主張の両方に対して同じタイプの説明を用いる。
  4. 再帰性:社会学それ自身にも適用可能でなければならない。

歴史

ストロング・プログラムはエディンバラ大学の「科学研究ユニット」で生まれたので、時にエディンバラ学派と呼ばれる。しかし、ハリー・コリンズと結びつけられる、類似の提案をするバース学派もある。歴史的アプローチを強調するエディンバラ学派と対照的に、バース学派は実験室や実験のミクロ社会学的研究を強調する[5]。しかしバース学派は、いくつかの根本的問題でストロング・プログラムから離れる。コリンズの学生トレヴァー・ピンチ英語版や、オランダの社会学者ウィービー・バイカー英語版によって展開された技術の社会的構築(SCOT)アプローチでは、ストロング・プログラムは技術へと拡張された。世界中の科学技術社会論プログラムには SSK の影響を受けた学者がいる[6]

批判

科学的知識を社会学的観点から研究するために、ストロング・プログラムは急進的相対主義の一形態に与してきた。言い換えれば、「真理」についての制度化された信念の社会的研究において、「真理」を説明資源として用いるのは賢明でないであろう、と論じる。そうすることは(相対主義者の見解によれば)答えを問いの一部に含めてしまうことになり[7]、歴史研究に対する「ホイッグ的」アプローチ、すなわち人間の歴史を真理と啓蒙への不可避な行進とする物語を提唱することになるであろう。

物理学者アラン・ソーカルジャン・ブリクモンは1997年に『知の欺瞞』と題するストロング・プログラムへの批判を発表し、それをより広い社会構成主義の概念と結びつけた[8]。彼らの見方では、極左ポストモダニストは、科学的論争を善(進歩主義)と悪(保守主義)のあいだの政治的闘争として、すなわちマルクス主義的な階級闘争の一形態として作り直そうとした。ソーカルとブリクモンの見方では、これは啓発するのではなく、むしろ覆い隠す袋小路に通じる[9]。彼らは、「ストロング・プログラム」の主要な誤りは、科学者が自らの発見を妥当性確認するために、社会的圧力ではなく主として自然を、また数学者が論理を用いる、ということを無視している点にある、と主張する[9]。彼らは、ファイヤアーベントラトゥールラカンイリガライクリステヴァ(第3章)、ドゥルーズのような学者が、科学的合意がどのように達成されるかについての彼らの理論を補強するために、物理科学や数学からの無意味な隠喩を適用しようと繰り返し試みた、と論じた[9]

哲学者ジョセフ・アガシ英語版は、社会的状況のみに言及することによって科学を説明することは不可能であり、歴史にそれを要求することは非合理的である、と論じた[10]

マルクス・ザイデルは、ストロング・プログラムの支持者がその相対主義のために提供する主要な議論——決定不全性と規範循環性——を攻撃する[11]。ストロング・プログラムが気候変動否認を煽動した、とも論じられてきた[12]

脚注

関連項目

文献

外部リンク

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