スラブウィンドウ
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地質学において、スラブウィンドウ(英:Slab window)とは、沈み込み帯において、中央海嶺が沈み込むことで海洋プレートの下部に形成される溝のことである。これは、海嶺におけるプレートの発散と、沈み込み帯における収束が継続することで、海嶺そのものが沈み込むことにより生じる[2]。
スラブウィンドウが形成されると、上盤の地殻の下にある剛体リソスフェアマントルが存在しなくなり、代わりに高温のアセノスフェアマントルが上昇してくる。このため、マントル内で異常な熱的・化学的・物理的変化が生じ、従来の地殻変動や火成活動に大きな影響を与える[2]。スラブウィンドウの存在は、主に地震波トモグラフィや地熱流量の研究によって同定される[3]。
スラブウィンドウが発達すると、その地域のマントルは高温かつ乾燥状態になる。水分が減少することで弧状火山活動は弱まり、場合によっては完全に停止する。これは、沈み込むスラブからの脱水によってマントルウェッジが水和され、マグマが生成されるというプロセスが妨げられるためである。
その代わりに、スラブウィンドウを介した火成活動が発生し、以下の要因によってマグマが生成される可能性がある。
- 温度上昇
- マントルの循環による上盤・下盤マントルの相互作用
- 沈み込んだスラブの縁辺部の部分融解
- 上盤における拡張運動
また、スラブウィンドウを通じて上昇するマントルが減圧融解を引き起こすこともある。これにより生成されるマグマは、カルクアルカリ岩などの典型的な沈み込み起源マグマとは化学組成が異なる。
形状
例
北アメリカ・コーディレラ造山帯は、スラブウィンドウが大陸プレートに与える影響を示す好例として研究されている。新生代以降、ファラロンプレートの沈み込みに伴う断片化によってスラブウィンドウが形成され、それが北アメリカプレート内の異常構造を生み出した。
その影響として、特徴的な前弧火山活動やプレート内の拡張が発生し、ベイスン・アンド・レンジ地帯の形成に寄与した可能性がある[6][7][8]。
カナダ・ブリティッシュコロンビア州南西部のペンバートン火山帯では、2900万年前から680万年前にかけて、スラブウィンドウの北方移動に伴い、火山活動の中心が北上した可能性がある[7]。
新生代における北アメリカの化石スラブウィンドウに加え、環太平洋地域には、現在もスラブウィンドウが形成されつつある地域が存在する。例として、カリフォルニア州、メキシコ、コスタリカ、パタゴニア、南極半島などが挙げられる[9]。