ゾンビ企業
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ゾンビ企業(ゾンビきぎょう、あるいはゾンビ会社、英語: Zombie company)とは、経営が破綻しているにもかかわらず、金融機関や政府機関の支援によって存続している企業・会社のことである。ゾンビとは西アフリカ、カリブ海、米国南部に広がるヴードゥー教の力で死人のまま蘇った人間のことである。それになぞらえ、評論家には好んで使われている[1]。
ゾンビ企業は、売上は出しながらも、経営費、固定費(賃金、金利、家賃)を支払った後には、借入金の利子を支払う分の資金しか残らないような多額の負債を抱えた企業である[2]。ゾンビ企業は一般的に、事業の継続を金融機関(債権者)などの支援に依存しており、企業の存続のために事実上終わりのない支援を受け続けることになる。
国際決済銀行(BIS)のレポートでは「採算が取れていないが、売却や破産といった事業撤退をせず市場にとどまる企業」と定義しており、判別には以下2つの基準を満たすものとしている[3]
- 持続的な収益性の欠如、すなわち負債に対する利払いをカバーするのに不十分な利益(インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満)。
- 低い株式市場評価、すなわち企業資産の市場価値と簿価比率が同業他社と比較して低い(トービンのqが相対的に低い)ことによって示される、将来の成長性の低さ
日本
「ゾンビ企業」という用語は、日本でバブルが崩壊した後の「失われた10年」として知られる1990年代に、金融機関によって支援された日本企業について海外の経済学者、批評家、メディアが使い始めたといわれている。日本の金融機関は、経営体質の弱いまたは経営に失敗した企業を引き続き支援した[4]。小売業者のダイエーは、1990年の大暴落に至るまでの期間に大きく拡大した大企業の一例であり、異なった状況下では破産管財人の管理下に置かれるか倒産していただろうと予想される。経済産業大臣平沼赳夫が、96,000人の従業員を抱える会社は「失敗するには大きすぎる」と述べたと伝えられた[4][5]。
その後、2008年の「サブプライム住宅ローン危機」や2020年からの新型コロナウイルスによる政府支援を受けている企業に関しても、この言葉が使われた[6]。
上場会社でも、東京電力ホールディングスや東芝など[7]、監査法人の承認を得られず、決算資料を提出できない巨額負債を抱える企業に対して用いられることがある。
- 東京電力ホールディングス[7] - 福島第一原子力発電所事故で日本国政府が原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて支援
- 東芝[7] - 粉飾決算で医療機器部門と半導体部門を売却。政府系金融機関の産業革新機構と日本政策投資銀行が支援。
2019年の日本経済新聞記事では、ゾンビ企業を「借金の利払いを利益で賄えていない」企業と定義し、この定義に沿う企業が金融緩和の影響で、2018年度には世界で10年前より2倍超の約5300社に上ると報じた[8]。