タプー島
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タプー島は石灰岩で構成されており、砂岩などでできた海食柱と比べて海水や雨水による侵食を受けやすい。通常の雨水は大気中の二酸化炭素などが溶存しており弱い酸性を示すため、石灰岩を溶解させる性質がある。こうした作用により、周辺の石灰岩とは異なり、海や雨水などによる侵食から生き残り現在の姿になったと考えられている[1]。高さは約20メートルである。断面はおおよそ円形で、根元は直径約4メートル、上部は約8メートルで上方が太い形状を持つ。この形状は潮の満ち引きによる侵食による影響とされる。タプー島は、ピンカン島(เขาพิงกัน、カオピンカン)の北部から西に約40メートル離れた海上に位置している。
タプー島を形成する石灰岩は、ペルム紀に堡礁(サンゴ礁)で生成されたと考えられている。その後、地殻変動によって隆起し、海面上昇によって再び海中の影響を受けた。さらに、風、波、流水、雨、潮の満ち引きなどの侵食を受け、現在の形状になったとされる。タプー島のような独特の形状を持った岩は、同様の条件下で形成されることがある[1]。
名称
コ・タプーの、コ(เกาะ)はタイ語で「島」を意味する。「タプー」は「釘」を意味し、「釘島」または「大釘島」と訳される。この名称は島の形状に由来する[2]。
伝説
タプー島には、1つの伝説が存在する。その伝説によれば、昔、ここに1人の漁師が住んでおり、彼は海に出るといつも沢山の魚を採っていた。しかし、ある日、何度網を入れても全く魚が採れず、彼の網には1本の釘が引っかかっただけであった。彼はその釘を海に投げ捨てたのだが、網を入れてみると再びその釘が引っかかってしまった。怒り心頭の彼は、持っていた剣を渾身の力で振るって、その釘を真っ二つに切断した。この衝撃で、切断された釘の半分が吹っ飛んで海に落ち、それが、このタプー島になったのだという[3]。
別称
1974年に公開されたジェームズ・ボンドの映画『The Man with the Golden Gun(007 黄金銃を持つ男)』が、タプー島や、すぐ隣に位置するピンカン島で撮影された[4]。この影響により、タプー島は「ジェームズ・ボンド島(James Bond Island)」とも呼ばれるようになり、観光客のガイドもこの名称を使用するようになった。タプー島という本来の名称は、地元の人が稀に使う程度になっている[5]。
映画公開以前は観光客は少なかったが、この映画でジェームズ・ボンドの敵として登場したフランシスコ・スカラマンガ(Francisco Scaramanga)が、このタプー島を隠れ家として使ったことが契機となり、映画公開後は観光地として広く知られるようになった[6]。これに伴い観光客がゴミを持ち込むようになり、タプー島やすぐ近くのピンカン島周辺にゴミが散乱するなど、環境への悪影響も指摘されている[5]。その後、1981年にタプー島はパンガー湾海洋国立公園に組み入れられた[4]。1998年からは、タプー島に観光用のボートを接近させることが禁止された[7]。なお、海食柱は侵食の進行により崩壊する可能性がある地形であり、他の海食柱でも崩壊が確認されている。タプー島は石灰岩でできているため、雨水による侵食の影響も受けやすい。こうした中で、タプー島の侵食を抑制し、崩落を防ぐための取り組みも存在する[7]。