- 駒とチェスボードに限定したルールを、「狭義のチェスのルール」とする。
- チェスの公式戦だけでなく、ブリッツ[1]やライトニング[2]、インターネット・ゲーム、郵便チェス、そのほか各種コンピュータ対局まで、あらゆるゲームが対象となる。
チェスセットとチェス・クロック
- チェスボード(チェス盤)
- 縦横8マスずつに区切られ、濃色(「黒マス」と呼ぶ)と淡色(「白マス」)で市松模様に塗り分けられた正方形の盤。
- 駒 (Chessmen)
- 白・黒のキング・クイーン・ビショップ・ナイト・ルーク・ポーンの6種類計32個。それぞれ動き方が異なっている。このチェスボードと駒をあわせて、「チェスセット」と呼んでいる。
- ゲームは2人のプレイヤーにより、チェスボードの盤上で行われる。
- 白が先手、黒が後手となる。
- プレイヤーは、交互に盤上にある自分の駒を1回ずつ動かす。(トランプなどのような)パスをすることはできない。
- 双方が1回ずつ動かしたときに1手と数える。
- 自分の手番の時に、味方の駒範囲に敵の駒があれば、それを取ることができる。敵の駒を取った駒は、取られた駒のあったマスへ移動する。
- ただし、ポーンだけは相手の駒を取れる範囲と、駒を取らずに動ける範囲が異なる。さらに、アンパッサンという例外的な手も存在する。
- 取られた駒はゲーム終了まで盤上から取り除き、チェスボードの右側(または左側)の手前に置く[3]。
- チェスの駒はナイト、およびキャスリング時のルークを除き、他の駒を飛び越して移動することはできない。
- 相手のキングを自分の駒の効きに入れる手を「チェック」と呼ぶ。
- いかなる場合でも、キングは敵の駒が効いている場所に移動することはできない。(自らチェックされに行くような手は指せない)
- 相手にチェックをかけられた直後の手番は、必ずチェックを解消できるようにしなければならない。
- チェックをかけ、相手が次の手でチェックから逃れることのできない状態を「チェックメイト」と呼ぶ。双方のプレイヤーは、相手のキングを追い詰めてチェックメイトすることを目指す。
駒の初期配置
| a | b | c | d | e | f | g | h | | | 8 | | 8 | | 7 | 7 | | 6 | 6 | | 5 | 5 | | 4 | 4 | | 3 | 3 | | 2 | 2 | | 1 | 1 | | a | b | c | d | e | f | g | h | |
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- チェスボードは、右下が白マス(淡色のマス)になるように置く。
- 駒の初期配置は、右図のようになる。キングの初期配置は白・黒ともe列、クイーンの初期配置は白・黒ともd列である。チェスの白と黒の配置は線対称の関係であり、鏡のように向かい合っている。
- キングはK、クイーンはQ、ルークはR、ビショップはB、ナイトはNで表される。
- 通常ポーンPは表記しない。
- 公式競技としてのチェスには、将棋のような駒落ちはない。どんなに実力が離れていても、同じ条件での対局となる[4]。
Algebraic notation (代数式表記法)
- 盤面を図として表示する場合、通常は下側が白(先手)で上側が黒(後手)となる。
- 白から見てチェスボードの左下のマス(a1)を基点とし、マス目の位置を表す座標が決められている。
- 横方向(→)に a、b、c、d、e、f、g、h
- 縦方向(↑)に 1、2、3、4、5、6、7、8
- 縦の列のことを「ファイル」と呼び、横の段のことを「ランク」と呼ぶ。
- 縦 : aファイル、bファイル、cファイル...hファイル
- 横 : 第1ランク、第2ランク、第3ランク...第8ランク
- チェスボードのマスや駒の動きを表す方法は、上記の「代数式表記法」以外に「記述式表記法」もある。詳細は棋譜#記述式を参照。
- 図1 キング : 縦・横・斜めのすべての方向に、1マスだけ移動できる。
- 図2 クイーン: 縦・横・斜めのすべての方向の任意のマス(どこでも好きなマス)に移動できる。
図1 キング
| a | b | c | d | e | f | g | h | | | 8 | | 8 | | 7 | 7 | | 6 | 6 | | 5 | 5 | | 4 | 4 | | 3 | 3 | | 2 | 2 | | 1 | 1 | | a | b | c | d | e | f | g | h | |
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図2 クイーン
| a | b | c | d | e | f | g | h | | | 8 | | 8 | | 7 | 7 | | 6 | 6 | | 5 | 5 | | 4 | 4 | | 3 | 3 | | 2 | 2 | | 1 | 1 | | a | b | c | d | e | f | g | h | |
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- 図3 ルーク : 縦・横の方向の任意のマス(どこでも好きなマス)に移動できる。
- 図4 ビショップ : 斜め方向の任意のマス(どこでも好きなマス)に移動できる。
- 図5 ナイト : 最大8箇所のうちの任意のマス(どこでも好きなマス)に移動できる。アルファベットの「Y」の字を、4方向に広げたような動きである。ナイトは敵味方を問わず他の駒を飛び越すことができる。
図3 ルーク
| a | b | c | d | e | f | g | h | | | 8 | | 8 | | 7 | 7 | | 6 | 6 | | 5 | 5 | | 4 | 4 | | 3 | 3 | | 2 | 2 | | 1 | 1 | | a | b | c | d | e | f | g | h | |
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図4 ビショップ
| a | b | c | d | e | f | g | h | | | 8 | | 8 | | 7 | 7 | | 6 | 6 | | 5 | 5 | | 4 | 4 | | 3 | 3 | | 2 | 2 | | 1 | 1 | | a | b | c | d | e | f | g | h | |
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図5 ナイト
| a | b | c | d | e | f | g | h | | | 8 | | 8 | | 7 | 7 | | 6 | 6 | | 5 | 5 | | 4 | 4 | | 3 | 3 | | 2 | 2 | | 1 | 1 | | a | b | c | d | e | f | g | h | |
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- 図6 ポーン(前進) : 前方(相手側)に1マスずつ進むことができる。後戻りはできない。すぐ前のマスに別の駒がある場合は、進むことができず、それが敵の駒でも取ることはできない。
- 図7 ポーン(初手) :あるポーンが初めて動く手に限り、前方へ2マス進むことができる(1マスでもかまわない)。2マス進む場合も他の駒を飛び越えることはできず、2マス先の敵の駒も取れない。
- 図8 ポーン(駒の取り方) : 斜め前方に敵の駒があった場合、駒を取ってそのマスに進むことができる。両方の斜め前に敵の駒がある場合は、どちらを取るか選ぶことができる。
図6 ポーン(前進)
| a | b | c | d | e | f | g | h | | | 8 | | 8 | | 7 | 7 | | 6 | 6 | | 5 | 5 | | 4 | 4 | | 3 | 3 | | 2 | 2 | | 1 | 1 | | a | b | c | d | e | f | g | h | |
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図7 ポーン(初手)
| a | b | c | d | e | f | g | h | | | 8 | | 8 | | 7 | 7 | | 6 | 6 | | 5 | 5 | | 4 | 4 | | 3 | 3 | | 2 | 2 | | 1 | 1 | | a | b | c | d | e | f | g | h | |
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- 自由対局の試合では、「トス」により先手・後手を決めている。
- 片方の競技者が、相手に見えないように両手に白と黒のポーンを一つずつ隠し持つ。そして両手を前に出す。
- もう一方の競技者が、相手の右手か左手かを選ぶ。(例:どちらかを指でさす、どちらかを口で言う)
- 両方の手を開ける[5]。選んだ手の中にあった色の駒を使う。
- 公式戦などで同一の相手と複数回対局する場合は、両者が白・黒を交互にもつ。通常は偶数回の対局を行う。
黒がチェックメイトされた状態
| a | b | c | d | e | f | g | h | |
| 8 | | 8 |
| 7 | 7 |
| 6 | 6 |
| 5 | 5 |
| 4 | 4 |
| 3 | 3 |
| 2 | 2 |
| 1 | 1 |
| a | b | c | d | e | f | g | h | |
- チェックをかけ、相手が次の手でチェックの回避ができない状態にすれば勝ちである。この状態を「チェックメイト」と呼んでいる。
- 持ち時間制の場合、一方が時間切れを審判に申し立てをすれば、持ち時間が残っている側の勝ちになる。双方の対局者が時間切れに気づかなければ、そのまま(気づくまで)ゲームは続行される。
- 一方のプレーヤーがリザイン(resign, 投了)することによってもゲームに決着がつく。
- 通常リザインは自分の手番に行なうが、相手の手番でもルール違反ではない。
- 一般的なリザインの意思表示の方法は次の通り。
- はっきりと相手に「I resign. リザインします」、日本人同士なら「負けました」「(指し手が)ありません」「参りました」などことばで伝える。
- 自分のキングを倒す。(または、倒す振りをする。)
黒がステイルメイトされた状態(黒の手番)
| a | b | c | d | e | f | g | h | |
| 8 | | 8 |
| 7 | 7 |
| 6 | 6 |
| 5 | 5 |
| 4 | 4 |
| 3 | 3 |
| 2 | 2 |
| 1 | 1 |
| a | b | c | d | e | f | g | h | |
以下の場合は、「自動的」にドローとなる。
- ステイルメイト : 自分の手番で、チェックされてはいないが、ルールに従った手が一つもない状況を指す。
- 合意のドロー: 片方がドローを提案し、もう片方がそれを承諾した場合。
- デッド・ポジション(戦力不足):駒が少なくなりすぎて、双方が協力してもチェックメイトが不可能な状態を言う。次の駒の組合せが生じたら即座にドローとなる[6]。
- キング 対 キング
- キング 対 キング + ビショップ1個
- キング 対 キング + ナイト1個
- キング + ビショップ1個 対 キング + ビショップ1個(ビショップどうしが同じ色のマスを動く場合)[7]
以下の場合は、一方のプレーヤーの「申請(クレーム)」によりドローとなる[8]。
チェスでは反則の手(illegal move)を指しても、即座に負けとなることはない。故意であっても過失であっても反則の手は指し手とみなされず、そのつど盤面を元に戻して指し直しになる。
- キングが自ら敵の駒の効きに入ったり、他の駒を動かした結果自動的に相手のチェックが成立するような自殺手
- チェックの無視または放置
- その他、基本ルールに反する手[9]