ツルコウジ
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特徴
常緑性の小さな小低木[1]。茎の下部は地表を這って伸び、先端近くは斜めに立ち上がって伸びるものの高さは10~15cmにしかならない。茎には一面に褐色の柔らかい毛が生えている。葉は互生するが、往々にして4~5枚がまとまって着き、輪生状になる。匍匐する茎にも所々に葉がついている[2]。葉柄は短くて長さ5~10mm、柔らかい毛が密生している[3]。葉身は楕円形で長さ2~3cm、暗緑色で膜質で、葉の先端は尖っており、縁には粗い鋸歯がある。葉の基部は幅広いくさび形になっている[4]。また表裏の両面ともに粗い毛があり、羽状の葉脈が伸びている。
花期は5~6月で、茎にある薄膜質の鱗片葉の腋から細い花序柄が伸び出し、その先端が2~3本に分岐してそれぞれの枝の先端に花が着く。花は白くて下向きに咲く。萼は5つに割れており、裂片には毛があって先が尖っている。花冠は広い釣鐘型をしており、先端側で5つに裂けて、その裂片は狭卵形で広く開き、先端は尖っている。花冠の径は6~7mm[5]。雄しべは5個あり、花糸はごく短い。子房は小さく柱頭は直立している。果実は小さな球形で冬に赤く熟し、春まで残っている。果実の径は5~6mm[6]。
和名は茎が蔓になるヤブコウジの意である。
- 林床の群落
- 少しだけ樹木に這い上っている様子
- 地表を這う様子
- 1本の枝を取りだしたもの
- 未熟な果実
- 花序枝の基部
分布と生育環境
分類など
ヤブコウジ属には世界に約250種があり、日本には本種を含めて8種類ほどが知られる[10]。この中には直立する低木も這い回る小低木も含まれる。本種のように這うものとしてはよく知られているのがヤブコウジ A. japonica である。分布域もほぼ重なっており生育環境も似ていて、往々に両方が見られることもある。区別点としてはこの種は茎や葉に粒状の毛があるが本種のような長い毛は生えていないことが挙げられる。また葉の色は深緑で光沢があり、葉質も厚みがある。
より本種に似ているのはオオツルコウジ A. walkeri で、本種とヤブコウジの中間的な形をしており、この2種の雑種であるとの説もある[11]。本種やヤブコウジと同様に匍匐する小低木で、本種と同様に茎や葉に褐色の長い毛がある。他方で匍匐茎には葉をつけず、葉は長さが13cmに達することもあり、また葉質は革質と厚くて丈夫で、縁には細かな鋸歯があり、その辺りはヤブコウジの方に似ている。本州の千葉県以西、九州、伊豆諸島、トカラ列島から奄美大島、徳之島まで分布し、これは本種の分布にほぼ近い。
種内変異
琉球列島のものは変種として区別する説があり、その場合リュウキュウツルコウジ var. liukiuensis と呼ぶ[12]。違いとしては基本変種に対して全体に大柄であることで、背丈は30cmに達することがあり[13]、また1つの花序につく花の数は6個までつく[14]。