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芸能人

芸能を職業とする人 From Wikipedia, the free encyclopedia

芸能人(げいのうじん)は、芸能を職業とする人[注 1]。明確な基準は存在しないが、慣例として、社会的信用がある芸能事務所への所属によって社会的に芸能人であると認識される[6][7]。芸能デビューに向けてオーディション応募中の人や、アマチュアや、ブログ・SNSでのみ人気がある者は、たとえ知名度があったとしても一般人である[8][9][10]。したがって、芸能活動を行ったからと言って直ぐに芸能人として扱われるわけではない。日本以外では「芸能人」に相当する総称が存在しない国もあり、そのような国では芸能の各分野別に言葉を使い分ける[注 2]。

後述するように社会的需要が少ない職業であるため芸能人になることは難しく、辛うじて若年層と呼べる20代後半までに概ね10,000人が挑戦して数人が芸能デビューできるかどうかといった程度の厳しいオーディションを勝ち抜く必要がある。また芸能デビュー後に有名人になり、人気を維持するためには、選りすぐりの才能がしのぎを削る更に過酷な競争(出演オーディションなど)を勝ち続けなくてはならず、競争に勝つ前提として運と実力の両方が必要である[11][12]。芸能事務所に所属できたとしても、出演者を問わない素性の分からない依頼を受け続けるなどして客観的に認められる実績が少ない場合、個人としての社会的信用が得られないため「自称芸能人」として扱われる[13]。また、芸能を志しても売れない場合は年収100万円にすら届かないことが普通である[14]。

概要

日本語の「芸能」は広く流通している表現であり、「芸能界」や「芸能人」などの派生語もまずは大衆文化(大衆芸能)を想起させることが多い[15]。ただし、能や歌舞伎などの伝統芸能の枠組みもあり、「芸能」の表現は必ずしも大衆文化に限定して用いられているわけではない[15]。

英語ではTV star,Movie star,Comedian,TV Personalityなどの職種別の呼び名はあるが、日本語の「芸能人」のような漠然とした単語による総称はない[16][17][注 3]。なお、「芸能」の概念は英語のパフォーミング・アーツ(performing arts)の訳語として用いられることがある[15]。パフォーミング・アーツ(performing arts)は日本語に直訳すると「上演芸術」となり音楽、舞踊、演劇などをすべて含む概念である[15]。ただ、日本では「芸能」という語が広く流通しており、「上演芸術」という語は一般的には用いられていない[15]。

芸能という職業

芸能は「将来なりたい職業」では常に上位に入る[18]など、大衆文化を享受する人々にとっては依然として人気の職業の1つである。ただし、競争倍率を考慮すれば非常に難易度が高い職業でもある。知名度が上がり人気のある芸能人になることができれば仕事や収入も増える。結果、ファッション、ライフスタイル(生き方など)、言動などが常に大衆に注目されるようになり、ときとしてカリスマ的な影響力を及ぼすことになる。有名になれば、自分の悪い部分や、芸能デビュー以前の過去の逸話やプライベートなことなどの不都合な過去(整形前の顔写真、本人の公表していない生い立ちや出身校、家族・親族や交友関係など)まで暴露されることもある。しかし、良くも悪くも話題にならないと世間から忘れられる危険がある。また、大衆や世間に与える影響が大きいため、他の職業以上に自己管理が要求される。このため人気のある芸能人であろうとモラル違反、マナー違反、不法行為、違法行為などのスキャンダル(及びそれらの疑いを招く行動)があると自身の活動停止や引退を招くことになる。芸能人のキャリアと業界全体(及びスポンサーの企業)の信用を傷つけるスキャンダルの典型例は浮気[19]や不倫[19]や暴力[20]である。人気のある芸能人は極めて稀な存在であり、ほとんどの芸能人は知名度が低く少数のファンのみを相手にして活動を行うことになる。芸能活動の過程で、芸能人と同様に個人の才能を発揮して社会を牽引する政治家や実業家と交流が持てる場合もあり、芸能以外の分野に進出できる場合もある(特にタレント政治家への転身はよく知られている)[21]。

継続性

芸能界は一般社会の流行り廃りの影響によって人の入れ替わりが激しい社会となっており、芸能人として成功した後も継続性やセカンドキャリアを常に考える必要がある。人脈や固定ファンを持ち着実な活動を続けるベテランは、全盛期のような人気が無くなっても後進の指導を行ったり、自身のネームバリューや人脈を使って実業家となる場合もある。しかし、一般的には人気を失った場合、引退して一般社会に戻り、芸能界との関わりも失うことになる。少数ではあるが、元芸能人のセカンドキャリアを支援する企業は存在し、主に元芸能人の一般企業、エンタメ企業への就職を支援している[22]。

契約形態

芸能人は芸能事務所と契約を結んでいることが多いが、その多くはマネジメント契約であるため、一般社会の雇用契約には該当しない。ただし、ニュースでタレントと芸能事務所の契約終了が報じられる場合、不祥事により芸能事務所の意思決定として契約を解除されていた場合は「解雇」、自身の都合による契約終了であれば「退社」と報道されている。芸能事務所は個人事業主である芸能人にスケジュール管理を任されると、テレビ出演などの仕事を与え、ギャラの一部を芸能事務所がマネジメント料として貰い、残りを給料ではなく報酬として与える契約をすることが多い。ただし、悪徳な芸能事務所に所属した場合、詐欺あるいは多額のピンハネが行われ、報酬が極めて少なくなる可能性がある事には注意する必要がある[23][24][25][26][27][28]。

資産形成

芸能人は基本的に個人事業主[29]であるため、老後の公的年金は国民年金しか受給できない点が特に大きな不安となっており、一般企業の正社員が加入する厚生年金の分まで自身の貯蓄で賄わなければならないため、一般企業の正社員以上に自力での老後資金の形成を行う必要がある。

歴史

近代以前の芸能

古くは、芸能は神事から発達したものであった。神懸かりの巫女の口から発せられる神託の言葉が人々への言祝ぎになったのが神楽などの原形である。日本土着の宗教である神道は大嘗祭、新嘗祭などにみられるように農耕信仰の要素を持っており、田楽などが派生し世阿弥らによって能・狂言などに受け継ぎ発展した。

農村社会が永らく続いた日本においては、成人するまでに村社会において必要なさまざまな実力を身につけることが求められ、周囲の仲間と同等の仕事、例えば重い米俵を担げる、同じ早さで稲刈りができるといった必要な能力を身に着け損ねた者は、大工や鳶といった職業集団や旅芸人などへ身売りされるといった側面もあった。江戸時代には武士・農民・町人(士農工商)の身分外の存在として差別される形となって記録されている。同時代、歌舞伎が反社会的なものと見なされながらも発展し、遊郭の遊女は芸能的才能を持っていたため「芸者」とも呼ばれ、外国語で「ゲイシャ」というイメージの元となっている。

現代のようにマネジメント等を専門に引き受ける会社がなかった時代、基本的には師匠に弟子入りし、師の元で研鑽に励むことで芸を受け継ぎ、自分のものにしてゆくのが典型的な方式であったが、世阿弥の例に見られるように時の将軍の覚えめでたく、破格の待遇をもって当時最高峰の知識人であった一流の貴族から直接教養を授かるチャンスに恵まれたことを生かして、自らの技を高めその奥義を記す迄に至った場合もある。また、猿楽、田楽といった庶民的なものも含め活動の場はもっぱら舞台しかなく、他者と技を競うといった機会も限られることから自らが必死に研鑽に努めたとしても生活の保障などは期待できなかった。かつては琵琶法師や座頭のような障害者も『平家物語』など口承文芸を謡うことで民衆の宗教心をもとに生活を立てていくことが可能であったが、近世に入って世俗化が進むようになると生計を立てるのは苦しくなっていった。

マスメディアの登場と芸能人の変化

ヨーロッパ等においても彫刻家や音楽家の処遇にそのルーツを見ることができる。著名なクラシック作曲家の伝記をひもとけば、作りたくて作った曲とパトロンの歓心を得るために作られた曲が明白な場合が少なくない。一方、吟遊詩人や興行で回るサーカスの芸人のように民衆から金銭を募ることで生計を立てる人々も存在した。

近代以降、技術の進歩による映画や、ラジオ、テレビの出現で、また資本主義の急速な進展により大きく変化した。芸能人の活動の場がマスメディアに移っていった。従来の舞台の場合はその興業場所に芸能人、観客双方が足を運ばなければ成立しなかった。現代においては映画の発達やテレビ放送のネットワーク確立に伴い、フィルムやその他映像記録媒体に収録されたものとしてより広く多くの観客へ一度に提供するものとなった。まず、映画によって同時に多数の場所で視聴可能となり、ラジオやテレビに至っては受信できる環境にありさえすれば自宅でも楽しむことができる。収入面・知名度の観点からも、メディアへの露出は芸能人にとって成功するための必須条件になった。だが、同時に本来の芸を見せるのではなく、話術や容姿またはキャラクターなどが求められる傾向が強くなった。また、落語家などの一部にはテレビ出演することで活路を開いた例もある。

2010年代以降

2010年代以降、YouTubeやTwitterなどのSNSの普及に伴い、有名YouTuberに代表される新たな形の芸能人が登場した。SNSで影響力を持つ個人はインフルエンサーと呼ばれるようになり、マスメディア依存型の芸能人とは異なる存在として注目されている。インフルエンサーの場合は、有名であっても芸能人に分類されないこともある。

芸能事務所が加盟する業界団体

芸能事務所が加盟する業界団体としては、以下の3団体がある。

脚注

外部リンク

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