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テロ支援国家

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テロ支援国家(テロしえんこっか、英語: State Sponsors of Terrorism)とは、アメリカ合衆国国務長官が、国際テロ行為への支援を繰り返していると認定した国家のこと。指定国には対外援助、武器輸出、輸出管理などの制裁が科される[1]1979年12月29日に制度が始まり[2]2026年8月25日現在はイラン北朝鮮キューバの3か国が指定されている[3]

2026年8月24日現在のアメリカ合衆国とテロ支援国家
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  テロ支援国家

法的根拠

テロ支援国家の指定は一つの法律だけに基づくものではなく、国務長官による認定を基に複数の法律が適用され、それぞれ対外援助の停止、武器輸出・販売の禁止、デュアルユース品の輸出規制、金融・経済上の制限などを課す仕組みとなっている[1]

テロ支援国家制度の主要な法的根拠は、1961年対外援助法620A条(22 U.S.C. §2371)、武器輸出管理法40条(22 U.S.C. §2780)、2018年輸出管理改革法1754条(c)(50 U.S.C. §4813(c))である。いずれも、国務長官が外国政府について「国際テロ行為への支援を繰り返し行っている」(repeatedly provided support for acts of international terrorism)と認定することが、指定および制裁措置の適用要件となっている[4][5][6]

制度が創設された当初、輸出管理については1979年輸出管理法6条(j)が根拠となっており、同法に基づいて最初の指定が行われた。同法は2018年に大部分が廃止され、2018年輸出管理改革法に置き換えられたが、従来の6条(j)に基づくテロ支援国家認定は、新法1754条(c)に基づく認定として引き続き効力を有すると定められている[7]

指定基準と手続

指定の基本的な法定基準は、対象国の政府が「国際テロ行為への支援を繰り返し行っている」ことである[4][5][6]。法令は特定のテロ事件への直接関与だけを指定要件としておらず、国務省によるテロ支援の評価では、テロ組織への政治的・資金的支援、外交上の支援、安全地帯の提供、武器その他の支援などが対象となる[8]

武器輸出管理法ではさらに、国際テロ行為には、個人・集団への核爆発装置の国際的拡散を故意に援助する行為、保障措置を受けていない特殊核物質の取得を援助する行為、化学・生物・放射線兵器の使用、開発、生産、備蓄、取得などを故意に援助する行為も含まれると規定されている[5]

国務長官が指定の認定を行った場合、その認定は連邦官報(Federal Register)に掲載される[4][5][6]。これによって各法律に規定された対外援助、武器取引、輸出管理などの制限が適用される。

指定による措置

対外援助

1961年対外援助法620A条により、テロ支援国家には同法に基づく米国の援助が原則として提供されない。また、平和のための食糧法平和部隊法アメリカ輸出入銀行法に基づく援助・支援についても禁止対象となる[4]

このため、政府による開発援助だけでなく、アメリカ輸出入銀行による輸出信用などの公的支援にも影響が及ぶ[4]

武器・軍需品

武器輸出管理法40条は、指定国への軍需品の輸出・供与について特に厳格な禁止を定めている。米国政府は指定国に対し、軍需品を販売、貸与、供与することができず、軍需品取得のための信用供与、保証その他の金融支援、第三者から指定国への移転の承認、輸出許可なども原則禁止される[5]

指定時点で未完了の軍需品引渡しについても停止され、既存の貸与・融資や輸出許可などについても停止・撤回の対象となる。また、米国政府だけでなく「米国人」(United States person)についても、指定国への軍需品の輸出・販売・貸与・供与や、指定国による取得を容易にする行為が禁止される[5]

「米国人」(United States person)には、(1) 米国市民および米国の永住外国人、(2) 米国内に主たる事業所を置く、または米国、各州、コロンビア特別区、プエルトリコ、北マリアナ諸島その他の米国領・属領の法律に基づいて設立された個人事業、パートナーシップ、会社、団体、法人、(3) 米国内にいるその他のすべての個人・団体、(4) 国務長官が規則で定める場合には、前記に該当しない者であっても、米国企業が実質的に支配する外国子会社・関連会社や、その他米国の管轄下にある者が「米国人」に含まれる[5]

同条に故意に違反した者には刑事罰が規定されており、違反1件につき100万ドル以下の罰金、20年以下の拘禁刑、またはその双方が科され得る[5]

輸出管理

2018年輸出管理改革法1754条(c)では、国務長官がテロ支援国家と認定した国について、その軍事能力または国際テロ支援能力を著しく高める可能性がある規制対象品の輸出、再輸出、国内移転に商務省の許可を要求している[6]

対象には米国外からの「再輸出」(reexport)や、外国国内での「国内移転」(in-country transfer)も含まれる。このため輸出管理上の効果は米国から指定国への直接輸出だけに限定されない[6]

対象品の輸出許可を発給する場合には、原則として少なくとも30日前までに国務長官および商務長官から連邦議会の関係委員会へ通知し、輸出品の内容、用途、米国の国益、指定国の軍事能力や地域の軍事バランスへの影響などを報告しなければならない[6]

金融・その他の制限

テロ支援国家認定は、この3法以外の多数の連邦法でも制裁発動の基準として参照されている[1]

例えば国際通貨基金(IMF)、世界銀行国際開発協会、地域開発銀行などの国際金融機関について、米国法は財務長官に対し、指定国への融資・資金供与に米国代表が反対するよう指示することを義務付けている[9]

また、指定国に殺傷性軍事装備を供給した第三国への対外援助の停止[10]、指定国政府が所有・支配する一定の企業との国防総省契約の禁止[11]、一定の外国税額控除の制限[12]、米国人による指定国政府との金融取引の禁止[13]、テロ被害に関する民事訴訟での国家免除の制限[14]などの法的効果も生じる。

適用除外

テロ支援国家への制裁には一定の適用除外制度が存在する。対外援助法では、大統領が米国の国家安全保障上の利益または人道上の理由から必要と判断した場合、議会との協議および原則15日前までの報告を経て、一定の援助を認めることができる[4]

武器輸出管理法についても、大統領が特定の取引について米国の国家安全保障上不可欠であると判断し、少なくとも15日前までに議会と協議して所定の報告を行った場合、禁止措置を適用除外できる[5]

指定解除

テロ支援国家の指定解除手続は、1961年対外援助法620A条、武器輸出管理法40条、2018年輸出管理改革法1754条(c)に定められており、大統領による認定と議会への報告を経て解除される仕組みとなっている[4][5][6]。指定解除の要件は、大きく分けて2つある。

第一の方法では、大統領が、対象国について政府の指導部および政策に「根本的な変化」が生じ、その政府が現在国際テロを支援しておらず、将来も支援しないとの保証を行ったと認定し、指定解除の発効前に議会へ報告する[4][5][6]

第二の方法では、大統領が、対象国政府が直前の6か月間に国際テロへの支援を一切行っておらず、将来も国際テロを支援しないとの保証を行ったと認定し、解除の少なくとも45日前までにその理由と認定内容を議会へ報告する[4][5][6]

後者は対象国の政権交代を必要としないため、政府の行動変化を理由とした指定解除に用いることができる。実際に北朝鮮の2008年の指定解除や、キューバの2015年の指定解除などでは、直前6か月間に国際テロを支援しておらず、将来も支援しないとの保証を行ったことを根拠とする手続が採用された[15][16]

なお、武器輸出管理法40条では、第二の方法による指定解除に限り、議会が45日以内に所定の両院合同決議を成立させた場合、解除を阻止できる[5]

なお、テロ支援国家指定が解除されても、その国に対して核拡散、人権侵害、地域紛争、特定人物・団体への制裁など別の法的根拠による制裁が課されている場合、それらが自動的に解除されるわけではない[17][18]

テロ支援国家に関する年次報告

アメリカ合衆国法典第22編2656f条は、国務長官に対し、毎年10月31日までに国際テロリズムに関する国別報告書を連邦議会へ提出することを義務付けている。同条では、旧輸出管理法6条(j)に基づくテロ支援国家のうち、過去5年以内に議会へ通知された国について、国際テロ支援の状況などを詳しく報告することを国務長官に義務付けている[8]

また、テロ支援国家から資金提供を受けているテロ組織についても、組織の活動、構成、資金源、外国政府からの支援などを報告することが求められている[8]

国務省はこの規定に基づく年次報告書「Country Reports on Terrorism」に「State Sponsors of Terrorism」の章を設け、指定国ごとにテロ組織への資金・武器・訓練・安全地帯の提供、対テロ協力の状況などを報告している[19]

国務省は「State Sponsors of Terrorism」の章について、指定国に関する当該年の動向を記載するものであり、この章への掲載自体が新たなテロ支援国家指定を意味するものではないとしている[19]

指定の現状

下記の状況は、2026年8月25日現在のテロ支援国家の情報である。

テロ支援国家に指定されている国々

以下の3ヶ国

さらに見る 国名, 措置 ...
国名 措置 年月日 政権 理由
イランの旗 イラン 指定 1984年1月19日 レーガン 1983年ベイルート・アメリカ海兵隊兵舎爆破事件への関与など、国際テロ支援[20]
朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮 指定 1988年1月20日 レーガン 大韓航空機爆破事件への関与[21]
解除 2008年10月11日 G.W.ブッシュ 過去6か月間に国際テロを支援せず、今後も支援しないと保証[15]。ただし対北朝鮮制裁の一部は継続[22]
再指定 2017年11月20日 トランプ(1次) 国外での暗殺への関与など、国際テロを繰り返し支援[21]
 キューバ 指定 1982年3月1日 レーガン 中南米のゲリラ組織・テロリストへの訓練、資金、安全地帯提供などの長年のテロ支援[23]
解除 2015年5月29日 オバマ 直前6か月間に国際テロを支援せず、今後も支援しないと保証[16]
再指定 2021年1月12日 トランプ(1次) テロリストへの安全地帯提供など[23]バイデン政権下の2025年1月14日に指定解除案が議会へ通知されたが[24]1月20日に第2次トランプ政権が撤回したため、指定は継続[25]
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過去にテロ支援国家に指定されていた国々

以下の5ヶ国。国旗は原則として指定解除時のもの。シリアは指定期間中に国旗が変更されたため、旧国旗も併記。

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国名 措置 年月日 政権 理由
南イエメンの旗 南イエメン 指定 1979年12月29日 カーター 左翼系アラブ・テロ組織への支援[26]
解除 1990年5月22日 G.H.W.ブッシュ 北イエメンとの統合により国家が消滅[26]
イラクの旗 イラク 指定 1979年12月29日 カーター パレスチナ系テロ組織などへの支援[27]
解除 1982年 レーガン 非パレスチナ系テロ組織への支援縮小などを受け、継続指定に値しないと判断[27]
再指定 1990年9月13日 G.H.W.ブッシュ テロ組織への支援再開など[27]
解除 2004年10月20日 G.W.ブッシュ サッダーム・フセイン政権崩壊後、イラク暫定政権がテロ支援を行わず、今後も支援しないと保証[28][29]
大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国の旗 リビア 指定 1979年12月29日 カーター 国際テロ組織への支援・テロリストへの安全地帯提供など[30]
解除 2006年6月30日 G.W.ブッシュ テロ支援を停止し、今後も支援しないと保証したほか、対テロ協力を実施[31]
スーダンの旗 スーダン 指定 1993年8月12日 クリントン 国際テロ組織への安全地帯、訓練施設、通過拠点の提供など[32]
解除 2020年12月14日 トランプ(1次) テロ支援を停止し、今後も支援しないと保証。新政権による政策転換やテロ被害者への補償も評価された[32]
シリアの旗 シリア
シリアの旗 シリア
指定 1979年12月29日 カーター ハーフィズ・アル=アサド政権によるパレスチナ系テロ組織などへの支援[33]
解除 2026年8月24日 トランプ(2次) バッシャール・アル=アサド政権滅亡後、シャラア新政権がテロ支援を停止し、対テロ協力を実施[34][35]
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米国外への影響や米国外の類似制度

米国の「テロ支援国家」指定は米国内に限らず、第三国の政府・企業・金融機関・個人にも影響を及ぼす。米国務省は、指定に伴って米国の対外援助、武器輸出・販売、デュアルユース品の輸出、金融取引などが制限されるほか、指定国と一定の取引を行う第三国の人物や国家を制裁する米国法も適用され得るとしている[1]

国際金融機関を通じた資金調達にも影響する。米国法は、財務長官に対し、国際通貨基金(IMF)、世界銀行国際開発協会、地域開発銀行などの米国代表に、テロ支援国家への融資や資金供与に反対するよう指示することを義務付けている[9]。また、テロ支援国家に殺傷性の軍事装備を供給した第三国政府についても、原則として米国の対外援助を停止する規定があり、供給停止後も1年間適用される[10]。この規定は過去に、テロ支援国家への軍事装備移転を理由としてロシアやカザフスタンなどに実際に適用された[36]

米国の輸出管理も第三国へ波及する。輸出管理規則(EAR)は米国外に存在する米国原産品の再輸出にも適用され、外国製品であっても米国原産の規制対象部品・ソフトウェア・技術を一定以上含む場合などにはEARの対象となり得る。このため、米国企業でない外国企業にも、米国原産品を指定国などへ再輸出する際に許可取得や取引停止を求められる場合があり、米商務省・財務省・司法省は外国企業に対しても米国の制裁・輸出管理法令を遵守する義務が生じ得ると注意喚起している[37]。なお、こうした国別輸出規制にはテロ支援国家指定とは別の法的根拠による規制も含まれ、指定解除だけで全ての輸出規制が自動的に解除されるわけではない[17]

日本

日本には、米国の「テロ支援国家」に相当する指定制度がなく、テロ対策では国際連合安全保障理事会決議などに基づき、外為法によるテロリスト個人・団体への資産凍結等を実施している[38]

このため、米国によるテロ支援国家指定が日本の外交関係にそのまま反映されるわけではなく、日本は指定国であるイランキューバとも外交関係を維持している[39][40]。一方、外交関係の有無とは別に、米国の指定に伴う金融・輸出規制や、指定国と一定の取引を行う第三国の人物・国家にも適用され得る制裁措置によって、日本企業や金融機関の取引に大きな影響が及び得る[1]

特にイランについては、テロ支援国家指定に加えて複数の米国制裁が重ねて課されている関係上、日本とイランの経済関係にも非常に大きな影響が及んでいる[41]。特に2018年にトランプ政権がイラン制裁を全面再開した後、日・イラン間の経済関係は著しく縮小した[42]

日本の石油会社は、米国による対イラン制裁の適用除外期限切れを前に2019年3月までにイラン産原油の新規買付けを停止し、同年5月に米国が日本を含む各国への適用除外を打ち切った後、イランとのエネルギー取引を停止した[43][44]。これにより、イランの対日輸出額は2018年の34.6億ドルから2020年には、わずか0.34億ドルまでに激減した[39]。2024年も日本のイランからの輸入は2,908万ドルにとどまり、主な輸入品は繊維製品や食料品で、石油などの鉱物性燃料の輸入実績はない[45]。JETROは、米国制裁による送金等の問題から、日本企業によるイランへの投資や現地でのビジネスは引き続き困難な状況にあるとしている[45]

米国の輸出管理規則(EAR)は米国外での再輸出にも適用されるため、日本企業も影響を受ける。米国原産品は国外にあってもEARの対象となり、外国製品についても一定割合を超える米国原産の規制対象部品・ソフトウェア等を含む場合には規制対象となる。イランキューバ北朝鮮シリア向けについては、その基準が原則10%とされており、米政府は外国企業であっても対象になり得ると注意喚起している[46][47]

個人にも影響が及ぶ。日本国籍者は通常、査証免除プログラムによりESTAを取得して査証なしで米国へ短期渡航できるが、2011年3月1日以降にイラン、北朝鮮、シリアなどへ渡航・滞在した者や、2021年1月12日以降にキューバへ渡航・滞在した者は原則として同制度を利用できず、米国査証を取得する必要がある[48]。このうちキューバについて外務省は、同国が米国のテロ支援国家に指定されていることを理由として、日本人旅行者にESTA利用制限への注意を呼び掛けている[49]

カナダ

カナダには米国と類似して、テロを支援する外国国家を政府が指定する制度が存在する。2012年の国家免除法(State Immunity Act)改正により、政府はテロを支援したと信じる合理的根拠がある外国国家を「テロ支援外国国家」(Foreign State Supporters of Terrorism)のリストに掲載でき、指定国はテロ支援に関する民事訴訟について国家免除を主張できなくなる[50]。2012年9月7日にイランシリアが指定された[51]。シリアは新政権による対テロ協力などを受けて2025年12月に解除され、現在のリストにはイランのみが掲載されている[52][53]

指定の主要な法的効果は、テロ被害者による指定国への民事請求を可能にすることである。テロ被害者正義法(Justice for Victims of Terrorism Act)により、1985年1月1日以降に世界各地で発生したテロ行為によって損害を受けた者は、カナダ国民・永住者であるか、請求とカナダとの間に実質的な関連性がある場合、テロを実行・支援した者や指定外国国家をカナダの裁判所に提訴できる[54]。指定国に対する一定の外国判決についても、カナダ国内で承認することが可能となる[55]

さらに、テロ支援に関する判決を執行するため、指定国がカナダ国内に保有する一定の財産は差押え・強制執行の対象となり得るほか、財務大臣および外務大臣は判決債権者からの要請を受け、指定国のカナダ国内の金融資産・財産の特定や所在確認を支援できる[56][57]。実際にカナダ政府は、イランの指定によりテロ関連の民事訴訟について同国の国家免除が失われ、外交用財産を除く既知のイラン政府資産が判決履行のため差し押さえられたとしている[58]

なお、この指定自体が米国のテロ支援国家指定と同様の包括的な貿易・金融制裁を自動的に発動するものではない。例えばイランに対するカナダの資産凍結、輸出入制限、金融取引禁止などは、主として特別経済措置法(Special Economic Measures Act)などに基づく別個の制裁制度によって実施されている[59]

欧州連合

欧州連合(EU)のテロ対策制裁は、主としてテロ行為に関与する個人・団体を対象としており、米国と同様の「テロ支援国家」指定制度は設けられていない[60]

一方、2022年ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧州議会は2022年11月23日、ロシア軍による民間人への意図的な攻撃や民間インフラの破壊などを「テロ行為」に相当するとして、ロシアを「テロ支援国家」および「テロの手段を用いる国家」と認定する決議を賛成494、反対58、棄権44で採択した[61]

ただし、EUには国家を「テロ支援国家」に指定する法制度が存在しないため、欧州議会は同時に、EUおよび加盟国に対し、国家をテロ支援国家として指定できる法的枠組みを新設するよう求めている[62]

国際連合

国際連合には、米国の「テロ支援国家」のように、テロ支援を理由として国家をブラックリストに指定する制度は存在しない。アメリカ同時多発テロ事件後の2001年9月28日に採択された国際連合安全保障理事会決議1373は、すべての加盟国に対し、テロ資金供与の防止・犯罪化、テロ行為に関与する者の資産凍結、テロリストへの資金・経済資源の提供禁止などを義務付けている[63]。これは特定の国家を「テロ支援国家」として指定する方式ではなく、米国による指定自体から国連加盟国に制裁実施義務が生じるものでもない[64]

また、安全保障理事会はテロ対策を含む複数の制裁体制を設け、それぞれの基準に基づいて個人・団体を指定している。指定対象と制裁措置は各制裁体制によって異なり、資産凍結、渡航禁止、武器禁輸などが科される。これらの指定対象は「国連安保理統合制裁リスト」にまとめられているが、同リストは異なる制裁体制の個人・団体を集約したものであり、単一の「テロリスト・リスト」ではない[65]


指定状況の年表

脚注

関連項目

外部リンク

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