ディスインテグレーション

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ディスインテグレーション』(Disintegration)は、イギリスのオルタナティブ・ロックバンドザ・キュアーが、1989年5月2日にフィクション・レコードからリリースした8枚目のアルバムである。

リリース
録音 1988年11月ー1989年2月
時間
『ディスインテグレーション』
ザ・キュアースタジオ・アルバム
リリース
録音 1988年11月ー1989年2月
ジャンル ゴシック・ロック
ポスト・パンク
時間
レーベル フィクション・レコード
ザ・キュアー アルバム 年表
キス・ミー、キス・ミー、キス・ミー
(1987年)
ディスインテグレーション'"
(1989年)
ミックスト・アップ
(1990年)
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物憂げなゴシック・ロックという1980年代初頭にバンド結成した当初のスタイルを執っている。

30代も近づいたヴォーカリスト/ギタリストのロバート・スミスがバンドの傑作となる作品を作るべきだという思いから制作された。当時、新規ファンによる新発見的な人気を嫌ったスミスが幻覚剤を服用していたこともあり、サイケデリックな世界観となっている。 レコーディングはバークシャーのレディングにあるHook End Manor Studiosで、1988年末から1989年初頭までデヴィッド・アレンと共に行われた。その間、メンバーのローレンス・トルハーストがアルコール依存症のためバンドを解雇された。 前作と大きく異なる世界観であったことから、レコード会社側は商業的な自殺になってしまうのではと懸念したが、結果的にイギリスの国内チャートで最高3位、アメリカの国内チャートでも最高12位を記録し、全世界で300万枚を売り上げた。 また、本作からシングルカットした「ラヴソング」もヒットし、ローリング・ストーン誌のThe 500 Greatest Albums of All Timeの 116位にチャートインした[1]オールミュージックのStephen Thomas Erlewineは「ザ・キュアーの音楽の方向性の中で最高点に達したこの作品は、80年代の音楽シーンを変える威力を持っていた」と評している[2]

『ディスインテグレーション』は、ロバート・スミスによる、ザ・キュアーが1980年代に開拓した憂鬱で暗い美意識への回帰である。当時スミスは、強い失望感に襲われていたため、敢えて憂鬱な作風のアルバム制作を志した[3]。 アルバムを聴いたバンドの所属レーベルであるエレクトラ・レコードはショックを受け、これは商業的な自殺ともいえる作品だから、発売を数か月前倒しするよう要請した。 スミスはエレクトラ側から受け取った手紙の一部を引用し、「彼等は僕がわざと暗い作品にしようとしてるって思ったんだろうね。」と振り返り、「それ以来、僕はレコード会社がザ・キュアーがやってる事、伝えたい事が理解できないんだなって思ったよ」と話している[4]。 スミスが単独で本作を作ったとも云われるが、このアルバムの半数以上の曲は、他のメンバーから音楽面でアドバイスを受けているとスミスは話している[4]

このアルバムの特徴に、シンセサイザーとキーボードの多用の他、低くうだるようなギターの音色や、スミスの内省的なボーカルが挙げられる。 アルバムの最初に収録されている"Plainsong"について、ジャーナリストのジェフ・アプターは「少しずつ崩れていくようなシンセサイザーとギターのサウンドの中、スミスが'I'm so cold'といった感じで歌詞の断片を歌いあげる。その曲は死海文章のような、不気味なものを読んでいる気分にさせる。」と表現し、この曲がアルバムの雰囲気を完ぺきに表していると評した。[5] 。スミス自身もこの楽曲をなまめかしくオーケストラのようだと述べ、アルバムの最初の曲としては完ぺきであると評している。 3番目の曲である"Closedown"は、ゆったりとした憂鬱なギターの音色が、何層にも重ねたキーボードのテクスチュアを引き立たせているのが特徴である。この曲は、スミスが自身の肉体面・芸術面での欠点をリストにするために作曲したものである[5]

『ディスインテグレーション』は全体を通じて暗い雰囲気の漂うアルバムだが、 "Lovesong"はアップビートな楽曲で、この楽曲はアメリカ合衆国でヒットした。 Allmusicの Ned Raggettは、「サイモン・ギャラップとボリス・ウィリアムスがしっかりとしつつも踊りやすいグルーヴを生み出す一方、ロバート・スミスとポール・トンプソンの二人が、繊細なギターの音色で満たし、その音色が曲にもう一刺激を与えている。また、スミス自身もやわらかで優しい情熱に満ちた歌詞を歌い上げている。」と、他の曲との違いを分析している[6]

また"Prayers for Rain"について、Raggettは、この曲の『無気力な野蛮さ('savage torpor')』というフレーズがこの曲の雰囲気を最も的確に示していると評している。

このアルバムに収録されている多くの曲には、ギター・エフェクトが多用されている。 "Prayers for Rain"では、スミスとトンプソンが、フランジャーディレイやテープの逆再生といったエフェクトを多用している。Raggettはこれらのエフェクトがうつろ気な雰囲気が這うようにゆったりと醸し出されていると評している[7]

また、彼は「『ディスティングレーション』といった他の楽曲では、スミスのリード・ギターが次第に高みを増しつつも、あたかもリズムが目立っている陰で燃えるような音色を出そうとしているかのごとく、楽曲の中に埋もれている。ロジャー・オドネルのキーボードが陰影とメロディを与えている一方、スミスの歌声は切れるような清澄さとかすかなあきらめの感情が合わさったものが、計算したかのように現れ、エフェクトによってその歌声が歪んでいく」と評している。

アルバムに収録されている楽曲は陰鬱なものが多い中、 "Lovesong", "Pictures of You" and "Lullaby"は馴染みやすい曲調から人気が高い[5] 。これは、スミスが陰鬱な曲とは対照的な曲を収録することで、アルバム全体のバランスが取れることを意図したためである "Lovesong"という楽曲はメアリー・プールへの結婚祝いとして作曲され、歌詞も他の楽曲と異なる雰囲気だが、スミス自身はこのアルバムの趣旨に沿っていると捉え、「これは感情の開放を表現してるんだ。お利口になろうとしてるんじゃないのさ。ここまで直球のラブソングを歌うまでに10年かかったよ」と語った[3] 。実際、この曲の歌詞は、かつて恋慕の感情を隠したり暈したりすべきだと考えていたスミスが、その感情を明確に表現するまでに心情が変化したことを示している。もしこの曲がなかったらアルバムは大きく異なったものになっているだろうとスミスは捉えており、「俺はこの曲は多くの人間を深く考えさせるものだと考えてるんだ。もしこの曲が収録されてなかったら、このアルバムが持つある種の雰囲気故に受け入れられなかっただろうね。でも、「これは合わないな」と考えるから、俺達はちょっとみんなを戸惑わせる曲を収録するのさ」と語っている[3]。 実際、"Pictures of You"は長調であるが歌詞の内容は痛切でかつロマンチックであり(「見せかけに向かって叫び/空に向かって叫び/そして最後に君は勇気を出してあきらめる」)、スミスはそれを情熱的に歌い上げている。その一方、2コード進行でシンセサイザーが重厚な音色を下降するように奏で、ベースとギターが交互に演奏される[5][8]。 また、" Never Enough: The Story Of The Cure"の著者であるジェフ・アプターによると、 "Lullaby" は、重厚で鋭いギターの和音とスミスの囁くような歌い方が特徴であるとされている。この曲は、眠れない時スミスの父によって歌われた子守唄をスミスが思い出したことがきっかけで作られており、彼は「父はいつも子守唄を作りだしてくれたけど、いつもひどい終わり方をしてたんだ。大体「今寝ないと全く起きられないよ」という内容だったね」と振り返っている[5]

収録曲

作曲・作詞:ロバート・スミス,サイモン・ギャラップ,ロジャー・オドネル, ポール・トンプソン、ボリス・ウィリアムス。

  1. "Plainsong" – 5:12
  2. "Pictures of You" – 7:24
  3. "Closedown" – 4:16
  4. "Lovesong" – 3:29
  5. "Last Dance" – 4:42
  6. "Lullaby" – 4:08
  7. "Fascination Street" – 5:16
  8. "Prayers for Rain" – 6:05
  9. "The Same Deep Water as You" – 9:19
  10. "Disintegration" – 8:18
  11. "Homesick" – 7:06
  12. "Untitled" – 6:30

アナログ盤には "Last Dance"と "Homesick" が収録されていない。

*2010年版のアナログ盤には "Last Dance"と "Homesick" は収録されています。

演奏者・スタッフ

チャート推移

脚注

脚注

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