トレニ
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『トレニ―預言者エレミアの哀歌』(Threni id est lamentationes Jeremiae Prophetae)は、イーゴリ・ストラヴィンスキーが1958年に作曲したラテン語の宗教曲。
全曲を十二音技法で書いたストラヴィンスキー最初の曲である[1]。音列を使用するようになってから書かれたストラヴィンスキーの音楽には小品が多いが、その中にあってこの曲はもっとも大規模である。
作曲の経緯
『カンティクム・サクルム』と同様、ヴェネツィア・ビエンナーレ現代音楽祭のために[2]、1957年から1958年にかけて作曲された。現代音楽祭の主催者であったアレッサンドロ・ピオヴェザンが音楽祭開催を前にして没したため、ピオヴェザンの思い出に献呈された[2]。
この曲はおそらくエルンスト・クルシェネクの『預言者エレミアの哀歌』に影響されている[3]。
演奏
1958年9月23日にヴェネツィアのサン・ロッコ大信徒会でストラヴィンスキー自身の指揮により初演された[4]。
フランス初演は1958年11月14日にピエール・ブーレーズのドメーヌ・ミュジカルによってパリのサル・プレイエルで、やはりストラヴィンスキーの指揮によって行われたが、準備不足のためにひどい演奏で、聴衆は馬鹿にした。ストラヴィンスキーは怒ってあいさつを拒み、二度とパリでは指揮しないと宣言した[5][6]。
編成
- 独唱(ソプラノ、アルト、テノール2、バス2)と混声合唱
- フルート2、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2(アルトクラリネット持ちかえ)、バスクラリネット、サリュソフォーン、ホルン4、トロンボーン3(アルト、テナー、バス)、チューバ、フリューゲルホルン、ティンパニ、タムタム、ピアノ、チェレスタ、ハープ、弦5部
第2アルトと第3バスを加えて八重唱になる箇所があり、合唱のメンバーがソリストとして参加する。
管弦楽の規模は大きく、かつ特殊な楽器が多数使われている。しかし多数の楽器が同時に音を出すことは少なく、音は非常に薄い。声だけの箇所も多い。
フリューゲルホルン(スコア上では Bugle C-alto と記されている)はソロ楽器として大きな役割を果たす。ストラヴィンスキーによれば、ジャズのショーティ・ロジャーズの演奏を聴いて『トレニ』で使うことを思いついたという[7]。
演奏時間は30分弱。