ニロチニブ

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ニロチニブ
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 Tasigna
Drugs.com monograph
MedlinePlus a608002
ライセンス EMA:リンクUS FDA:リンク
胎児危険度分類
  • AU: D
  • US: D
    法的規制
    薬物動態データ
    生物学的利用能30%[1]
    血漿タンパク結合98%[1]
    代謝Hepatic (mostly CYP3A4-mediated)[1]
    半減期15-17 hours[1]
    排泄Faeces (93%)[1]
    データベースID
    CAS番号
    641571-10-0(base) ×
    ATCコード L01XE08 (WHO)
    PubChem CID: 644241
    DrugBank DB04868 チェック
    ChemSpider 559260 チェック
    UNII F41401512X チェック
    KEGG D08953  チェック
    ChEBI CHEBI:52172 チェック
    ChEMBL CHEMBL255863 チェック
    PDB ligand ID NIL (PDBe, RCSB PDB)
    化学的データ
    化学式
    C28H22F3N7O
    分子量529.5245 g/mol
    テンプレートを表示

    ニロチニブ (Nilotinib)は、分子標的治療薬のチロシンキナーゼ阻害薬の一つであり、塩酸塩一水和物がイマチニブ耐性の慢性骨髄性白血病の治療に用いられる[2]。商品名タシグナ。開発コードAMN107。

    Ablキナーゼドメイン(青)とニロチニブ(赤)の複合体の結晶構造

    ニロチニブが承認されたのは、米国FDAで2007年10月29日[3]、欧州EMAで2009年9月29日[4]、英国MHRAで2007年11月19日[5]、豪州TGA英語版で2008年1月17日[6]、日本厚生労働省で2009年1月21日[7]であった。

    欧米での効能・効果はフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)の慢性骨髄性白血病である[1]。日本での効能・効果は「慢性期または移行期の慢性骨髄性白血病」[8]である。

    2006年6月、第I相臨床試験が実施され、ニロチニブの忍容性と、標準治療薬であるイマチニブ耐性慢性骨髄性白血病への有効性が確認された[9]。当該試験では5ヶ月のニロチニブ投与により、イマチニブ抵抗性を示す患者の92%で白血球数が正常化した[10]

    その他の効能・効果

    ニロチニブは低用量でパーキンソン病アルツハイマー型認知症筋萎縮性側索硬化症認知症ハンチントン病に奏効する[11](2018年1月の時点で米国で第II相の二重盲検テストによる治験が進行中)。

    消化管間質腫瘍(GIST)の第一選択薬としての第III相臨床試験は独立モニタリング委員会の勧告により2011年4月11日に中止された。中間解析でイマチニブ(標準治療薬)に対する優越性が確認できなかったからである[12]

    禁忌・警告

    QT延長症候群低カリウム血症低マグネシウム血症、妊婦、妊娠希望者、授乳婦、ガラクトース・乳糖不耐症の患者に対して禁忌を設定している国がある[1][6]が、日本で禁忌に設定されているのは「過敏症の既往歴のある患者」と「妊婦または妊娠している可能性のある婦人」のみである[8]

    日本で警告欄に表記されている項目は心血管障害(QT間隔延長と心タンポナーデ)と一般的な事項(緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。等)であるが、海外では下記の項目が警告欄に設定されている場合もある[1]

    • 骨髄抑制
    • 腫瘍崩壊症候群
    • 肝障害
    • 肝炎の既往
    • 膵炎の確認のため血中リパーゼ測定を定期的に実施する事
    • 胃全摘除患者
    • 妊娠していないことを確認する事

    肝機能が低下している患者に投与する場合には、用量を減量し、肝機能をモニタリングする必要がある[13]。日本の添付文書では肝機能の他に血液系、膵機能、QT間隔延長について減量基準が記載されている[8]

    副作用

    ニロチニブは心毒性を持つことが米国の添付文書で黒枠警告されている[14][15]ほか、日本でも警告欄に「QT間隔延長」と「心タンポナーデによる死亡」が記載されている[8]。他にもニロチニブは抗がん剤によく見られる多くの副作用を持つ。頭痛、倦怠感、悪心・嘔吐・下痢・便秘などの消化器症状、筋肉痛、関節痛、潮紅などの皮膚症状、インフルエンザ様症状、血球数減少である。他に特徴的な副作用として、高血圧、様々な不整脈、QT延長などの心血管症状を呈する。その他にも、電解質やグルコース代謝に影響する[3]。肺に対する副作用はイマチニブダサチニブよりも発現頻度が低いが、肺胞出血を発現した事例が報告されている[16]

    重大な副作用として記載されているものは、

    • 汎血球減少(0.5%)、好中球減少(14.7%)、白血球減少(9.3%)、血小板減少(21.4%)、貧血(11.9%)、
    • QT間隔延長(2.5%)、心筋梗塞(1.2%)、狭心症(1.4%)、心不全(0.3%)、心膜炎(0.2%)、末梢動脈閉塞性疾患(1.0%)、脳梗塞、一過性脳虚血発作(0.3%)、
    • 高血糖(7.5%)、頭蓋内出血、消化管出血(0.2%)、後腹膜出血、
    • 肝炎(0.2%)、肝機能障害(5.1%)、黄疸(0.7%)、膵炎(2.2%)、
    • 肺炎(0.5%)、敗血症(0.2%)、胸水(0.5%)、肺水腫、心嚢液貯留(0.3%)、鬱血性心不全、心タンポナーデ(0.2%)、
    • 間質性肺疾患(0.2%)、脳浮腫、消化管穿孔、腫瘍崩壊症候群

    である[8]

    相互作用

    ニロチニブは肝トランスポーターOATP1B1およびOATP1B3の基質である。ニロチニブがOATP1B1およびOATP1B3に結合する事で肝排泄が妨げられ、トランスポーターを介した薬剤間相互作用が発生する[13]。ニロチニブはOATP1B1阻害作用を持つがOATP1B3阻害作用はない[17]。ニロチニブはCYP3A4で代謝されるので、グレープフルーツ等のCYP3A4阻害薬ならびにCYP3A4誘導薬はニロチニブと相互作用する[1]柘榴スターフルーツとも相互作用するとの報告がある。

    作用機序

    出典

    外部リンク

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