ヌエバス・イデアス
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| ヌエバス・イデアス Nuevas Ideas | |
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| 党首 | ザビエル・ザブラ・ブケレ |
| 成立年月日 | 2017年10月25日 |
| 本部所在地 | サンサルバドル ミラモンテ・ベルナル通り、ラス・オスクラナス通り21-A |
| 立法議会 |
54 / 60 (90%) |
| 地方議席 |
27 / 44 (61%) |
| 中央アメリカ議会 |
13 / 20 (65%) |
| 党員・党友数 |
507,633 (2019年) |
| 政治的思想 | |
| 政治的立場 | |
| 党旗 |
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| 公式カラー | |
| 国際組織 | 中道民主統合グループ |
| 公式サイト | Nuevas Ideas |
2017年10月25日、当時サンサルバドル市長を務めていたナジブ・ブケレによって結成され、2018年8月21日に最高選挙裁判所によって登録された。現党首はブケレの従兄弟であるザビエル・ザブラ・ブケレが2020年3月より務めている。2024年の議会選挙以降は立法議会の大半を掌握し、地方議席および中央アメリカ議会でも議席の圧倒的多数を占めている。
ヌエバス・イデアスは2019年の大統領選挙前に結成されたが、候補者を擁立するまでに政党として正式登録されていなかった。そのためブケレは国民統一大同盟(GANA)の所属候補として大統領選に出馬したが、選挙運動では一貫してヌエバス・イデアスのブランドを使用していた。ブケレは得票率53%で当選し、同国の二大政党であった国民共和同盟(ARENA)やファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)に所属しない30年ぶりの大統領として2019年6月1日より就任した。
2021年の議会選挙では立法議会で過半数を大きく上回る56議席を獲得。また、全国262自治体のうち152自治体で勝利し、中央アメリカ議会の20議席中14議席も獲得した。
2024年の大統領選挙を控え、ブケレは再選を目指す意向を表明した。なお、法律専門家や外交官らからは違憲と見なされた。また、ヌエバス・イデアスの党首部は、立法議会全60議席の獲得を目指すことを表明した。
2022年10月、ヌエバス・イデアスが主導する立法議会は在外エルサルバドル人による選挙投票を認める法案を可決。2023年6月にはブケレが提案した立法議席数を84から60に削減する案、自治体の数を262から44に削減する案の二つの法案が可決されたが、両案ともに権力集中策と評された。
2024年の大統領選挙でブケレは得票率84.65%の圧勝で再選を果たした。ヌエバス・イデアスは議会で再び過半数を大きく上回る、60議席中54議席を獲得した。
ヌエバス・イデアスは幅広い支持基盤を持つほか、左派・右派のレッテル貼りを否定しており、ブケレは同党を「第三の道」と位置付けている。一方で、ブケレ自身は保守派と評され、海外の保守勢力からの支持を受けている。
歴史
結成〜大統領選挙
2017年10月10日、当時サンサルバドル市長を務めていたナジブ・ブケレは、ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)の原則違反及び党幹部であったソチトル・マルチェリへ暴言を吐いたことを理由に、同党の倫理審議会によって除名処分を受けた[3]。除名から5日後、ブケレは新たな政治活動の一環として2019年大統領選挙への出馬意向を表明した[4]。同年10月25日、ブケレはFacebookやYouTubeなどのソーシャルメディアを用いて新政党「ヌエバス・イデアス」の結成を発表した。ヌエバス・イデアスはスペイン語で「新しい考え(アイデア)」を意味する。また、ブケレは目標として、既存の政党であり同国において二大政党を構成する左派のFMLNと右派の国民共和同盟(ARENA)の既得権益を打破することを掲げた[5]。
ブケレは現行の政治体制が自身の大統領選出馬を妨害しようとしていると主張した[5]。最高選挙裁判所(TSE)の判事であるフェルナンド・アルギエロ・テレスは、「同党が2019年大統領選挙に間に合う形で登録される可能性はあり得る」といった見解を示し、「現時点では何ら制限はない」とも付言した。また、後にTSEは最高裁判所憲法裁判所に、ブケレがFMLNを離党した場合、離党者となり公職選挙への立候補資格を失うかどうかを照会した[6]。
法的要件によれば、ヌエバス・イデアスがTSEから政党として正式登録されるためには5万筆の署名を集める必要があった[6]。2018年5月8日、同党は3日間で20万筆の署名を集め、TSEに2000冊の署名簿を提出した[7]。TSEは同年6月下旬に176,076筆の署名を有効と認定したものの[8]、同党が正式に登録されたのは2ヶ月後の同年8月21日であった[9]。ブケレは「大統領選挙に間に合うよう党が登録されない」といった見解から、民主変革党(CD)の所属として大統領選に出馬することを決断したが、同党が2015年の議会・地方選挙で5万票以上を獲得できていなかったことから、TSEにより失格処分となる[10]。その後ブケレは政党を国民統一大同盟(GANA)に靴替えして大統領選出馬を目指し、同年7月29日に同党の大統領候補指名を獲得した[11]。

ブケレはGANAの党員として大統領選に出馬したが、選挙運動では一貫して「ヌエバス・イデアス」のブランドを使用していた[12]。世論調査ではブケレがARENAおよびFMLNの大統領候補に対して一貫してリードし、複数調査で50%以上の支持率を獲得[13]。最終的に得票率53.10%で決選投票を経由せず選挙に勝利した[14]。ブケレは2019年6月1日に大統領に就任し、キリスト教民主党(PDC)のホセ・ナポレオン・ドゥアルテが1989年に退任して以来30年ぶりにARENAとFMLNのいずれにも属さない大統領となった[15]。
2021年議会選挙
ブケレは大統領に就任したものの、立法議会を掌握していなかった。議会は依然として野党が支配しており、GANAが11議席であるのに対してヌエバス・イデアスは全く議席を持っていなかった[16]。ブケレは治安政策のための1億900万ドルの融資を中央アメリカ経済統合銀行(BCIE)から確保することを目的として、臨時議会を招するるとともに40名の兵士を立法議会に送り込んだが、野党側からは「クーデター未遂」との批判を受けた[17]。
2020年7月19日、ヌエバス・イデアスは初の選挙となる2021年議会選挙を控え候補者を決定するため予備選挙を実施し[18]、国民議会・国内262自治体・中央アメリカ議会の候補者を電子投票により選出した。予備選挙期間中には一部の候補者が複数投票を行うために不正行為をしていたといった申し立てが150件提出された[19]。党の全国選挙委員会(CNE)で事務局長を務めていたダグラス・ロドリゲスは、一部の候補者が不正行為をしていた事実を確認し[20]、CNEは不正行為に関与した候補者の身元調査を実施して十分な証拠事例を党の倫理委員会に付託することを表明した[19]。
2021年の選挙では、世論調査によればヌエバス・イデアスが他政党を大きくリードしており、支持率60%超を示す調査もあった[21]。同党はGANAと選挙連合を結成のうえ、両党合わせて投票総数の3分の2を獲得し[16]、立法議会では56議席、152自治体、中央アメリカ議会では14議席を獲得した[22][23][24]。
第13期立法議会
2021年5月1日、第13期立法議会が開会。議会で既に過半数を占めていたヌエバス・イデアスは、GANA、PDC、国民連合党(PCN)と連立政権を結成した[25]。同政権は立法議会で64議席を占め、一部からは「圧倒的多数」と評された[16][26][27][28]。エルネスト・カストロは、ヌエバス・イデアスとその同盟勢力により立法議会議長に選出され、残る20名の議員は棄権した[29]。また、ヌエバス・イデアスの立法議会代表はクリスチャン・ゲバラが務めた[30]。

同日、ヌエバス・イデアスが主導する政府は「恣意的な判決を下した」として最高裁判所憲法裁判所判事5名の解任を可決、次いで検事総長であるラウル・メララの罷免を可決した[31]。翌日には判事と検事総長がブケレ支持派に交代したことから[28][32]、野党政治家らはこの出来事を「クーデター、自己クーデター、権力掌握」と呼んだ[28][31][33][34]。
2021年6月、立法議会はビットコインを法定通貨とする法律を可決し[35]、同年9月7日より発効した[36]。同年10月、ブケレとヌエバス・イデアスは、同党所属の立法議会議員2名がサンサルバドルの米国大使館と交渉し、ヌエバス・イデアスを分裂させブケレの政治的アジェンダに反対するよう画策したと非難[37]。大使館と両議員は疑惑を否定したが、両議員はいずれも党から除名された[38][39]。
2022年3月27日、過去3日間の殺人事件が急増したことから、立法議会は30日間の非常事態宣言を可決した[40]。ギャング組織への大規模な取り締まりに繋がった同宣言は、17回延長され[41]、2023年11月9日時点で73,800人以上の逮捕[42]、2023年5月16日時点で最大152人の拘留中死亡者を出した[43]。2022年10月、立法議会は「海外選挙権行使特別法」を可決。これにより国外在住のエルサルバドル国民は、2024年の大統領選挙および立法議会選挙で投票権を行使できるようになった[44]。
2022年12月、Twitterでブケレは「同国の262の自治体を50に削減すべきだ」とツイートした[45]。2023年2月、カストロはヌエバス・イデアスが自治体の統合を正式に検討していることを確認しただけでなく、立法議会の議席数を84から64に削減することも検討中であると述べた[46]。2023年6月7日、立法議会はブケレが提出した立法議会議席数を84から60に削減する提案を承認した。野党関係者は、この削減は立法府におけるヌエバス・アイデアスの権力集中を図り、小政党の政治参加を弱体化させる試みだと主張した[47][48]。2023年6月13日、立法議会はブケレ大統領が提出した自治体数を262から44に削減する提案を承認した。ヌエバス・イデアスの議員らは、この削減が富のより公平な分配をもたらすこと、各自治体の住民の生活の質を向上させること、政府に年間2億5000万米ドルの節約をもたらすことを主張した。一方、野党勢力はこの削減を権力掌握、権力集中、そしてヌエバス・イデアスが自らに選挙上の優位性をもたらす試みだと評している[49]。
2023年7月31日、アレハンドロ・ムイショント大統領国家安全保障顧問がヌエバス・イデアスのエリック・ガルシア議員に対し、MS-13関連麻薬密売組織への関与を告発したことを受け、同議員は立法議会を辞職した。ガルシアはギャングとの関与を否定し[50]、同日、ヌエバス・イデアスはムイショントの告発に関する調査を開始した[51]。2023年8月9日、ガルシアはヌエバス・イデアスから除名され、同党は彼の後任として立法議会に選出されたニディア・トゥルシオスに対する調査を開始した[52]。 2023年8月16日、ガルシアは立法議会から正式に除名され[53]、翌日17日にはガルシアとトゥルシオスが国家民事警察に逮捕され[54]、トゥルシオスもヌエバス・イデアスから除名される形となった[55]。
2024年総選挙
2021年9月3日、2021年5月にヌエバス・イデアスによって任命された最高裁判所判事らは、大統領への連続再選に立候補する資格を有すると判決を下し、ブケレは2024年大統領選挙で再選が可能となった[56][57]。2022年9月15日、ブケレは2024年の再選を目指すことを正式に発表したが、連続再選が同国憲法に違反すると主張する複数の弁護士、政治家、ジャーナリストから批判を受けた[58]。2023年6月25日、ブケレは正式にヌエバス・イデアスの大統領予備候補として登録、副大統領を務めるフェリックス・ウジョアが同党の副大統領予備候補として登録された[59]。2023年7月9日、ブケレとウジョアが44,398票を獲得し[60]、それぞれ同党の大統領候補と副大統領候補として正式に確定した[61]。

当初は2023年7月2日に予備選挙を実施する予定であったが、同年6月に自治体数と立法議席数の削減が承認されたことを受け、予備選挙を同年7月9日に延期した[62]。同年10月26日、ヌエバス・イデアスはブケレとウジョアの大統領・副大統領候補登録手続きを正式に開始した[63]。両候補の立候補は同年11月3日、TSEにより承認され、裁判官の5名中4名が賛成票を投じた[64]。野党側から両候補の立候補却下を求める様々な要請がなされる中、両候補の立候補は承認された[65]。同年11月30日、立法議会はブケレとウジョアが選挙運動に専念できるよう休職を許可し、立法議会はヌエバス・イデアス所属のクラウディア・ロドリゲス・デ・ゲバラを大統領代行に任命する決議を行った[66][67]。
2023年6月、一部のヌエバス・イデアスの政治家が、TSEが定めた2023年10月から2024年2月までの公式選挙運動期間開始前に選挙運動を開始した。Twitterに画像やメッセージを投稿し、Googleの広告を通じてオンライン広告を購入したが、クリストサルの反汚職委員会委員長であるルース・エレオノーラ・ロペスは、これらの活動が同国選挙法第172条に違反すると批判した[68]。
2024年の選挙ではブケレが得票率84.65%で再選[69]。また、ヌエバス・イデアスは立法議会で60議席中54議席を獲得し[70]、再び過半数を大きく上回る議席を獲得した[71][72]。2024年6月1日、ブケレは2期目となる5年間の任期に就任宣誓を行った[73]。
政治的思想

ヌエバス・イデアスは党規約において、自らを「民主的で、分散型で、多元的で、包括的であり、時代遅れのイデオロギーを持たない」と定義し、全ての市民の権利のために戦うことを主張している[74]。また、同党は左派・右派のレッテル貼りを拒否している[75][76][77]。同党は幅広い支持層を抱える包括政党であり[78][79][80][81]、ブケレはこれを「第三の道」と位置付けている[82][83]。ヌエバス・イデアスは自らを「進歩的」と称しているが[84]、中道左派[85]、左翼[85]、保守派[86]、中道右派[87]、右翼[88]とも評されることがある。
ヌエバス・イデアスは政権を掌握する前から政治的現状を打破しようとしていたことからも、同党は主要な政策として汚職、恩恵主義、縁故主義との闘いを掲げている[89]。また、同党が繰り返し用いる標語は「誰も盗まなければ金は足りる」[90][91]。ヌエバス・イデアスはアメリカ合衆国や中華人民共和国との関係強化に関する明確な地政学的立場を有していない[92]。また、同党は中央アメリカ再統一を支持している[77]。
ヌエバス・イデアスは草の根民主主義、アンチ・エスタブリッシュメント、ポピュリズム、かつ権威主義的な政党と評されている[93][94][95]。同党はFacebook、YouTube、Twitter、Instagram、TikTokなどのソーシャルメディアを活用し、国民とのコミュニケーションや接触を図るとともに[89]、親政府・反野党のプロパガンダを展開し、若年層有権者の支持を集めているとも評されている[92][96]。
ヌエバス・イデアスはブケレの政治思想と政策方針を支持しており、支持者はブケリストとも称される[84][97][98][99]。ワシントン・ポストのアンナ=キャサリン・ブリジダとメアリー・ベス・シェリダンによれば、同党は「伝統的な政治思想よりも、ブケレのイメージと実績に基づいている」としている[16]。また、ニューヨーカー誌のジョナサン・ブリッツァーは、同党の政府高官を「真の信奉者と日和見主義者の混合体」と表現しつつ、ブケレへの忠誠で結束していると指摘したほか、米国政府高官が「ブケレこそが党そのものだ」と述べたことも付記している[100]。エル・ファロのオスカル・ピカルド・ジョアンは、ヌエバス・イデアスを「ブケレの個人崇拝」とし、「ブケレは万物の中心であり、全ては彼から始まり、彼の政策軸を中心に動いている」と述べた[92]。
シンボル
党指導部
ブケレはヌエバス・イデアスの創設者兼指導者であるが[104]、同党内で役職は持っていない。指導体制としては党首職、全国評議会、全国大会で構成される。大統領職は政治的・執行的・行政的権限を有し、党の目標達成に向け党務を監督する。全国評議会は党の政治戦略を策定し、組織機能の維持に努める。全国大会は党の全機関・指導者・党員が決議と合意を遵守することを保証している。全国指導機構に加え、ヌエバス・イデアスは州や自治体にも小規模な組織機構を置いている[105]。
党の初代代表はブケレの親友であるフェデリコ・ヘラルド・アンリケール・ロペスが、2018年から2020年まで党初代代表(当時は書記長)を務めた[106][107]。ブケレの兄弟の一人であるユセフ・ブケレは、後任として党代表に就任する有力候補とされていたが[108]、後に立候補を辞退した[109][110]。2020年3月、ブケレの従兄弟であるザビエル・ザブラ・ブケレが後任として党代表に就任した。ザブラは党内選挙で31,476票を獲得し、イサベル・モンヘの3,806票、イスラエル・フアレスの868票を抑えて勝利した[111]。
海外における活動
ヌエバス・イデアスは、エルサルバドル以外にもグアテマラとホンジュラスに事務所を構えている[112]。2021年7月にはグアテマラの弁護士であるホセ・ルイス・アラネダ・シントロンがヌエバス・イデアスと同じ青緑色のロゴを使用した政党を設立し、グアテマラ最高選挙裁判所への政党登録手続きを開始したがヌエバス・イデアスは同政党との関連を否定。スポークスマンのホセ・ナヴァロはエル・ファロに対し「ヌエバス・イデアスはエルサルバドルにのみ存在する」と述べた[113]。
2018年には米国在住のエルサルバドル人らの支持を集めるため、党の支部として「ヌエバス・イデアスUSA」を設立。同支部は設立から2020年に解散するまでルイス・レイエスによって運営され、解散後はカリフォルニア、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューヨーク、ワシントンD.C.を拠点とする5つのグループに分裂した[114]。2024年の選挙に先立ち、ヌエバス・イデアス所属の議員数名がブケレの再選運動を推進することを目的に米国で選挙運動イベントを開催した。イベントはヒューストン[115]、ロサンゼルス[116]、ニューヨーク市[117]、ユニオンデール[118]、ワシントンD.C.で行われた[119]。
