ネトーシス

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ネトーシス: NETosis)は、感染刺激で活性化された好中球が細胞外にDNAを含む網目状線維(好中球細胞外トラップ、: Neutrophil extracellular traps; NETs)を放出する動的プロセスである[1][2][3]。放出されたNETsは物理的に病原体を捕捉して破壊し、疾患による宿主細胞への損傷を最小限に抑えることを可能にする[4]。従来、好中球の機能として貪食と抗菌物質の分泌(脱顆粒)が知られていたが、2004年にNETosisが第3の機能として同定された[5]。NETosisは大別して特攻隊型NETosis[6]、サバイバル型NETosis[6]、ミトコンドリアNETosisの3つに区別される[7](fig 2)。各プロセスの主要要素の多くは類似しているが、刺激、タイミング、最終結果において重要な相違点が存在する[8]

NETosis活性化経路の全容は依然として調査中であるが、幾つかの主要蛋白質が同定され、経路の全体像が徐々に明らかになりつつある。この過程は活性酸素種Reactive Oxygen Species; ROS)を介したNADPHオキシダーゼによる蛋白質アルギニン脱イミノ化酵素4(PAD4英語版)の活性化から始まると考えられている。PAD4は好中球におけるヒストンシトルリン化を担い、クロマチンの脱凝縮を引き起こす[8]。その後の過程の結果は、特攻隊型/サバイバル型どちらのNETosis経路が活性化されるかによって異なる[8]。ミトコンドリアNETosisはミトコンドリア由来ROSのみに依存するNADPHオキシダーゼ非依存性NETosisである[9]

特攻隊型NETosis

特攻隊型NETosis(: Suicidal/Lytic NETosis)は2007年の研究で初めて報告された。この研究では、NETsの放出がアポトーシス壊死とは異なる経路で好中球の死滅を引き起こすことが指摘された[10]。特攻隊型NETosisではミエロペルオキシダーゼmyeloperoxidase; MPO)や好中球エラスターゼneutrophil elastase; NE)などのアズール顆粒蛋白質が核内に入り込み、凝縮解除プロセスを促進[11]して核膜破裂を引き起こす。脱凝縮クロマチンは細胞質へ移行し、顆粒蛋白質および細胞質蛋白質が初期段階のNETsに追加される。細胞内でNETsが形成された後に細胞膜が破裂し、NETsが細胞外に放出される。このNETosis経路は、抗体PMAなどの様々なリガンドによるToll様受容体(TLR)、Fc受容体補体受容体の活性化によって開始される[8][12]。現在の理解では、これらの受容体活性化後、下流シグナル伝達により小胞体からカルシウムが放出されるとされる。この細胞内へのカルシウム流入はNADPHオキシダーゼを活性化し、前述のNETosis経路を活性化する[12]

サバイバル型NETosis

サバイバル型NETosis(: Vital NETosis)は2007年に初めて報告された[13][14][注 1]。サバイバル型NETosisは、細菌性リポ多糖lipopolysaccharide; LPS)のみならず「細菌生成物、TLR4活性化血小板、またはTLR2英語版リガンドと連動した補体蛋白質」によって刺激される[8]。サバイバル型NETosisでは核のブレブ形成によって核DNAを充填した小胞が生成され、細胞膜を損傷せずに分泌される[8]。この迅速な形成と放出は好中球の死を招かない。サバイバル型NETosis後も好中球が微生物を貪食・殺傷し続けることが確認されており、好中球の多能的抗菌性を浮き彫りにしている[12]。一部の好中球は核を持たないサイトプラスト英語版となるが、なお短期間機能し続ける[14]。注目すべきは、特攻隊型NETosisは高濃度のPMA刺激下でも数時間を要するのに対し、サバイバル型NETosisは数分で完了する点である[8]

ミトコンドリアNETosis

関連項目

脚注

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