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ハエ取り紙

蠅を駆除するために用いられる紙 From Wikipedia, the free encyclopedia

蠅取り紙(はえとりがみ、はえとりし。表記揺れ:蠅取紙、ハエ取り紙、ほか。読みの転訛形:はいとりがみ、はいとりし。歴史的仮名遣:はへとりがみ、はへとりし)とは、蠅(はえ、ハエ)を駆除するために用いられる紙。

粘着式蠅取り紙の広告(1898年頃・アメリカ)。

予め殺蠅効果のある薬剤を染み込ませた紙を水に浸し、薬物が滲出した水を舐めた蠅を殺す浸水式のものと、紙などシート状のものに誘引剤を含む粘着性物質を塗り、そこにとまった蠅を物理的に捕らえる粘着式のものとがある。

英語では "flypaper(日本語音写例:フライペーパー)"、中国語では「捕蝇纸(捕蠅紙)」のほか、様々な名称で呼ばれる。また特に吊り下げタイプの粘着式蠅取紙は、日本ではその形状や商品名から蠅取りリボンやリボン蠅取りとも呼ばれ、英語でも fly ribbon(日本語音写例:フライ リボン)とも言う。

概要

浸水式の蠅取り紙(昭和前期)。
浸水式の蠅取り紙専用の皿(イギリス・19世紀末)。蠅の絵柄と吊り紐用の穴がある。
平紙型の粘着式蠅取りシート/数多くの飛翔性昆虫を“一網打尽”にした状態。
吊り下げタイプの粘着式蠅取り紙は20世紀初頭にドイツで開発され大正時代には日本でも輸入販売されるようになった。
吊り下げタイプの粘着式蠅取り紙。

粘着式のものは主にロジンと油(ひまし油など)などを原料とする粘着性の強い粘性を持った液体が塗布されており、これに接触した昆虫など小動物がベタベタ粘りつくことで捕らえられる。これは所謂接着ではないため、揮発性の高い溶剤が乾くことで固化しないようになっており、概ね塗布された液体の面が出ている限りは対象を捉えることが出来るが、大抵は(大量の虫が貼り付いている状態は見た目の上でも衛生的に見えないなどの事情で)ある程度の期間が経ったら新しいものに交換される。 その多くでは1つのパッケージに何本かがセットになっており、数箇所に同時に設置したり、定期的に交換される替えとして利用される。このタイプは、高さ8センチメートル程度の紙筒に入ったテープを引き出して使用する。テープ先端には画鋲が取り付けられている製品もあり、これを天井や鴨居などに刺して固定する。近年[いつ?]では、シートタイプやスティックタイプも散見されるようになった。古典的な製品ではあるが、基本的に殺虫剤成分を含まないため、食品を取り扱う事業所などでよく使われる。日本では製造会社の商品名である「リボンハイトリ」や「ハエ取りリボン」がそのまま通称として用いられることも多かった。

一方殺虫効果のある薬剤を染み込ませた浸水式の蠅取り紙にはかつてヒ素が使われたことがあり、[1]、水に浸すと人体にも有害なヒ素を抽出できることから、フレデリック・セドン(英語版)やフローレンス・メーブリックといった毒殺者が使用したことでも知られている[2] 。

注意点

​粘着式のハエ取り紙は強い粘着力を持つため、人やペットなどの動物が誤って触れると容易に取れなくなる恐れがあり、取り扱いには注意が必要である。また、風が吹き抜ける場所に設置した場合、埃や葉屑などのゴミが付着し、捕獲機能が早期に低下することにも留意しなければならない。

応用

​設置場所を通過する小動物を無差別に捕獲できる特性から、地域内の動物相の調査や生態学的研究に応用されることがある。例えば、任意の高さに吊るすことで、飛翔する昆虫を高度別に採集することが可能となる。また、池の水面に設置した実験では、アメンボが水面よりもわずかに上の空間で捕獲される例が予想以上に多かった、といった知見も報告されている。

主要メーカー

  • カモ井加工紙株式会社: 1923年(大正12年)創業の老舗メーカー。創業時から日本初となる平紙タイプのハエ取り紙を製造販売しており、1930年(昭和5年)には吊り下げリボン型を開発・発売した。
  • その他メーカー: 小林製薬(「桐灰 ハエ取りリボン」)や、シマダ商事(「SHIMADA ハエ取りリボン」)などが展開している。

季語

俳句における「蠅取紙 / 蠅取り紙(はえとりがみ、歴史的仮名遣:はへとりがみ、別読:はいとりがみ)」は、夏の季語(三夏)である。「蠅(はえ)」を主季語(親季語)とする子季語の一つとして扱われる。

転義

財政学・税制における「ハエ取り紙の理論」とは、ハエ取り紙の「最初に触れた場所に張り付いて離れない」という性質に例えた経済理論・揶揄表現である。主に以下の状態を指す。

  • 国から地方政府に交付された補助金が、住民への減税やサービス拡充に還元されることなく、地方政府の財政支出としてその場にとどまり膨張してしまう現象。
  • 課税の帰着において、税負担が最初に課税された対象から他へ転嫁・分散しないとする見方。

関連作品

​映画『フライペーパー! 史上最低の銀行強盗』(原題:Flypaper)はタイトルに「フライペーパー(ハエ取り紙)」を冠している。

脚注

関連項目

外部リンク

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