ハレアカラ天文台
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ハレアカラ天文台、左の大きな建物がDKIST、右側で一番大きな建物がAEOS | |
| 運営者 | 天文学研究所[*] |
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| 所在地 |
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| 座標 | 北緯20度42分30秒 西経156度15分26秒 / 北緯20.7083度 西経156.2571度座標: 北緯20度42分30秒 西経156度15分26秒 / 北緯20.7083度 西経156.2571度 |
| 標高 | 3,052 m (10,013 ft) |
| 開設 | 1961 |
| ウェブサイト |
about |
| 望遠鏡 | フォークス北望遠鏡[*], ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡, パンスターズ, 空軍マウイ光学観測所[*], ATLAS–HKO[*] |
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ハレアカラ天文台(ハレアカラてんもんだい、Haleakalā Observatory)、またはハレアカラ高地観測サイト(ハレアカラこうちかんそくサイト、Haleakalā High Altitude Observatory Site)は、ハワイに初めて建てられた研究用天文台である[1]。 マウイ島にあり、ハワイ大学に所属するハワイ大学天文学研究所(IfA) が所有しており、同研究所は敷地内に複数の望遠鏡や観測施設を所有する他、敷地を他の研究機関に貸し出すことで他機関の施設・望遠鏡も受け入れている。テナントとしてはアメリカの空軍研究所、ラス・カンブレス天文台のグローバル望遠鏡ネットワーク(LCOGTN)、日本の東北大学などがある。標高3050mを超えるハレアカラ山の山頂は地球の対流圏の1/3よりも上に位置するため、シーイングなどの観測条件において優れている[2]。
ミース太陽観測所
ミース太陽観測所(Mees Solar Observatory:MSO)は1964年に開所された太陽観測所で、その名前はコダック社の写真科学者ケネス・ミースに由来している[1]。 1つのドーム内に、複数の観測機器が同一の架台に搭載されて併用されている[3]。
パンスターズ

パンスターズ(Panoramic Survey Telescope and Rapid Response System:Pan-STARRS)は現在2台の望遠鏡(PS-1とPS-2)とコンピューターシステムからなる全天サーベイで、継続して空の全領域を順番に網羅的に撮影し検出した天体の位置測定と測光を正確に行っている[4]。 同じ領域を過去に撮影した画像と比較することにより、これまでに小惑星番号が登録されただけでも10万個以上の小惑星、特に1万個以上の地球近傍小惑星[5]、彗星や変光星、超新星やその他の天体を発見している[6]。
小惑星地球衝突最終警報システム
小惑星地球衝突最終警報システム(Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System:ATLAS)はNASAの資金提供を受けハワイ大学が運用している、口径50cm望遠鏡で地球に衝突の迫った地球近傍小惑星を発見するためのサーベイである[7]。世界5か所に望遠鏡を設置しているうちの1つがハレアカラ天文台にあり、ATLAS全体では1000個以上の地球近傍小惑星、100個以上の彗星、5000個以上の超新星を発見している[8]。
フォークス北望遠鏡
口径2mの反射望遠鏡であるフォークス北望遠鏡はフォークス望遠鏡プロジェクトを構成する望遠鏡の1つで、ラス・カンブレス天文台によって運用されている。主にイギリスの学生向けに研究用望遠鏡にリモートアクセスできる環境を提供している[9]。オーストラリアに設置された、片割れともいえるフォークス南望遠鏡とともに南北半球の観測範囲を両方カバーしている。そのほかラス・カンブレス天文台はハレアカラ天文台内に0.35m望遠鏡を2台設置している[10]。
TLRS-4 レーザー測距システム
TLRS-4レーザー測距システムは国際レーザー測距サービス(ILRS)の一環として、衛星レーザー測距と月レーザー測距実験のデータを提供している[11]。 TLRS-4は以前まで稼働していたLUWE観測所の運用終了後に、データの継続性を維持するために設けられており、古いLUWE観測所の跡地に置き換わってできたのが現在のパンスターズの望遠鏡である[12]。
黄道光天文台
黄道光天文台は現在2つの観測装置を有している。 コロナ・周縁活動領域用自由散乱望遠鏡(SOLAR-C)は口径50cmの軸外し反射望遠鏡によるコロナグラフで、太陽コロナの研究に使用されている[13]。 昼夜シーイング監視望遠鏡システム(DNSM)では、望遠鏡に依存しない手法でハレアカラ上空の大気の擾乱の程度を常に観測している[14]。
マウイ宇宙監視複合施設

アメリカ空軍研究所内のアメリカ空軍科学研究所では、空軍光学・スーパーコンピューティング観測所(AMOS)の一部として、マウイ宇宙監視複合施設(MSSC)を運用している。 MSCCには3.67m先進電子光学システム望遠鏡(AEOS)[15]、マウイ宇宙監視システム(MSSS)、地上設置型電子光学深宇宙監視システム(GEODSS)が設置されている。このうちMSSSにはさらに多くの光学装置が設置されており、口径1.6m望遠鏡や2台の同架された1.2m望遠鏡、0.8mのビームディレクターとトラッカー、0.6mのレーザービームディレクターなどがある[16]。 GEODSSでは2台の口径1m望遠鏡と38cm望遠鏡が設置されている[17]。
これらの観測対象は地球を周回する人工天体や弾道ミサイルであるが、副次的に小惑星の観測も行っており、100個近くの小惑星を発見している[6]。
ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡
ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡 (DKIST)は口径4mの太陽望遠鏡で、アメリカ太陽天文台が運用している[18][19]。
全天自動捜索システム
ワルシャワ大学が運用している全天自動捜索システム(All Sky Automated Survey:ASAS)はチリのASAS-Southとハレアカラ天文台のASAS-Northで構成されており、14等級より明るい1000万個の恒星を各観測所に2台ずつ置かれた、デジタルカメラ用の望遠レンズに近い小望遠鏡でモニター観測している[20]。
全天超新星自動サーベイ
オハイオ州立大学が運用している全天超新星自動サーベイ(All-Sky Automated Survey for Supernovae:ASAS-SN)は、20台のカメラ用望遠レンズのような小望遠鏡を世界5か所に設置しており、うち4台がハレアカラ天文台にプロジェクト開始当初から設置されている[21]。ハレアカラ天文台においてはASAS-SNの望遠鏡はラス・カンブレス天文台が管理している。
東北大学附属観測所
東北大学大学院理学研究科の惑星プラズマ・大気研究センター(PPARC)では2006年3月にはT40と呼ばれる40cm望遠鏡を、2014年9月にはT60と呼ばれる60cm望遠鏡を設置している[22]。 補償光学と組み合わせた複数の観測装置により、木星の衛星イオにある火山ガスや水星のナトリウム大気、金星・火星大気の温度場・速度場の赤外線観測を継続的に行っている[23]。
将来建設予定の施設
空軍研究所では、AEOSに隣接して、望遠鏡の鏡の再メッキ施設を建設することを計画している[17]。
以前存在した施設

- 宇宙追跡プロジェクトの一環で1957年から1976年にかけて、ベーカー・ナン型のシュミット式望遠鏡が運用されていた[24]
- 月測距実験(LURE)の観測所が1974年から2004年まで運用されていた[24]。2台のドームで構成されており、北ドームの跡地がパンスターズのPS-1、南ドームの跡地がパンスターズのPS-2に使用されている。
- シカゴ大学のエンリコ・フェルミ研究所は1991年から2007年までハレアカラ宇宙線中性子監視ステーションを運用していた[24][25]。
- ハレアカラガンマ線天文台は、6台の鏡を1つの赤道儀に搭載した、宇宙線由来のチェレンコフ放射を捉えるための大気チェレンコフ望遠鏡である。1981年に設置され1988年に改修された。
- 1960年代から1970年代にかけて大気光の観測が敷地中央で行われており、現在そのプラットフォームは別の一時的な観測に使用されている[17]。
- 1995年に始まった地球近傍小惑星追跡 (NEAT)プログラムは2000年から2007年にかけて、MSSSの1.2m望遠鏡の1つも使用望遠鏡に含めて行われており、プロジェクト全体では5万個以上の小惑星が発見された[6]。
- 東京大学のCOE初期宇宙研究センター(現:ビッグバン宇宙国際研究センター)は口径2mの近赤外望遠鏡であるマグナム望遠鏡を運用していた[26]。1998年から2008年までLUWEの北ドームで運用していた[24]。超新星やクエーサー、活動銀河核を多波長で長期間にわたりモニター観測することによって、地球からの天体の距離を正確に測定し宇宙年齢を精密に決定することを目的とされた[27]。