ハン角斉
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北海道上川郡新得町出身[8]。幼少期から絵を好み、父に買ってもらった『鉄腕アトム』のキャラクターを模写していた[8]。小学1年生の頃から漫画家を目指し、子供の頃に『COM』を読んだことでもそう思うようになり、絵を褒められていく中でストーリーのある作品を描きたいと考えていた[3][8][9]。
だが高校生で頭打ちを感じ、投稿もしていたがどうしても他と似てしまう画の個性のなさ、物語も作れないと才能がなかったと諦め、そのまま漫画から遠ざかっていく[1][8]。以降は数年おきに漫画を描いても途中で放置していた[10]。新得町立屈足小学校、大樹町立大樹中学校、北海道大樹高等学校を卒業、東京へ行き鍼灸、指圧マッサージを覚えて柔道整復師の資格も取り29歳のときに帰郷[1][8]。芽室町と帯広市に接骨院を開業、漫画は2-3ページの落書きをするくらいだった[1][8]。再度、向き合ったようになったのは35歳のとき、画力を尊敬していた池上遼一の20代と後の作品の違いに驚き、池上の若い頃の画は下手に感じたが「どんな人物を描きたいか強く思うことが大切で、努力をすればここまでの領域に行けるのか」とかなりの衝撃を受けた[1][6]。
それから少しずつ執筆し出して、接骨院は来院する人も増えないまま暇ため、子育てが一段落した45歳頃で腰を据えて描き始める[6][10][11]。それまでやっていなかった順を踏んで最後まで描くことにして、下書き、ネーム、アイディア考案を行い、47歳のときに執筆再開後一作目『一期一会』を出版社に送るも年齢のこともあってかウけなかった[5]。自らは目指すところがなかったことで独自の画が描けていなかったとなり、味のある人物像、流行りに惑わされない話を意識して投稿、一次審査で落選が続いていたものの、一作描くごとに話の展開で成長していると感じていた[1][10]。そのこともあって漫画賞には20回以上落ち続けても楽しくて辛くはなく、そのうち還暦になっていたが、ハンは面白ければどうにかなると年齢のことは考えなかった[10][12][11]。
「小学館新人コミック大賞」に幾度も挑み、5段階評価で低いCやD判定ばかりだったが[* 2]『眠りに就く時…』が転機となり、2019年の同賞で同作が初の1次審査通過、絵の古さや作者の年齢に対するネガティブな指摘もありながら、業田良家から切なさから涙が出るほどと高評価され、初のA判定、奨励金10万円を獲得、64歳で初めて結果が出て、初めて担当も付き、それは編集者自身が手を挙げてのことだった[1][2][4][10][12][13]。同作が完成して手応えを感じて、これでも駄目なら手法を考えないといけないとハンは思っていたが、プロの漫画家に評価されたことで自分の評価も間違っていないとわかった[5]。『山で暮らす男』が「第5回ヤングスペリオール新人賞」編集長金一封の50万円を獲得、2020年『ビッグコミックスペリオール』21号掲載、65歳にしてデビューした[1][2][8]。画の独特さから同誌編集部では賛否両論あったが担当編集者は上手い下手ではなく独自性のある画や不条理な設定の面白さ、漫画を執筆し始めたときの衝動に満ち溢れ、結構新鮮でもあったと感じた[2][10]。
2022年9月、『67歳の新人 ハン角斉短編集』が刊行され同年11月に増刷、2023年2月時点で3刷[1][10]。
ストーリーは主人公が不幸な状況であることが多く、虚実が逆になるような仕掛けがあり、石田汗太は後味の悪い、意外性のある展開が魅力だとしている[3][9][14]。最後には答えとして救いを描き、それがないものはそもそも描かない[5]。画風は粘着質なタッチで、1960年代後半の大人向け漫画雑誌『COM』的漫画、『ガロ』のようなシリアスな劇画調[3][15]。人の肌の凹凸に合わせて細い線で陰影を描いたり、輝く星がありつつも漆黒の夜空を描線で表現したりしている[16]。『スペリオール』の担当編集者は執念のある異様とも思える描き込みで、独特の世界観や人生観に惹かれると評している[1]。大多数の漫画家がデジタル作画を行う中、ペンで手描きして、1コマに30時間かけたこともある[1][5][6]。30ページの漫画の制作に2-3か月ほどかけ、仕事の合間や接骨院から帰ってきてから明け方まで執筆、締切が近付くと接骨院は休むため原稿料があってもトータルでは収入が減るという[1][5]。
ペンネームは一発で覚えてもらえるように、馬鹿らしい、あほらしい、非常識を意味する北海道弁「はんかくさい」が由来で、晩年まで描き続けた葛飾北斎を重ねた[4][8][10]。
作品
- 『67歳の新人 ハン角斉短編集』(2022年、小学館)
脚注
注釈
出典
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 “67歳の新人漫画家、幕別町のハン角斉さん 初の単行本出版”. 十勝毎日新聞. (2023年2月25日). https://kachimai.jp/article/index.php?no=581103 2025年8月22日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “67歳の新人マンガ家! その独特すぎる“不条理な物語”に編集部は賛否両論。それでもデビューが決まった理由とは”. 文春オンライン. (2022年10月1日). https://bunshun.jp/articles/-/57786 2025年8月22日閲覧。
- 1 2 3 4 石田汗太 (2022年11月18日). “New mangaka releases 1st collection at 67 years young” (英語). The Japan News. https://japannews.yomiuri.co.jp/culture/manga-anime/20221118-71541/ 2025年10月15日閲覧。
- 1 2 3 4 「Re ライフ 人生充実 面白いもの、描けばいい 67歳の新人漫画家・ハン角斉さん」『朝日新聞』2023年1月22日、東京版朝刊、25面。
- 1 2 3 4 5 6 “67歳の新人漫画家・ハン角斉とは…?!”. 日本放送協会. (2023年7月3日). オリジナルの2024年2月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240213083744/https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-na43b16b57966 2025年10月11日閲覧。
- 1 2 3 4 「67歳「新人漫画家です!」 接骨院経営と二足のわらじ」『山口新聞』2023年9月16日、10面。
- ↑ “【67歳の新人 ハン角斉短編集】発売記念インタビュー!”. ビッグコミックBROS.NET (2022年9月30日). 2025年10月16日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 “67歳の新人漫画家 「馬鹿げた」ペンネームと愚直に描くストーリー”. 朝日新聞. (2022年12月22日). https://www.asahi.com/articles/ASQDN61JRQD9IIPE01B.html 2025年8月22日閲覧。
- 1 2 “NIPPONまんが研究所 第313回.67歳でプロデビュー! 驚異の新人漫画家が日本に登場”. 日刊サン. (2022年11月25日). https://www.nikkansan.com/column/post/1000003326 2025年10月11日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 「北海道・幕別町の67歳、夢かなえ漫画家デビュー 整骨院経営のハン角斉さん 20年続けて出版社へ投稿」『北海道新聞』2023年1月7日、朝刊、28面。
- 1 2 “67歳の新人 ハン角斉短編集”. 小学館コミック (n.d.). 2025年10月11日閲覧。
- 1 2 “人生の悲哀、強烈な絵柄に乗せて 67歳の新人漫画家が初単行本”. 朝日新聞. (2022年12月24日). https://www.asahi.com/articles/ASQDS34FCQDJIIPE01H.html 2025年8月22日閲覧。
- ↑ “67歳の新人漫画家 見いだしたのは、「スペリオール」副編集長”. 朝日新聞. (2023年1月3日). https://www.asahi.com/articles/ASR134H0VQDJIIPE01L.html 2025年8月22日閲覧。
- ↑ 南信長「遅れてきた新人、細密なタッチで コミック 67歳の新人 ハン角斉短編集 ハン角斉<著>」『朝日新聞』2022年10月15日、東京版朝刊、20面。2025年10月15日閲覧。
- ↑ 「pop&culture ときめく 回顧2022 アニメ・マンガ 強すぎる!!!「ジャンプ」イヤー」『朝日新聞』2022年12月10日、東京版夕刊、2面。
- ↑ “マンガ家を夢見て半世紀『67歳の新人 ハン角斉短編集』”. QJWeb クイック・ジャパン ウェブ. (2022年12月17日). https://qjweb.jp/column/77802/ 2025年10月15日閲覧。
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