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ヘキサカルボニルバナジウム

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ヘキサカルボニルバナジウム (: hexacarbonylvanadium)、またはバナジウムカルボニル (: vanadium carbonyl) とは、化学式が V(CO)6 と表される金属カルボニルである。反応性が高く、理論的、学術的に注目すべき性質を持つ。ホモレプティックな金属カルボニルでは珍しく、常磁性かつ単離が可能である。Mx(CO)y と表されるほとんどの金属カルボニルが18電子則に従うのに対し、V(CO)6 が持つ価電子は17個である[1]

概要 物質名, 識別情報 ...
ヘキサカルボニルバナジウム
ヘキサカルボニルバナジウムの構造式
ヘキサカルボニルバナジウムの構造式
ヘキサカルボニルバナジウムの球棒モデル
ヘキサカルボニルバナジウムの球棒モデル
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.039.928 ウィキデータを編集
EC番号
  • 243-937-2
Gmelin参照 3893
UNII
性質
C6O6V
モル質量 219.00 g/mol
外観 青緑色の結晶
黄色の溶液
融点 分解
沸点 50 °C, 15 mmHg(昇華)
溶けない。
その他の溶媒への溶解度 ヘキサンに 5 g/L
ジクロロメタンによく溶ける。
構造
直方晶系
八面体
0 D
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
CO供給源
関連する物質
関連物質 ヘキサカルボニルクロム
テトラカルボニルニッケル
塩化バナジウム(III)
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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合成

古典的な手法において V(CO)6 は、[V(CO)6]- を中間体として経由する二段階反応で合成される。まず VCl3 を200気圧一酸化炭素のもと、160 °Cにおいて金属ナトリウムにより還元する。この還元反応の溶媒は通常ジグリムが用いられる。ジグリムは、クラウンエーテルと同様にナトリウム塩を可溶化させる。

4 Na + VCl3 + 6 CO + 2 diglyme → [Na(diglyme)2][V(CO)6] + 3 NaCl

生成した陰イオンは酸で酸化される[2]

2 V(CO)
6
+ 2 H3PO4 → 2 V(CO)6 + H2 + 2 H2PO
4

反応

V(CO)6 は、熱的に弱いバナジウム錯体への前駆体として重要である。まずモノアニオン [V(CO)6]- へ還元してさまざまな V(-1) 化合物へ誘導できる。また、ホスフィンによる置換反応も容易であり、このときの生成物はしばしば不均化を起こす。

V(CO)6 は、シクロペンタジエニルアニオンと反応して橙色の錯体 (C5H5)V(CO)4(融点136 °C)を与える。イオン性に乏しい多くの有機金属化合物のように、このハーフサンドイッチ型錯体は揮発性である。かつては C5H5- の供給源として、C5H5HgCl が用いられた。

構造

V(CO)6 の構造は八面体形である。高分解能X線結晶構造解析によると、4個のエカトリアル位の配位子との結合距離が2.005(2) Å、2個のアキシャル位の配位子との結合距離が1.993(2) Åとなっておりわずかに歪んでいる。このゆがみはヤーン・テラー効果によるものといわれる。

脚注

参考文献

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