ヒマラヤナンジャモンジャゴケ

コケ植物の一種 From Wikipedia, the free encyclopedia

ヒマラヤナンジャモンジャゴケTakakia ceratophylla)は、ナンジャモンジャゴケ科ナンジャモンジャゴケ属に属するコケ植物の1種である。1861年にウィリアム・ミッテンによって、はじめ Lepidozia ceratophylla として記載された。のちに Riclef Grolle によって現在の組み合わせ Takakia ceratophylla とされた。ヒマラヤナンジャモンジャゴケは、IUCNレッドリスト絶滅危惧種(危急種、Vulnerable, VU)と評価されており、人間活動による生息地の喪失によって脅かされている。[1]

概要 ヒマラヤナンジャモンジャゴケ, 保全状況評価 ...
ヒマラヤナンジャモンジャゴケ
Takakia ceratophylla の乾燥標本。
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 VU.svg
Status iucn3.1 VU.svg
分類
: 植物界 Plantae
: マゴケ植物門 Bryophyta
: ナンジャモンジャゴケ綱
Takakiopsida
亜綱 : ナンジャモンジャゴケ亜綱
Takakiidae
: ナンジャモンジャゴケ目
Takakiales
: ナンジャモンジャゴケ科
Takakiaceae
: ナンジャモンジャゴケ属
Takakia
: ヒマラヤナンジャモンジャゴケ
T. ceratophylla
学名
Takakia ceratophylla (Mitt.) Grolle[2]
和名
ヒマラヤナンジャモンジャゴケ
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概要

本種は、当初は苔類の一種として Lepidozia 属に分類されていた。その後、日本ナンジャモンジャゴケが発見されて再分類され、形態的特徴および遺伝子配列に基づいて、苔類と蘚類の双方に類似する特徴をもつ植物として注目された。[3] 蘚類に類似する特徴としては、軸柱、細長い胞子体基部である足、蘚帽(カリプトラ)の存在、伸長してねじれる蒴柄、および胞子散布に関わる弾糸を欠くことなどがある。一方で、本種では仮根胞子嚢壁の気孔の蓋、胞子散布に関わる蒴歯などは明瞭に分化しない。[4]

分布と生育環境

ヒマラヤナンジャモンジャゴケは陸生で、中国インドネパールアメリカ合衆国に分布する。主な生育環境は、内陸または山地の岩場、崖地、晩くまで積雪が残る寒冷な乾燥地である。低地から中標高域、おおむね70–700 mの範囲で見られる。[1]

形態

配偶体

配偶体茎葉体は硬く、緑色である。茎の先端部は脱落しやすく、この性質は本種の無性生殖に関係している。乾燥標本には匂いはない。[3] 葉は先細りで深く裂け、不規則ならせん状に配列する。葉の細胞には単純な油体状構造があり、葉腋には腋毛をもつ。葉は多層性で、13–20個の厚壁細胞からなる。また、色素をもたない地下茎状の枝を形成し、これが新しい茎やシュートの形成に関与する。

有柄の造精器と瓶状の造卵器は蘚類に似た構造を示し、茎の側面において葉の間に埋もれるように存在する。茎にはクチクラがあり、弱い通導束をもつ。[3]

胞子体

胞子嚢は小さな帽子状の蘚帽(カリプトラ)によって保護される。カリプトラは頂部から基部に向かって次第に薄くなる。蒴柄と蒴ははじめ緑色で、成熟に向かって褐色または黒色になり、胞子嚢の成熟前に伸長または拡大する。長く先細りの足は、配偶体から胞子体へ養分を移送する役割をもつ。蒴柄から足にかけては、コケ植物で水分通導に関わるハイドロイドを含む明瞭な通導束が連続する。[3]

蒴は発達にともなって膨張し、その結果、らせん状の裂開線が明瞭になる。この裂開線は、外壁の外層細胞が右巻きに配列し、その細胞壁が壊れることで形成される。裂開は蒴の中央部から始まり、頂部および基部へ広がる。外包組織は蒴壁を形成し、内包組織は造胞組織とドーム状の軸柱を形成する。胞子の成熟時には、軸柱と胞子嚢の細胞が崩壊する。[4]

本種は吸湿性をもち、胞子散布は受動的に行われる。胞子は蒴の内部空間で形成される。胞子放出時には柄が右方向にねじれ、蒴の裂開部が広がって扁平化し、胞子がその隙間を通って時間をかけて散布される。裂開部の広がりは、外層細胞の成熟度と乾燥状態に左右される。[4]

脚注

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