ビハム・ミドルトン・レヴィン交通モデル
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歴史
ルール
このモデルでは、平面が細かい格子(セル)に分けられており、初期状態では「青い車」と「赤い車」がセルの中にランダムに配置されている。そして「青い車が動く順番」と「赤い車が動く順番」が交互に訪れる。「青い車が動く順番」では、全ての「青い車」が一斉に、一つ下のセルに移動する。ただし下のセルに「他の車」がいる場合は、そのままその位置に留まる。平面の下は平面の上に繋がっているので、下端の「青い車」は上端に移動する(上端に他の車がいなければ)。「赤い車が動く順番」では、全ての「赤い車」が一斉に、一つ右隣りのセルに移動する。多くの場合、「青の順番」と「赤の順番」をセットで「1回」と数える。

5×5の格子の例で説明する。図2の左図の状態から始まり、次が「青の順番」だった場合、「青1」の下は空いているので、「青1」は下に移動する。「青2」の下には「赤1」がいるので、「青2」は移動しない。「青3」の下には「青4」がいるので移動できない[4]。(「青4」は下に移動できるので「青3」も移動できる、として計算されることもある。)「青5」「青6」も移動できない。「青7」は最下部だが、この下は最上部に繋がっているので、「青7」は一番上に移動する。結果として図2の中央図の状態となる。この次は「赤の順番」となり、「赤4」と「赤5」以外は1つ右に移動でき(「赤2」は一番左に移動する)、結果として図2の右図の状態となる。
自由流動段階と渋滞段階
モデルがシンプルであるにもかかわらず、この交通モデルでは、全ての車が停止することなく動く「自由流動段階」(free-flowing phase)と、全ての車が停止する「渋滞段階」(jammed phase)という、両極端な段階に到達する場合が多い[1]。正方格子の場合、車の密度が32%を下回ると自由流動段階に、32%を上回ると渋滞段階になりやすい[5]。
図3と図4は同じ200×200の格子であるが、図3は「車」の密度が30%、図4は36%に設定してある。図3は初期にはランダムであるが、だんだんと赤と青の層に分かれていき、やがて全ての車が停止することなく移動する段階、すなわち自由流動段階になる。一方で、図4も初期にはランダムだが、だんだんと渋滞がひどくなって、ついには全ての車が停止した段階、つまり渋滞段階となる。
次の図5と図6は、初期状態から自由流動段階、あるいは渋滞段階になるまでを表した動画である。
中間段階
中間段階は、自由流動段階と渋滞段階が切り替わる密度に近いところで発生し、部分的に自由流動の部分と渋滞の部分とが混在する。
「中間状態」には2種類ある。1つは、移動する車同士に一定の車間(多くの場合3台分)ができて整然と移動する「周期的状態」(Periodic Intermediate state, PI)である。もう一つは、車間が無秩序に変化する「無秩序状態」(Disordered Intermediate state, DI)である。それに加えて広範囲な渋滞(global jam, GJ)の部分があるので、中間状態はPI, DI, GJの3箇所を含む場合が多い[6]。正方格子が中間状態になる場合、一般には無秩序となりやすいが、2008年には正方格子でも周期的な中間状態となる条件が見つかっている[6]。
2辺が互いに素の場合
境界条件の影響
このモデルは、右辺と左辺、上辺と下辺がまっすぐ繋がった状態について解析されることが多いが、捩じって接続した場合についても研究されている。
2009年、セビリア大学のカンポーラらは、このモデルの境界条件を、
(a) 「トーラス構造」。つまり、本来のルール通り。
(b) 「クラインの壺構造」。青い車が下端の下に移動する場合、上端の左右が反対の位置に出現させる。例えば前記の図2の左図で説明するなら、「青7」の車は1行目5列目ではなく、1行目1列目の位置に出現させる。赤い車の動きは本来のルール通りとする。
(c) 「 実射影平面構造」。(b)に加えて、赤い車が右端から右に移動する場合に左端の上下が反対の位置に出現させる。
の3つで、横軸を密度、縦軸を車の移動度で表したグラフの減少速度について検討した。
その結果、「クラインの壺構造」では「トーラス構造」よりも移動度の減少速度がわずかに速く、「 実射影平面構造」では「トーラス構造」よりも移動度の減少速度がわずかに遅いことが明らかになった[7]。
乱数化
数学的証明
このモデルは単純だが、厳密な解析は非常に困難である[5]。このモデルに対する数学的証明は、これまでのところ、パラメーターが極端な値の場合に限定されて行われている。
2005年4月、ブリティッシュコロンビア大学のエンジェルらは、密度が1に近い場合、常に渋滞が発生することを厳密に証明した[9]。
2006年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のティム・オースティンらは、N×Nの正方格子の場合、車の数がN/2以下であれば、常に全ての車が停止することなく移動できる状態になることを発見した[10]。




