現在コンヴァースは、標題音楽の作曲で成功を収めることのできた最初のニューイングランドの作曲家として、アメリカ音楽史にその名を残している。コンヴァースは、R.シュトラウスなどの同時代のヨーロッパの後期ロマン派音楽に根強く影響されていたが、着想の源はしばしばアメリカ人の生活感情に根ざしている。たとえば、最初の交響詩≪神秘のらっぱ吹き≫(1904年)は、ウォルト・ホイットマンの『草の葉』に着想を得た作品である。
交響詩≪大衆車1000万台 Flivver Ten Million≫は、1927年にフォード・モデルTの総生産数1000万台達成を記念して作曲された。同時期に、オネゲルによる鉄道賛美の≪パシフィック231≫や、モソロフの重工業の生産過程を描写した≪鉄工場≫があることから、このコンヴァース作品もモータリゼーション賛美の描写音楽と見なされがちである。だがコンヴァースの表現は、この二人と違って、叙事的・叙情的である。この交響詩については、アメリカの大衆社会や民主主義のシンボルとして大衆車が選ばれたという側面を見落としてはならないだろう。