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ヘリテージツーリズム

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ヘリテージツーリズム(heritage tourism)とは、ヘリテージすなわち遺産(文化遺産や自然遺産)を観光資源として利用すること。ヘリテイジツーリズムとも書く。

概念

世界遺産をめぐるヘリテージツーリズムは、観光の計画と遺産管理を目的地単位で統合し、自然・文化資産を評価・保護したうえで適切な観光を発展させる取り組みとして扱われる[1]。UNESCOの世界遺産と持続可能な観光プログラムは、世界遺産における持続可能な観光の管理と開発を進め、関係者の認識向上、能力形成、均衡ある参加を通じて物件と顕著な普遍的価値を保護することを任務に掲げる[1]。同プログラムでは、観光の計画、遺産管理、関係者参加、資産保護が同じ枠組みで扱われている[1]。

日本の政策文脈では、近接する用語として文化観光推進法に基づく文化観光があり、これは地域に受け継がれてきた歴史・芸術・伝統と暮らしに根ざした文化資源の価値を理解し、深く味わうことを目的とする観光である[2]。同法制の説明では、文化資源の保存を前提に魅力発信と保存・継承の意義の理解を促し、文化の振興を起点として観光振興、地域活性化、文化振興への再投資を循環させる構想が示されている[2]。この位置づけは、遺産の保存と活用を同時に扱う点でヘリテージツーリズムと重なるが、法律上の制度名称としては文化観光が用いられている[2]。

日本でしばしば対象とされる近代化産業遺産については、産業近代化の過程を物語る建築物、機械、文書が今日まで継承され、無形の価値を伝えるものとして整理されている[3]。経済産業省は、これらを地域活性化の有益な「種」として位置づけ、地域史・産業史の観点から「近代化産業遺産群33」および「近代化産業遺産群 続33」を公表した[3]。また、産業遺産を観光にも活用できる可能性を背景に、産業遺産等を活用した地域活性化に係る有識者研究会とガイドブックの作成が行われた[3]。ヘリテージツーリズムを地域の文化遺産マネジメントとして扱う研究では、自然・文化遺産のマネジメントを持続可能とする観光形態として、文化遺産、地域コミュニティ、人の関係を再生することが論点とされ、地域資源のデータバンク機能、利活用の促進機能、生活還元機能が枠組みとして挙げられている[4]。

2002年の国連文化遺産年をきっかけにユネスコが世界観光機関(UNWTO)などと世界遺産を途上国での雇用確保と保全費用捻出のための収益源にすべく活用する「世界遺産と持続可能な観光プログラム」[5]を作成し、遺産の商品化を解禁したことで波及した。

アメリカの市場調査によると、新型コロナウイルス感染症の流行により2020年の観光業は世界的に壊滅状態となったが、ヘリテージツーリズム(主として世界遺産訪問)への関心から移動の自由や衛生面での安全が担保されれば、ヘリテージツーリズム(交通や宿泊などの関連産業を含む)だけで全世界で2026年までに10兆円産業に成長すると試算した[6]。

前述で試算された2026年を迎え、2023年時点で約9兆7,000億円を稼ぎ出した統計が明らかになり、2033年には15兆円の市場規模になる予測が新たに示された。これはアフターコロナ以降、各国で観光需要の回復目的からインフラ整備に尽力し旅行しやすい環境が急速に整えられたことに加え、受け入れる側の施設での積極的な特別公開(修復現場などを含む)による集客努力、デジタルコンテンツプラットフォームやソーシャルメディアによる情報発信での触発、そしてイミ消費やボランティアツーリズム(英語版)といった高単価であっても目的とする意識の変化が影響していると分析された[7]。

一方日本においては既存の近世までの文化財に対し明治以降の近代化遺産(近代化産業遺産)で、特に地域の産業遺産を保存し活用することで産業の発展を支えてきた各種技術や先人の営みを後世に伝え、地域に優れた産業技術が存在したことを地域や住民の誇りにつなげるとともに、外部の人が訪れガイドの案内等を通じて学習・交流する旅行のことを指す。

日本では平成期以降に新しい旅行・観光の姿として注目されており、対象となる産業遺構は主として近代以降のもので保存状態のよい物件が対象となる。

日本においてヘリテージツーリズム活動の行われている地域

脚注

関連項目

外部リンク

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