ボビーの帰還
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| 生物 | イヌ 学名:Canis lupus familiaris |
|---|---|
| 品種 | ラフ・コリー(スコッチ・コリー)とイングリッシュ・シェパード・ドッグの雑種 |
| 性別 | 雄 |
| 生誕 | 1921年 |
| 死没 | 1927年 (5~6歳) |
| 墓地 | Oregon Humane Society |
| 国籍 | アメリカ合衆国 |
| 著名な要素 | アメリカを横断し、オドメーター(走行距離計)で計測したところによれば4,105km以上の距離を旅した[注釈 1] |
奇跡の犬ボビー(きせきのいぬボビー、Bobbie the Wonder Dog、1921年 - 1927年)は、4,105kmもの距離を歩いて戻ったことで有名となった犬。インディアナ州ウォルコット(英語版) の親戚を訪ねていた飼い主家族とはぐれた後、オレゴン州シルバートン(英語版) にある自宅まで自力で帰還した[2]。リプレーの世界奇談集では、この旅は距離にして4,800kmに及ぶものだっただろうと推定している[3]。
家族と離れ離れに
1923年8月、ブレイジャー (Brazier) 夫婦・フランクとエリザベスはインディアナ州ウォルコットに住む親戚を訪ねていた。夫婦は開通したばかりの高速道路網 (ヒストリック・コロンビア・リバー・ハイウェイなど) を利用して、1923年製の新車「レッドバード」 (Willys-Overland Model 92) に2歳の愛犬ボビーを乗せ、オレゴン州から車を運転してきた。ボビーはスコッチ・コリーとイングリッシュ・シェパードのミックス犬であった。旅の間の最高速度は時速24kmほどで、ボビーは車のサイドボード (車体外側の両脇にあるステップ) に乗ったり、しばしば車の後ろを走ったりして移動した。二人はその道中で何度かオートキャンプ場やツーリストキャンプ場に泊まったり、ガソリンスタンドに車を停めて地元のホテルに宿泊したりした。これは後々ボビーが家路をたどる時に重要な手がかりとなった。
インディアナ州ウォルコットに立ち寄った際、ボビーはガソリンスタンドの三匹の犬に追いかけられ、そのまま戻らず行方不明となってしまった。数日間の捜索と情報提供を求める新聞広告掲載の後も、ブレイジャー家族はボビーを発見することができず、当初の予定通りに旅を続けてからオレゴン州の自宅に戻った。
我が家をめざして
1924年2月15日 (半年後)、ボビーはオレゴン州シルバートンの自宅に帰ってきた[4]。ボビーには全ての距離を歩いてきた痕跡があちこちにあり、冬の最も寒さが厳しい時期に川を渡りアメリカ大陸分水嶺を越えてきたようすだった[5]。ボビーは家に帰るため4,105km (1日平均約23km) の距離を渡った。
世界的に有名に
ボビーがシルバートンに戻ってきてから、地元紙がボビーの帰還を報じるとボビーは一躍有名となった。ボビーの話は注目を集め、世界中の数えきれないほど沢山の新聞に取り上げられた[6]。またボビーはリプレーの世界奇談集の題材となり、さらに本や映画にもなった[5][3]。
1924年の無声映画The Call of the West (西へむかって) では、ボビーは自分自身を演じた。映画はボビーの旅に関して実際の出来事に基づいたものではなく、評判はあまり良くなかった[7]。
ボビーには世界中の人々から何百枚もの手紙が届き、宝石を埋め込んだ胴輪と付け襟、リボン、市の鍵 (中世ヨーロッパが城郭都市だった頃の名残から名誉ある市民や賓客に鍵を贈る風習がある) を進呈された[5]。
里親達
旅の途中でボビーに食べ物や宿を与えた人々は、自分達がボビーと過ごした時間について家族に手紙で教えてきた。ポートランド (オレゴン州) の動物愛護協会はこういった複数の物語を使って、ボビーがたどった出来る限り正確な経路をつなぎあわせることに成功した[6]。ボビーは飼い主家族とはぐれたウォルコットに戻った後、最初はインディアナ州で旅を続ける家族を追いかけていったと動物愛護協会は結論づけた。次に家族の匂いを探しながら複数の方向に進んだようだった。ボビーは最終的に (自宅がある) 西へ向かった[6]。ブレイジャー夫婦は毎晩ガソリンスタンドに車を停めていた。愛犬ボビーは旅の途中それらのガソリンスタンドに立ち寄った他、いくつかの民家やホーボーキャンプで雨風をしのいだ[6]。オレゴン州ポートランドでは、アイルランド人女性が一定期間ボビーの世話をしており、ボビーが足や肉球に負った酷い怪我を回復させる手助けをした[6]。
その死と功績
1927年に亡くなると、ボビーはポートランドにあるオレゴン動物愛護協会 (en:Oregon Humane Society) のペット墓地に埋葬された。ジャーマン・シェパード・ドッグの映画スターリンチンチンがその墓に花輪を捧げた[2][5]。ボビーの墓はポートランド・ホームショーの展示で贈呈された「可愛らしい白と赤の犬小屋」で囲われた[2]。その後、訪れる人々からみえるよう墓石は犬小屋の外側に移動された[8]。
シルバートンの記念碑
シルバートン(英語版)で毎年行われる子供達のためのペットパレード (Silverton pet parade) ではボビーの忠犬精神を祝福し、人々の生活の中で動物やペットが果たす役割について改めて見直すよう啓蒙をうながしている。この行事が始まったのはボビーの死去から5年後の1932年であり、世界恐慌の最中に地元の子供達を少しでも楽しませようとした試みだった。第一回目のパレードはボビーの息子パルが先頭をつとめた。パルはボビーの帰還後に生まれた、ボビーを父とする15匹の子犬のうちの1匹である[9]。
2004年にはボビーが家に帰ってから80周年であることを記念して、ロリ・ロドリゲス (Lori L. Rodrigues) による高さ20mの壁画が町に完成した。壁画はサウスウォーター通り206番地 (206 South Water Street) に位置しており、ボビーの物語のいくつかの要素を取り上げている[10]。これは地元の英雄達を称える壁画シリーズのうちの1つで、シルバートンの地元企業の塀にボビーの旅に関する場所や出来事が描かれている[11]。
2012年、ポートランドにあるボビーの埋葬場所は故郷から遠すぎて気の毒だという世論に応える形でシルバートンの市民団体による草の根運動が始まり、ボビーの亡骸を故郷シルバートンに帰して埋葬し直し、記念碑を立てるということを目標としていた[12]。しかしエリザベス・ブレイジャーの子孫達はボビーが引き続きオレゴン動物愛護協会の墓地に埋葬され続けることを望み市民団体にそう頼んだ。そのため、活動目標はボビーの功績を風化させないということに変容していった[13]。
脚注
注釈
出典
- ↑ “Silverton Bobbie”. 2012年3月26日閲覧。
- 1 2 3 Brazier, G. F. (1924年). Wager-Smith, Curtis: “Bobbie - The Wonder Dog of Oregon”. Animal Pals. Philadelphia, Pennsylvania: Macrae Smith Company. 2012年3月26日閲覧。
- 1 2 “Bobbie, the Prodigal Dog” (photo array/cartoon). Ripley's Believe it or Not. 2012年3月26日閲覧。
- ↑ Kent, Judith (2004). Silverton's Bobbie: his amazing journey--the true story. Woodburn, OR: Beautiful America Pub. Co. ISBN 978-0-89802-770-9
- 1 2 3 4 Stelljes, Susan. “Bobbie the Wonder Dog”. The Oregon Encyclopedia.
- 1 2 3 4 5 John, Finn J.D. "Wonder Dog's" 2,500-mile odyssey put Silverton on the map January 2, 2011 offbeatoregon.com
- ↑ “Bobbie the Wonder Dog in The Call of the West”. The Register-Guard. (1924年7月11日). https://news.google.com/newspapers?nid=1310&dat=19240711&id=bl0zAAAAIBAJ&pg=1458,2064310 2012年3月26日閲覧。
- ↑ “Grave of Bobbie the Wonder Dog Portland”. Roadside America. 2012年3月26日閲覧。
- ↑ http://www.silvertonkiwanis.org/parade-history.html
- ↑ https://silvertonmuralsociety.org/bobbie-the-wonder-dog-mural/
- ↑ Richard, Terry (2008年3月21日). “Silverton wears its history on its walls”. The Oregonian. 2012年3月27日閲覧。
- ↑ Bring Bobbie Home
- ↑ https://www.facebook.com/100066562775770/posts/pfbid03zUM2pGS75VdNhGUA5wr81PRci6qGagUAAG4ywZXUN3RT78K5CgdVvbuEHkRaWc7l/?app=fbl
