マミーブラウン
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マミーブラウンは16世紀、17世紀ごろより、松脂、没薬とすり潰されたエジプト産のヒト、あるいはネコ科動物のミイラを原料として製造されはじめ[3]、その透明度の高さからグレーズ画法[注 1]、濃淡や陰影、明るい色調の描写に用いられた[2]。マミーブラウンにはひび割れやすい性質があり、また成分や品質に大きなばらつきがあったほか、アンモニアや脂肪の微粒子が含まれていたために他に使われている絵具を変質させるおそれがあった[4]。
19世紀、マミーブラウンの原材料が画家のあいだに知れ渡るようになると、この絵具の人気は下降した[5]。ラファエル前派の画家であるエドワード・バーン=ジョーンズはこの絵具の出自について真実を知ったのち、自分の持っていたマミーブラウンの絵具チューブを庭に厳かに埋葬したと伝えられている[2]。1915年ごろのとあるロンドンの絵具業者は、エジプト産のミイラ1体で彼の顧客の需要20年分をまかなうことができたと語っている。20世紀に入り、利用可能なミイラの供給が尽きたことによって、しだいに伝統的な製法のマミーブラウンは作られなくなっていった[1]。
