メリン変換
From Wikipedia, the free encyclopedia
他の変換との関係
両側ラプラス変換は、メリン変換を用いて
と表すことが出来る。反対に、メリン変換は両側ラプラス変換により
と表される。
メリン変換は、積分核 xs を用いた、乗法的ハール測度 についての積分と考えることが出来る。ここで は拡張 について不変であり、したがって が成り立つ。一方、両側ラプラス変換は加法的ハール測度 についての積分と考えられる。ここで は移動不変であり、したがって が成り立つ。
同様にフーリエ変換もメリン変換を用いて表すことが出来、またその逆も出来る。もし両側ラプラス変換を上述のように定義するなら、
が成立する。反対に
も成立する。メリン変換はまた、ニュートン級数や二項変換を、ポアソン-メリン-ニュートン・サイクルの意味におけるポアソン母関数と結び付ける。
例
L2 上のユニタリ作用素として
ヒルベルト空間の研究において、メリン変換は少し異なった方法で定められる。 (Lp空間を参照されたい)の関数に対して、基本帯(fundamental strip)は常に を含む。そのため、線形作用素 を
によって定義することが出来る。言い換えると、集合
を定義することが出来る。この作用素は通常 とシンプルに記述され、「メリン変換」と呼ばれる。しかしここでは、上での記述と区別するために を記号として用いる。このときメリン逆定理により、 は可逆であって、その逆は
と得られることが分かる。さらにこの作用素は等長であること、すなわち がすべての に対して成立することが分かる(この性質のために係数 が用いられている)。したがって、 はユニタリ作用素である。
確率論において
確率論におけるメリン変換は、確率変数の積の分布の研究によく用いられる[2]。X を確率変数とし、X+ = max{X,0} をその正の部分、X − = max{−X,0} をその負の部分としたとき、X のメリン変換は
として定義される[3]。ここで γ は、γ2 = 1 を満たすもの(formal indeterminate)である。この変換は、複素帯領域 D = {s: a ≤ Re(s) ≤ b}(ただしa ≤ 0 ≤ b)内のすべての s に対して存在する[3]。
確率変数 X のメリン変換 は、その分布関数 FX を一意に定める[3]。確率論におけるメリン変換が持つ重要な性質として、次が挙げられる: X および Y を二つの独立な確率変数としたとき、それらの積のメリン変換は、それぞれのメリン変換の積と等しい[4]。すなわち、
が成立する。
応用
メリン変換は、そのスケール不変性のため、計算機科学の分野で広く用いられている。あるスケール変換を施された関数のメリン変換の絶対値は、もとの関数の絶対値と等しい。このスケール不変性は、フーリエ変換のシフト不変性とも同様である。時間に関してシフトされた関数のフーリエ変換の絶対値は、もとの関数のそれと等しい。
この性質は、画像認識を行う際に役に立つ。物体の画像は、その物体がカメラに近づいたり離れたりするだけで簡単にスケールが変わってしまうからである。