モバイル翻訳

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モバイル翻訳(英:Mobile translation)は、音声の翻訳を提供する電子機器またはソフトウェアアプリケーションの総称。ここでは、翻訳を目的に設計された携帯型の電子機器全般を含めた概要を説明する。また、機械翻訳サービスや携帯端末(携帯電話ポケットPCPDAなど)向けのソフトウェアアプリも含む。

一般に利用者に対して人間の言語から別の言語への瞬時かつ仲介を必要としない翻訳を提供し、多くの場合はサービス料金が発生するが、人間の通訳に比べてかなり低コストで利用できる。

位置情報GPS)、モバイルバンキング、名刺/バーコード/テキストのスキャンなどとともに、モバイル通信利用者向けに提供されるサービス群の一部である。

動作には計算言語学プログラミングと、端末の通信手段(インターネット接続やSMS)が必要。

現在

日本人と外国人が携帯電話を介して会話を交換できる翻訳システムは、1999年に関西文化学術研究都市の「Advanced Telecommunications Research Institute International-Interpreting Telecommunications Research Laboratories」によって初めて開発された。端末に話しかけた言葉は目的の言語に翻訳され、音声として相手の携帯電話に送られた。[1]

携帯機器向けの機械翻訳ソフトウェア(ユーザー入力テキスト、SMS、電子メールの翻訳機能を持つもの)は、2004年にTransclickから商用リリースされ、2006年にはSMS・メール・インスタントの翻訳に関する特許が発行された。[2]

2005年11月、日本の企業であるNECは携帯電話に組み込める翻訳システムの開発を発表した。このシステムは5万語の日本語と3万語の英語を認識でき、旅行時などの簡単な翻訳に利用できるとされていた。[3] しかし、NECが製品を公式に説明したのは2009年1月になってからだった。[4]

コンピュータと通信機器の小型化が進むことで、携帯電話を使った語学学習の利用が現実的になった。初期のプロジェクトには語彙練習やクイズ、単語・フレーズの翻訳を含むスペイン語学習プログラムがあり、その後日本の大学で英語教育に携帯電話を使う試みも行われた。2005年ごろには、語彙指導をSMSで行う方向にシフトし、オーストラリアでは、イタリア語学習向けに、同様の語彙フレーズやクイズ、短文がSMSで送られる形式のプログラムがあった。[5]

翻訳サービスとしては、Google Translate が広く利用されている。[6]

IBMのアルマデン研究所で開発されたInfoscope はデジタルカメラと無線インターネットアクセスを備えた携帯機器。

Ili は英語から日本語または中国語への即時音声翻訳を提供する携帯機器。[7][8][9]

One2One はインターネット接続に依存せずに動作するプロトタイプで、8言語の音声翻訳が可能。[10]

Pixel BudsGoogleが製品化したデバイスで、40以上の言語でリアルタイム音声翻訳を提供する。[11]

技術・機能

機械翻訳サービスを支えるために、モバイル端末はユーザーの入力したテキストや音声を受け取り、それを翻訳する外部のコンピュータ(サーバ)と通信する必要がある。通常これはインターネット接続(WAPGPRSEDGEUMTSWi-Fi など)を通じて行われるが、初期のアプリケーションの中には翻訳サーバーとSMSで通信するものもあった。

モバイル翻訳は、あくまでユーザーが端末上で編集可能で、端末単体で動作し、インターネット接続を基本必要としない「話すことのできる」辞書やフレーズ集とは区別される。

機能

アプリ、機器によっては、基本となるテキスト翻訳のほかに、以下のようないくつかの追加機能がある。

  • 端末のキーボードでテキストの入力だけでなく、受信した電子メールやSMSの既存テキストを翻訳する(メール/SMS翻訳)。
  • 翻訳されたメッセージを、元のテキストと一緒に送信する。  

また、一部のモバイル翻訳アプリでは、翻訳を通したコミュニケーションをより円滑にするため、以下のようなサービスも提供されている。

  • 音声合成(スピーチ合成)— 翻訳文を人間の声で再生する機能(目的の言語のネイティブスピーカーの声を模した合成音声など)。
  • 音声認識(音声認識)— ユーザーが端末に話しかけると、その音声を記録してテキスト化し、翻訳サーバーへ送って翻訳する機能。[12]
  • 画像翻訳 — 端末のカメラで印刷テキスト(道路標識、メニュー、本のページなど)を撮影し、アプリが翻訳サーバーに送ってOCR(光学文字認識)を適用、抽出したテキストをユーザーに返して(必要なら編集させ)選択した言語に翻訳する機能。
  • 音声通訳サービス — ユーザーが言語の組み合わせを選ぶと、ライブで実際の通訳につながる機能。

対応言語

近年、モバイル端末で自動翻訳が利用可能な言語ペアの数は顕著に増加している。日本ににおいては、伝統的にサービスプロバイダーは日本語・中国語・英語・韓国語の相互翻訳を提供してきたが、その他のプロバイダーでは20言語以上、あるいは200以上の言語ペアを提供するところもあり、ほとんどのラテン系言語が含まれている。

ただし、音声合成でサポートされる言語は上記よりも少なく、英語スペイン語イタリア語フランス語中国語などに限られることが多く、画像翻訳の可否はOCRが対応している言語に依存する。

技術的利点と制約

利点

携帯可能なリアルタイム自動翻訳が利用できることには、以下のような実用的な利点がある。

  • 人間翻訳の機動化:人間の通訳が場所を選ばず翻訳作業を行えるようになる。PCの翻訳ソフトに頼らず、どこでも翻訳が可能。
  • 旅行:外国を訪れた際に、意思疎通の助けとなる。
  • ビジネスネットワーキング:外国の顧客との会話を即座に行え、時間とコストを節約でき、人間による多言語コールセンターよりも低コストな代替となる。多国籍チーム内のネット上での仕事も容易になる。
  • ソーシャルネットワーキングの国際化:チャットやテキストメッセージで国際的に交流でき、言語の壁を越えて新たな友人や関係を築くことができる。
  • 語学学習:安価で便利な学習が可能。大学生の多くが所有している携帯電話を利用し、PCよりも手軽に外出先で語学学習を続けられる。

課題と欠点

モバイル技術や機械翻訳サービスの進歩により、画面サイズの小ささや片手入力の不便さといった問題はある程度緩和された。多くの新しい携帯端末にはQWERTYキーボードタッチスクリーン、手書き認識が搭載されており、入力速度は向上した。

しかし、モバイル翻訳業界は、翻訳の言語的・コミュニケーション的な質に関する問題に直面している。精度96%を達成したと主張するものもあるが、[13] 依然として機械翻訳は人間の翻訳よりも質が劣る点が多く、正確性が重要な内容を扱う場合は注意が必要。

精度の低さを補う手段として、オントロジー学習と用語抽出を組み合わせて頻出フレーズを識別し、意味解析で文脈に応じた解釈を行い、複数意味を持つ語句のニュアンスを蓄積するデータ構造を実装する方法が用いられてきた。この方法と機械学習アルゴリズムを組み合わせることで多段階の手法を作り、より高い精度を実現して継続的に精度を改善することはできるが、こうした構造をユーザーにとって優しい形で自動化するのは非常に困難であり、翻訳アプリ開発者にとって大きな課題となっている。[14]

もう一つの欠点として、ユーザー端末側で安定したインターネット接続が求められるという問題がある。SMS方式は文字数制限(160文字)や通信費の面でパケット通信に比べ非効率であることが判明しており[要出典]、モバイル機器での翻訳利用にはインターネット接続が不可欠だ。しかし、都市部以外ではインターネット網が不安定な場合があり、その場合の対応も必要である。

脚注

関連項目

参考資料

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