一部の地域では、モンゴンゴの果実とナッツは「主食」と称されるほどよく食べられる。特にボツワナ北部とナミビアのサン人の文化において最も顕著であり、サン人の社会では少なくとも7000年以上にわたって消費されてきたことが考古学的に証明されている[1]。その人気の一部は、1年もの保存に耐える保存性や芳香に起因している。
まず、皮を柔らかくするために乾燥した果実を蒸らす。皮を剥いてから、栗色の果肉が内側の硬いナッツから剥離するまで水で煮る。柔らかくなった果肉は食べ、ナッツは後で炒るために取っておく。あるいは、ナッツはゾウの糞から集める。硬いナッツは消化過程を経ても無傷で残るため、ゾウがナッツを集める仕事をしてくれるのだ[2]。炒っている間ナッツは直接火に当てず、砂を使って熱を均等に拡散させる。一度乾かすと殻は簡単に割れ、柔らかい内側の殻に包まれた中身が現れる。それをそのまま食べるか、砕いたものを材料として他の料理に入れる。
ナッツから取れる油も、冬の乾季に垢を取り肌を潤わせるマッサージに利用する伝統がある。一方、硬いナッツの外殻は占いの「骨」として人気がある。軽くて丈夫な木材からは優れた釣り浮き、玩具、覆い、画板が作られる。近年ではダーツ盤や荷箱を作るのにも使われている。
モンゴンゴの実は非常に栄養価が高く、人間にとっても少量で効率的にカロリーを取ることのできる有用な植物であり、モンゴンゴの木がたくさん自生している地域に暮らすサン人は、この実を食用として採集するために1日平均2~3時間程度の労働をするだけで十分に生活が成り立っている。かつて欧米人がサン人に農業をするよう勧めたところ、サン人は「モンゴンゴの実がそのへんにいくらでもあるのに、どうしてわざわざ農業をしなければならないのか」と言って取り合わなかったという逸話もある[3]。