ライナ・カバイヴァンスカ

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出生名 Raina Jakimowa
出身地 ブルガリアの旗 ブルガリア
学歴 ソフィア音楽院
ライナ・カバイヴァンスカ
Райна Кабаиванска
肖像(2015年)
基本情報
出生名 Raina Jakimowa
生誕 (1934-12-15) 1934年12月15日(90歳) ブルガリアの旗 ブルガリア王国 ブルガス州ブルガス
出身地 ブルガリアの旗 ブルガリア
学歴 ソフィア音楽院
ジャンル オペラ
職業 歌手
活動期間 1957年 -
公式サイト Raina Kabaivanska - The Official Site

ライナ・カバイヴァンスカРайна Кабаиванска、ラテン文字転写:Rajna Kabaivanska, 1934年12月15日 -)はブルガリア歌手ソプラノ)。ソプラノの中でも「スピント・ソプラノ」の性質を持ち、ヴェルディプッチーニ作品での歌唱においては、同じ世代のソプラノの中でもトップクラスの資質を持つ。

ライナ・カバイヴァンスカ、旧姓ライナ・ヤキノヴァは1934年12月15日、ブルガリアブルガス生まれ。父は作家で獣医師、ブルガリア国営旅行会社「バルカン・ツーリスト」経営者、母は物理学教授であった[1][2]。間もなくソフィアに移り、同地で音楽に親しみ始める[1]。ソフィア音楽院に入学後、カバイヴァンスカは労働者のための芸術集団に加入し、ソプラノとメゾソプラノのためのアリアをいくつか歌うようになる[1]。やがて、声域がメゾソプラノよりソプラノに適していると分かると、以降はソプラノ一本に専念した[3]ソフィア国立歌劇場英語版付属合唱団でも団員として舞台を踏み、1957年にはチャイコフスキーエフゲニー・オネーギン』のタチアナ役でソリストのデビューを果たすと、ヴェルディ『仮面舞踏会』の最終場にも出演した[1]。このソフィア音楽院時代、当時のブルガリア国内で聴取が禁じられていた外国放送を、カバイヴァンスカは友人とともにひそかに聞き、そこでマリア・カラスの歌声に惹かれるようになる[3]

翌1958年、カバイヴァンスカはブルガリア政府の奨学金を得てイタリアに留学。2011年の自身の回想によると留学先は当初、別の国だったようだが、カラスへの憧れからイタリアに変更してもらったという[3]ミラノヴェルチェッリにてツィータ・フマガッリ・リーヴァイタリア語版に師事してさらなる研さんに励む。1959年、カバイヴァンスカはプッチーニ『外套』のジョルジェッタ役でイタリア・デビューを果たした。2年後の1961年には、ファーノレオンカヴァッロ道化師』のネッダ役を演じ、イタリア国内の評判を決定づけると、同じ年に指揮者アントニーノ・ヴォットージャナンドレア・ガヴァッツェーニの推薦によりベッリーニテンダのベアトリーチェ英語版』のアグネス役でスカラ座の初舞台を迎え、後者では共演したジョーン・サザーランドのスタイルと逆の「適切な」歌唱で公演を務めた[1]

1962年、カバイヴァンスカはイタリア国外に進出し、メトロポリタン歌劇場(メト)にはカルロ・ベルゴンツィと共演した『道化師』のネッダ役で、コヴェント・ガーデンにはゲオルク・ショルティ指揮、マリオ・デル=モナコティート・ゴッビ出演のヴェルディ『オテロ』デズデーモナ役でそれぞれデビュー[1]。1961年から1968年にわたり、アメリカにおける往年の大ソプラノで当時すでにボルチモアに引退していたローザ・ポンセルに歌唱技術などの教えを乞うと、ヴェルディの『運命の力』レオノーラ役と『イル・トロヴァトーレ』のレオノーラ役、プッチーニ『蝶々夫人』の蝶々さん役を演じる際に指導の賜物を発揮した[1][4]

以降、カバイヴァンスカはボリショイ劇場テアトロ・コロンウィーン国立歌劇場ハンガリー国立歌劇場など世界の主要歌劇場を席巻する。1973年にはカラスの演出によるヴェルディ『シチリアの晩鐘』が再建なったトリノテアトロ・レージョにかけられ、カバイヴァンスカはエレナ役で出演するに至った。

同年9月にはNHKの招聘により日本を訪れ、NHKイタリア歌劇団の第7回公演(NHKホール)にて、オリヴィエロ・デ・ファブリティース指揮の『トスカ』で表題役を歌った。その公演はフラヴィアーノ・ラボー(カヴァラドッシ)、ジャンピエロ・マストロメイ(スカルピア)と共演したが、ラボーが短躯ゆえに一苦労しており、イタリア歌劇団に関わった元NHKチーフディレクターの武石英夫によれば、ラボーのために特注のシークレットシューズを作ったものの、それを履いたところでカバイヴァンスカの髪の毛を除いた額の高さにしか届かなかったという[5]

2年後の1975年にはパリ・オペラ座に『イル・トロヴァトーレ』レオノーラ役でデビューし、1978年からはヘルベルト・フォン・カラヤンの知遇を得てウィーンで『イル・トロヴァトーレ』公演に出演したほか、1981年と1982年のザルツブルク音楽祭でもカラヤン指揮のヴェルディ『ファルスタッフ』でアリーチェ・フォード役を務めた[1]

歌手活動のかたわらで、カバイヴァンスカはシエナキジアーナ音楽院で教鞭をとり、1992年からはトリノでマスター・クラスを開始している[1]。また世界各地の権威ある国際コンクールの審査員を務めてきた。2007年9月8日にモデナの大聖堂で行われたルチアーノ・パヴァロッティの葬儀に際しては、『オテロ』から「アヴェ・マリア」を歌った[6]。新しいレパートリーの開拓も惜しまず、レハールの『メリー・ウィドウ』、ヤナーチェクの『イェヌーファ』、ヴァイルの『闇の女』など、20世紀に作られたオペラも手掛けている[1]。2002年には新ブルガリア大学(NBU)英語版内に設立した「ライナ・カバイヴァンスカ財団」に名を冠され、ブルガリアの才能ある若い芸術家への支援を目指している[7]

演奏会を終えて、第11代大統領ジョルジョ・ナポリターノに賛辞を受けるカバイヴァンスカ(2009年)

2011年5月、ソフィアのマスコミのインタビューに応じたカバイヴァンスカは、「デビューから54年経った今でも、イタリアはおろか世界の舞台を席巻したとは思っていない」と述べ、またイタリアに留学したまま外地に居ついた点には「当時の政権に公然と反対することは不可能で、家族は人質にされたも同然の状態であった」として、カバイヴァンスカ自身も何度か個人的に脅迫を受けたと明かした[1]

2009年9月にソフィアと故郷ブルガスでソフィア・フィルハーモニー管弦楽団とのガラ・コンサートに出演した[8]あとは、公的なコンサート出演は公表されていないが[注釈 1]、マスタークラスの受講生に交じって、飛び入りで2012年のガラ・コンサートに出演している[9]

主なディスコグラフィ・フィルモグラフィ

カバイヴァンスカが出演した録音は71件が知られている。

通番 作曲家 配役名劇場 指揮者備考
01V・ベッリーニBEATRICE DI TENDAスカラ座アントニーノ・ヴォットー1961 (LI)*
02ベルリオーズBENVENUTO CELLINITeatro di San Carlo di Napoliフェルナンド・プレヴィターリ1967 (LI)*
03ボーイトMEFISTOFELEスカラ座ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ1964 (LI)*
04ブリテンTURN OF THE SCREW (THE)Teatro Regio di TorinoCampanella Bruno1995 (LI)**
05フランチェスコ・チレアADRIANA LECOUVREURTeatro Comunale di FirenzeG・ガヴァッツェーニ1981 (LI)*
06チレアADRIANA LECOUVREURBulgarian Television and Radio Symphony OrchestraArena, Maurizio1985 (LI)*
07チレアADRIANA LECOUVREURTeatro La Fenice di VeneziaOren Daniel1991 (LI)**
08ガエターノ・ドニゼッティFAUSTATeatro dell'Opera di RomaOren Daniel1981 (LI)*
09ドニゼッティROBERTO DEVEREUXTeatro dell'Opera di RomaRudel Julius1988 (LI)*
10ウンベルト・ジョルダーノANDREA CHÉNIERTeatro Communale di GenovaPeloso Paolo1972 (LI)*
11ルッジェーロ・レオンカヴァッロPAGLIACCIMetropolitan OperaCleva Fausto1962 (LI)*
12レオンカヴァッロPAGLIACCIスカラ座カラヤン、ヘルベルト・フォン1968 (FI)**
13レオンカヴァッロPAGLIACCIMetropolitan OperaAdler Kurt1970?(LI)*
14ジュール・マスネMANONTeatro dell'Opera di RomaOren Daniel1981 (LI)*
15マスネタイスTeatro Bellini di CataniaFabritiis Oliviero De1969 (LI)*
16フランシス・プーランクVOIX HUMAINE (LA)Teatro Massimo di PalermoReck Stefan Anton2000 (LC)*
17プッチーニボエーム (LA)Teatro Colón (Buenos Aires)Martini Juan Emilio1963 (LI)*
18プッチーニ蝶々夫人Orchestra Filarmonica di NapoliRápalo Ugo1969 (STU)*
19プッチーニ蝶々夫人Bulgarian Philharmonic OrchestraBellini Gabriele1982 (STU)*
20プッチーニ蝶々夫人Verona ArenaArena Maurizio1983 (LI)**
21プッチーニ蝶々夫人Arena di VeronaCampori Angelo1997 (LI)*
22プッチーニマノン・レスコーMetropolitan OperaAdler Kurt1966 (LI;12/3/66)*
23プッチーニマノン・レスコーFort Worth Opera OrchestraKruger Rudolf1968 (LI)*
24プッチーニマノン・レスコーVerona ArenaSanti Nello1970 (LI;Kabaiwanska)*
25プッチーニマノン・レスコーDeutsche Oper BerlinMaazel Lorin1971 (LI)*
26プッチーニマノン・レスコーBulgarian TV and Radio Symphony OrchestraCampori Angelo1984*
27プッチーニSUOR ANGELICATeatro de la Zarzuela de MadridAlcántara Theo1993 (LI)***
28プッチーニTOSCANHK Symphony OrchestraFabritiis Oliviero De1973 (LI)***
29プッチーニTOSCAスカラ座Molinari-Pradelli Francesco1974 (LI)*
30プッチーニTOSCANew Philharmonia OrchestraBartoletti Bruno1976 (FI)**
31プッチーニTOSCAOrchestra Stabile Emiglia-RomagnaCampori Angelo1976 (LI)*
32プッチーニTOSCAスカラ座Ozawa Seiji1980 (LI)**
33プッチーニTOSCAL'Opéra de MarseilleBoncompagni Elio1981 (LI)*
34プッチーニTOSCABulgarian PhilharmonicBellini Gabriele1982 (STU)*
35プッチーニTOSCABayerische StaatsoperPatanè Giuseppe1985 (LI)*
36プッチーニTOSCATeatro dell'Opera di RomaOren Daniel1990 (LI)***
37プッチーニTURANDOTCovent GardenDownes Edward1963 (LI)*
38ロッシーニGUILLAUME TELL [GUGLIELMO TELL]Teatro Colón (Buenos Aires)F・プレヴィターリ1966 (LI)*
39チャイコフスキーEUGENE ONEGINMetropolitan OperaTchakarov Emil1979 (LI)*
40ヴェルディDON CARLOS [DON CARLO]Philadelphia Lyric Opera CompanyGuadagno Anton1966 (LI)*
41ヴェルディDON CARLOS [DON CARLO]San Antonio Symphony OrchestraAlessandro Victor1968 (LI)*
42ヴェルディDON CARLOS [DON CARLO]Houston Grand OperaHerbert Walter1969 (LI)*
43ヴェルディDON CARLOS [DON CARLO]Metropolitan OperaAdler Kurt1970 (LI;14/2/70)*
44ヴェルディDON CARLOS [DON CARLO]Metropolitan OperaMolinari-Pradelli Francesco1971 (LI)*
45ヴェルディDON CARLOS [DON CARLO]Bayerische StaatsoperMolinari-Pradelli Francesco1977 (LE)*
46ヴェルディERNANIスカラ座Votto Antonino1969 (LI)*
47ヴェルディFALSTAFFTeatro Colón (Buenos Aires)F・プレヴィターリ1965 (LI)*
48ヴェルディFALSTAFFSan Francisco OperaMolinari-Pradelli Francesco1966 (LI)*
49ヴェルディFALSTAFFWiener Philharmonikerカラヤン、ヘルベルト・フォン1980 (STU)*
50ヴェルディFALSTAFFWiener Philharmonikerカラヤン、ヘルベルト・フォン1981 (LI)*
51ヴェルディFALSTAFFWiener Philharmonikerカラヤン、ヘルベルト・フォン1982**
52ヴェルディFALSTAFFTeatro di San Carlo di NapoliOren Daniel1985 (LI)***
53ヴェルディFORZA DEL DESTINO (LA)Metropolitan OperaSanti Nello1964 (LI)*
54ヴェルディFORZA DEL DESTINO (LA)Philharmonisches Staatsorchester HamburgGregor Bohumil1971 (LI)*
55ヴェルディOTELLOCovent GardenSolti Georg1962 (LI)*
56ヴェルディOTELLOTeatro Colón (Buenos Aires)Klobucar Berislav1963 (LI)*
57ヴェルディOTELLOSan Francisco OperaGregor Bohumil1970 (LI)*
58ヴェルディOTELLOTeatro Verdi di TriesteSanzogno Nino1975 (LI)*
59ヴェルディSIMON BOCCANEGRAスカラ座Abbado Claudio1976 (LE)*
60ヴェルディSIMON BOCCANEGRAスカラ座Abbado Claudio1976 (LI;Washington)*
61ヴェルディTRAVIATA (LA)Teatro Comunale di BolognaGatto Armando1974 (LI)*
62ヴェルディTROVATORE (IL)Berliner StaatskapelleBartoletti Bruno1975 (STU)*
63ヴェルディTROVATORE (IL)Wiener Staatsoperカラヤン、ヘルベルト・フォン1978 (LI)***
64ヴェルディTROVATORE (IL)Teatro Comunale dell'Opera di GenovaRizzi Carlo1991 (LI)*
65ヴェルディVÊPRES SICILIENNES [I VESPRI SICILIANI] (LES)Teatro Regio di TorinoVernizzi Fulvio1973 (LI)*
66ワーグナーRIENZIスカラ座Scherchen Hermann1964 (LI)*
67ヴァイルLADY IN THE DARKTeatro Massimo di PalermoMercurio Steven2001 (LI)**
68ザンドナーイフランチェスカ・ダ・リミニOpera Orchestra of New YorkQueler Eve1973 (LI)*
69ザンドナーイフランチェスカ・ダ・リミニArena di VeronaArena Maurizio1980 (LI)*
70ザンドナーイフランチェスカ・ダ・リミニBulgarian RadioArena, Maurizio1987 (STU)*
71ザンドナーイフランチェスカ・ダ・リミニTeatro Massimo di PalermoArena, Maurizio1995 (LI)**

スタジオ録音

ライヴ録音

フィルモグラフィ

  • プッチーニ『トスカ』:ラボー、マストロメイ:デ・ファブリティース指揮:1973年9月24日NHKホール(第7回NHKイタリア歌劇団公演):キングレコード KIBM-1050(DVD、2008年)[24]
  • ヴァイル『闇の女』:ショーン・シムス、ジーノ・キュリコ:スティーヴン・マーキュリオ英語版指揮:2001年パレルモ:House of Opera DVDCC 764(DVD、2005)[25]

褒章ほか

脚注

参考文献

外部リンク

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