リッチ (アンデッド)

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コンピュータゲーム『The Battle for Wesnoth』に登場するリッチ

リッチ (Lich) は、ファンタジー作品などに登場するアンデッドの一種。

リッチ(リッチーとも)は、超常的な力により死してなお生前の人格と知性、全能力を維持するアンデッドである。lichは古い英単語で「死体」の意。 外見は骸骨か干からびた(稀に腐敗した)死体だが動きにぎこちなさはなく、生前の社会的地位(強力な魔術師や神官、王であることがほとんど)に応じた、しかし大抵長い年月でぼろぼろになった衣装を着ている。リッチは多くの場合、自ら望んで多大な労力の果て(複雑な儀式、高度な魔術、希少な材料の霊薬など)にこの「すでに死んでいるためこれ以上死なない」形態に変異、墳墓など住居の奥で寿命を超越して生前の目的(研究や修行、統治や陰謀)を継続している。 同様に死体が動いているゾンビやスケルトンとは完全に別次元の存在であり、ほとんどの場合マミーよりも強力である。

多くの作品では、ゾンビや他の下位のアンデッドを複数(軍団)を従えている姿で描かれており、他のアンデッドを呼び寄せ支配する特殊能力を有していることもある。

歴史的背景

「リッチ」(lich)という言葉は、「死体」を意味する古英語の単語に由来する。

従来より「リッチ」という単語は、クラーク・アシュトン・スミスの『魔術師の帝国』などの様々なファンタジー文学作品において、アンデッドを含めて(動く動かないにかかわらず)死体を意味する言葉(状態)などに用いられていた。

1976年に発売されたロールプレイングゲームダンジョンズ&ドラゴンズ(以下D&D)』の追加ルールブック『グレイホーク』で「高位の魔術師や神官が不死を求め、強力な魔法や神的存在の力で生前の人格や能力を維持したまま死体に変じた」アンデッドとして掲載[1]されたことにより認知度が上昇。その後も様々な創作において採用され数々のアレンジや解釈が行われ、「リッチ」という単語は「最上位のアンデッド」として広く認識されることとなった。特に日本では最強格でありながら「元・人間で人格・記憶を有する」ことから『オーバーロード[2]』『花織さんは転生しても喧嘩がしたい[3]』など主人公として採用する作品すらある。

上記のような経緯もあり、『D&D』が版権を主張[4]するビホルダー等11種と異なり、「リッチ」には版権問題は存在しない。『パスファインダーRPG』にも登場している。

伝承

多くの文化において、骸骨は「死の象徴・最終的かつ不変の身体状態」、同様にミイラなど長期にわたり原型を留める死体は「死を越えた生」など神秘の対象であった。先人たちが「骸骨・ミイラのような死体となってなお生き続ける人物」を何処かの伝承から発想したのかは不明であり、リッチにモデルがあるのかは分からない。

中国の伝承に見られる仙人は仙道という術法や練丹という呪薬を用いて不老不死を目指すという点だけに注目すれば、リッチと言えなくもない。特に善行を積んで生きたまま不老不死となる天仙・地仙と異なり、死後体から抜け出した魂魄が後日死体に戻り棺を抜け出てゆくという尸解仙は死を経て死体で蘇り不老不死になるという点で、外見を除けばリッチに近い。

文学

死体の古語である「リッチ」という言葉は、近代では主にファンタジー作品において用いられている。

怪物としてのリッチは、いわゆる初期のヒロイック・ファンタジーに登場する、魔術によって死を克服した強力な魔法使いに由来している。これらの小説ではこのような魔法使いが少なからず見られ、例えばクラーク・アシュトン・スミスの短編小説の多くには、魔術によって死からの復活を可能にする強力な魔法使いが登場しており[5]ロバート・E・ハワードは『スカル・フェイス』などいくつかの作品で、神秘的な手段によって不死になることで、体はしわが寄った抜け殻のようになる一方、人間にはできないような動きとより活発な思考をするようになった魔法使いを登場させている[6]。また、『英雄コナン』に登場する物語の幕を開ける剣の持ち主だった古代王のミイラ[7]もリッチと目される(眼窩の奥に光が宿っているという後の『D&D』で取り入れられるリッチの特徴がある)。

現在のようなリッチが登場するきっかけとなった『D&D』共同制作者の1人であるゲイリー・ガイギャックスは、同ゲームに登場するリッチはガードナー・フォックスの短編小説「The Sword of the Sorcerer」を基にしていると述べている[8][9]

ただし、アンブローズ・ビアスの『ハルピンフレイザーの死』や ハワード・ラヴクラフトの『戸をたたく怪物』[10]などのように、単なる死体という意味で「リッチ」という言葉を用いている例も存在する。

なお後述のデミリッチのように、リッチは頭蓋骨を宝石で飾ったり聞く者を恐怖に捉える声を発することがあるが、これはフリッツ・ライバーが初期に書いた『盗賊の館』[11]がもととなっている[12]

『D&D』のリッチ

『D&D』以外でのリッチ的怪物

脚注

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