レイモンド (トリケラトプス)
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特徴
レイモンドはブラックヒルズ地質学研究所によるとトリケラトプス属の模式種であるトリケラトプス・ホリドゥスの標本である[2]が、藤原慎一は Triceratops sp. としている[1]。左半身は風化していて、かつ尾も失われているが、トリケラトプスの標本としては骨が良く揃っている部類であり、むしろ保存度はトップレベルである。トリケラトプスが記載されてから2007年までの約130年間で100を超えるトリケラトプスの頭骨が収集されてきたが、レイモンドのように体骨格の残っている標本は少ない[2]。
全長は6.2メートル、前肢の指先から眼窩上の角の先端までの高さは2.8メートル[2]。左半身と尾以外にも胸骨と頭骨の一部が侵食を受けていたが、右半身が死後にスカベンジャーにより漁られた痕跡はなく、また椎骨は骨盤まで完全に関節している。仙椎よりも前方の椎骨は頸椎の根元を除いて真っ直ぐであり、また頸椎の根元では広がりを見せている。尾側から見ると、椎骨は後方に向かって時計回りに捻じれている。胸部から仙骨までは骨化した腱が保存されている。骨盤や肋骨など左半身の分断された破片は、生存時の位置よりも背側で保存されている[注 1][1]。
レイモンドは右半身のみが風化を免れて保存されており、特に右前肢が関節している点が重要である。このようなケラトプス科恐竜の標本は、2008年までには他にアンキケラトプス(CMN 8547)しか発見されていない。骨要素の揃ったレイモンドの右前肢では、中手骨の列が近位から見てL字型に配列すること、前腕骨(尺骨と橈骨)の遠位端が関節すること、肘関節の回転面と平行な第2指が隣接する第1指と第3指で補強され、これら3本の内趾が橈骨の広関節面に関節していることが確認できる。強固な第2指がこのように配置されていることから、レイモンドの前肢は肘関節の伸展に起因する強力なストロークに適した姿勢、すなわち、甲を外側に向けて第2指で体重を支えた直立体勢であったことが示唆されている。要するにレイモンドは、長らく議論されていたトリケラトプスの姿勢問題に解決の糸口をもたらしたのである[1]。
