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レディーバグ (ゲーム)

1981年のユニバーサル社のビデオゲーム From Wikipedia, the free encyclopedia

『レディーバグ[注 4]』(英: Lady Bug)は、ユニバーサルが開発し、1981年末[注 1]に発売された業務用ビデオゲーム[1]。テントウムシが回転ドアを使って敵の虫の追跡をかわしながら、迷路に設置されたドットを食べていくドットイートゲームである[1]。

開発元
発売元
概要 ジャンル, 対応機種 ...
レディーバグ(Lady Bug)
ジャンル ドットイートゲーム
対応機種
開発元
発売元
デザイナー
  • AC
  • 上田和敏[9]
  • 窪田俊幸(マップ作成)[10]
人数
  • AC
  • 1 – 2人(交互プレイ)
  • コレコビジョン
  • 1 – 2人(交互プレイ)[11]
  • インテレビジョン
  • 1 – 2人(交互プレイ)[12]
発売日
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ゲームの特徴

『レディーバグ』は、レバーでテントウムシを操作して、追いかけてくる敵の虫を避けながら迷路上のドットを全て食べ尽くすことが目的のゲームである[1][14]。

本作は、ナムコのドットイートゲーム『パックマン』(1980年)からの影響を強く受けた作品である[18][19][20]。追跡する敵を避けてドットを回収するルールを持つ一方で、本作には典型的なドットイートと比較して、『パックマン』の「パワーエサ」のような敵に反撃を仕掛ける手段が存在しない特徴を持っている[21]。その代わりに、迷路の中に設置された回転ドアを操作することによって、迷路の形状をプレイヤー自身の手で変化できることが本作の特色となっている[21]。

加えて本作では、テントウムシが迷路の壁にぶつからなくても、任意の場所やタイミングで停止できる仕様を採用している[22]。この点でも、『パックマン』や『ヘッドオン』などの自動で動くキャラクターを制御する同ジャンルの作品とは異なる要素となっている[22]。

また、本作には、残機を増やす「EXTRA」ボーナスや、1クレジットを与える「SPECIAL」ボーナスなど[15]、ピンボール由来の要素もゲーム内に多く取り込まれている[22][23][24]。

ゲーム中では、チェリッシュの楽曲「てんとう虫のサンバ」(1973年)が、ゲーム開始時のジングルなど、様々な場面で使用されている[25][26]。

基本ルール

本作の目的は、1画面で構成される迷路の中でテントウムシを動かし、配置されたドットを通過して全て消すことである[1][15][27]。操作にはレバーのみを使用する[28]。

迷路の周囲には時間経過で刻まれていくタイマーが表示されており、タイマーが画面を1周すると迷路の中央に位置する巣から、敵の虫が1匹ずつ飛び出してくる[29]。敵の虫は最大4匹まで同時に出現し、巣から飛び出した虫はテントウムシを捕食するために追跡を始める[29]。そのため、テントウムシは迷路にいくつか設置されている回転ドアを操作して、敵の追跡を妨害することを要求される[1][15]。なお、敵の虫は回転ドアを動かすことも、通り抜けることもできない[1][15]。

迷路には小さなドットのほか、ハートマークあるいは英文字が描かれた大きなドットが配置されている[1][15][27]。ハートマークと英文字は時間経過によって赤・黄・青と色の変化を繰り返し[30]、取得したときの色に応じて得点が変化する[1]。

また、ハートマークと英文字は、それぞれ特定の色のときに取得すると特別な効果が得ることができる[1][15]。ハートマークが青色のときに取得すると、獲得した数に応じてドットに掛かる得点の倍率が最大5倍まで上昇する[15]。E・X・T・R・Aが書かれた英文字を黄色のときに取得し、それらの文字を揃えるとテントウムシの残機の数が1匹追加され、S・P・E・C・I・A・Lが書かれた英文字を赤色のときに取得し、全て揃えるとクレジットが1個追加される[15]。文字を揃えると、ドットの取得状況に関わらずクリアとなり、次の面に進む[31]。なお、配置される英文字は、3種類の文字が各面ごとにランダムに選定される[30]。

なお、迷路にはドクロマークもランダムな位置に設置されており、テントウムシが触れてしまうとミスとなる[32]。その一方で、敵の虫もドクロマークに触れると消滅して巣に戻る[29][32]。

迷路に敵の虫が全員飛び出すと、残された敵の巣の中に野菜が出現する[29]。その野菜をテントウムシが食べると、ボーナス得点が加算される[1]。また、野菜を食べると同時に音楽が流れ、野菜を取得してから音楽が止まるまでの間、敵の虫はその場で動きを止める[29]。野菜の種類は1面ごとに変化していき[30]、その種類に応じて得点が変化する[14]。なお、敵の虫が巣にいない状態で敵がドクロマークに触れて巣に戻った場合は、時間経過によって巣から再び敵の虫がいなくなると野菜が再度出現する[30]。

テントウムシが虫に捕食されたり、ドクロマークに触れた結果、テントウムシの残機を全て失ってしまうとゲーム終了となる[1][14]。

移植版

ユニバーサルの許諾を受けて、本作を家庭用ビデオゲーム機に移植した製品としては、以下の事例が存在する。

コレコ発売製品

コレコは、米国で1982年10月[注 2]に『レディーバグ』のコレコビジョン版[33][34]、1983年6月にインテレビジョン版を発売した[13]。欧州地域では、CBSエレクトロニクス(英語版)がこれらの移植版を発売している[5][6]。

移植による主な変更点として、コレコビジョン版では「SPECIAL」の文字を揃えると、迷路に次々と出現する野菜を制限時間内に獲得していくボーナス面へ移行する仕様となっている[30]。インテレビジョン版では「SPECIAL」の文字を揃える要素は削減され、「EXTRA」ボーナスのみが実装されている[12][35]。それに伴い、迷路に出現する英文字の数も2つに減少している[12]。

なお、1982年にコレコは、コレコビジョン版とインテレビジョン版の発表と同時に『レディーバグ』をAtari VCS向けにも発売する計画を公表していたが[33][36]、最終的に未発売に終わっている[4]。

PV-1000版

カシオ計算機は、日本で1983年秋[注 3]にPV-1000版を『ファイティング・バグ』に改題した上で発売した[7][38]。PV-1000版の迷路には、回転ドアのほかにドットとハートマークおよびドクロマークが設置されているが、英文字は存在しない構成となっている[39]。

アーケードアーカイブス版

ハムスターは、同社が展開する『アーケードアーカイブス』の1作品として2026年7月2日に『アーケードアーカイブス レディーバグ』(Nintendo Switch、PlayStation 4)、『アーケードアーカイブス2 レディーバグ』(Nintendo Switch 2、PlayStation 5、Xbox Series X|S)を配信した[8]。

イーグレットツー ミニ版

タイトーは、同社が2027年3月25日に発売する「イーグレットツー ミニ」用のオムニバスソフト『アーケードコレクションPART2』の収録作品のひとつとして、『レディーバグ』を収録することを発表した[40]。

開発

業務用ビデオゲーム版

開発経緯とスタッフ

『レディーバグ』は、後にユニバーサルの『Mr. Do!』(1982年)、テーカンの『ボンジャック』(1984年)などの企画を手がけ、アトラスの『女神転生』シリーズの開発にも関与した上田和敏が初めて企画を担当したゲームである[9][25]。

上田はユニバーサルへの入社当初、リースに関わる営業の業務を行っていた[25][41]。上田がゲームの企画を志した契機として、インベーダーブームが斜陽となった時期に、リース先の店舗から短い間隔で製品の交換を要求されることを経験し、その作業の負担から交換のいらない「長続きするゲーム」の必要性を強く感じるようになったことが理由と語っている[25][41]。それを動機に当時の社長に直接交渉を行った結果、新設された開発の部署へと移籍が決まり、本作を開発するまでに至ったと述べている[25][41][42][注 5]。

上田によると、本作の開発には上田のほか、もう一人の企画の窪田俊幸[注 6]、音楽担当者[注 7]、グラフィック担当者、外部のプログラマーが参加しており、ゲーム開発は総じて未経験の人員の手によって開発が行われたと述べている[25]。加えて、ハードウェアの開発についても外注となっていた[41]。なお、プログラムを担当した外注先にはソフトウェアの開発の経験がなかったと上田は語っている[42]。

ゲームシステムと調整

上田によると、『レディーバグ』は新聞紙上で募集されたアイデアコンテストで1等を獲得した「回転ドア」のアイデアを採用した作品であると語っている[9][46]。ただし、上田曰く、そのアイデア自体は紙1枚に図が書かれただけのものであったため[46]、そこにナムコの『パックマン』のシステムとピンボールの要素を追加して、1本のゲームに仕立て上げたと述べている[20][46]。なお上田は、ピンボールから拝借した要素として、ハートマークによる得点倍率、「EXTRA」と「SPECIAL」ボーナスの要素を例示している[47]。

なお、本作は回転ドアを操作して迷路の形状を自在に変化させることができるため、プレイヤーが敵を誘導しやすい性質を持っていた[25][46]。難易度を上げるためには、敵の虫を難易度上昇に応じて高速に動かすことが必要となり、その副作用によるすり抜けの対処など、挙動の調整には苦労したと上田は述べている[25][46]。なお、上田によると本作の敵の虫の動作については、迷路上にテントウムシから近い順に数字を割り当てておき、追跡フラグが立つと敵の虫が数字の少ない方に向かっていくというアルゴリズムを採用していたと語っている[25]。

また、上田は回転ドアとテントウムシの当たり判定や、テントウムシが角を曲がりやすくするための調整には苦労したと語っている[25]。なお、操作性の調整については、地形の判定にある程度ゆとりを持たせたのにも関わらず、製品の稼働後に客から角を曲がるのが難しいという反応が返ってきたと上田は語っており、本作における調整に失敗した部分であったと振り返っている[42]。

音楽

上田は、本作で使用されたチェリッシュの楽曲「てんとう虫のサンバ」について、JASRACから許諾を受けて使用していると語っている[25][26][注 8]。上田によると楽曲の許諾を得る際に、JASRACの担当者からはビデオゲームに楽曲のライセンスを与えるのは前例がないと伝えられたと話し、最終的に基板の製造枚数に応じてレコード1枚あたりの使用料金[注 9]と同じ金額を支払ったと述べている[25][26]。

評価

業務用ビデオゲーム版

『Electronic Games(英語版)』が主催し、全米で1981年10月1日から1982年10月1日までに発売されたゲームを対象に選考した「1983 Arcade Awards」(1983年1月発表)の業務用ビデオゲームの部門で、『レディーバグ』は「最も斬新な業務用ビデオゲーム」賞の次点評価を獲得している[23]。その評価の主な理由としては、回転ドアの要素をゲームのシステムに取り入れたことが挙げられている[23]。この要素の導入によって、これまでのドットイートの中でも、より戦略性が高いゲームに仕上がっていると評価している[23]。

コレコビジョン版

1982年11月発行の『The Logical Gamer』に掲載されたレビューで、コレコビジョン版は高い評価を与えられている[11]。レビューに設けられた指標では、グラフィックとサウンドは5段階中の最高評価が与えられており、面白さの指標でも1年以上飽きることなく楽しめる作品という高評価を与えている[11]。2人のレビュアーは、欠点としてコレコビジョンの付属コントローラーの操作性の悪さについて言及しつつも、ソフト自体は傑作であり、購入すべきゲームとして絶賛している[11]。また、その中でAlan R. Bechtoldは、野菜を数多く獲得できるボーナス面について飛躍的に高得点を狙える要素として特に評価しており、その際に流れるBGMについても高評価を与えている[11]。Mike Wilsonは、高得点の獲得、より多くの面の踏破、どちらを目指しても楽しめると評価している[11]。

1982年12月発行の『Electronic Games』に掲載されたレビューでは、本作のシステムについて、ドットイートの中でも素早い判断能力と戦略性が求められるゲームと評価している[21]。その中でも、テントウムシだけが動かせる回転ドアと、敵を一時停止させる効果を持ち、面ごとに種類が変わる野菜のシステムを中毒性を高めるものとして特に評価している[21]。また、コレコビジョン版の移植度については、業務用版のほぼ忠実再現であると評価し、特にサウンドについては完璧であると高評価を与えている[21]。また、レビューでは、業務用版はゲームの完成度の割に米国市場であまり出回らなかったことにも触れ、このような隠れた佳作を移植したコレコの審美眼についても高い評価を与えている[21]。

また、同誌が主催し、全米で1982年10月1日から1983年8月31日までに発売されたゲームを対象に選考した[49]「1984 Arcade Awards」(1984年1月発表)の家庭用ビデオゲームの部門で、コレコビジョン版は「Video Game of The Year(ROM容量16K以上)」賞を獲得している[50]。その受賞理由としては、業務用では隠れた佳作であった本作がコレコビジョンへの移植によって再評価されたこと、ピンボール的なスコアシステムと戦略性が他のドットイートと比べて秀でていることを挙げている[50]。

1983年1月発行の『Electronic Fun with Computers & Games(英語版)』に掲載されたレビューで、コレコビジョン版は4点中4点の評価が与えられている[4][18]。レビューでは、コレコビジョン版の再現度は業務用版と比べてほぼ完璧と評価しており、いつまででも楽しめる出来と記載している[18]。

1984年1月発行の『ログイン』に掲載されたコレコビジョンの紹介記事では、米国で評判の良いソフトのひとつとして『レディーバグ』を紹介している[51]。記事では、ルールや「てんとう虫のサンバ」が使われている音楽面などの元々のゲームの特徴や、本作をはじめとしたユニバーサルの製品がルールの奥深さを理由に日本の若いゲームのマニア層から高く評価されていることについて触れ、コレコビジョン版についてはアルゴリズムや配色、音楽の再現性の面から「移植デザインはほぼ完璧」と評価している[51]。

2001年1月発行の『Game Informer』に掲載されたレビューで、コレコビジョン版は10点中8.25点の評価が与えられている[19]。レビューでは、『レディーバグ』はコレコビジョンの中で最も知られたゲームのひとつと述べ、『パックマン』からの影響が色濃いが中毒性のあるゲームであると記載している[19]。

インテレビジョン版

1983年9月発行の『The Logical Gamer』に掲載されたレビューで、インテレビジョン版はコレコビジョン版と比較して劣る出来と評価されている[12]。レビューに設けられた指標では、グラフィックとサウンドは5段階中2点の評価となっており、面白さの指標では1ヶ月から6ヶ月程度楽しめるゲームという評価が与えられている[12]。2人のレビュアーは、迷路の小ささや、コレコビジョン版に含まれる野菜のボーナス面が削られていること、付属コントローラによる操作性の問題を取り上げている[12]。総合的には、コレコビジョン版を知らなければ楽しめる程度の完成度として評価している[12]。

1983年11月発行の『Electronic Fun with Computers & Games』に掲載されたレビューで、インテレビジョン版は4点中2.5点の評価が与えられている[4][35]。レビューでは、インテレビジョン版はやや期待外れの出来と評しており、グラフィックや操作性、ボーナス面が削減されている点が、コレコビジョン版と比較して劣ると記載されている[35]。

参考文献

脚注

外部リンク

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