三河仏壇

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三河仏壇 (みかわぶつだん) は、愛知県三河地域一帯で作られている仏壇。押入れの幅と高さ、奥行きに合わせて台を低くし、三杯引き出しをしつらえた設計がなされている[1]

三河仏壇の特徴は、押入れに合う大きさという条件のもと仏壇を豪華に見せる工夫がなされていることである。それが、欄間の彫りや屋根の小長押に見られる「うねり長押(なげし)」という仕様に表れている。このうねり長押によって美しい宮殿(くうでん)がよく見え、ご本尊と仏像を拝みやすい構造になっている。

三河仏壇は、同じ三河地区の豊橋筆常滑焼などとともに、経済産業大臣指定の伝統的工芸品の1つに選定されている(第六次指定、昭和51年12月15日)[2]。また、2008年(平成20年)6月には、特許庁地域団体商標に登録されている(商標登録番号、第5145953号)[2]。権利者は三河仏壇振興協同組合[2]

歴史

三河地方に浄土真宗が伝播したのは鎌倉時代のことだった。その教えは室町時代、広くこの地方の民衆の間に根付きはじめ、仏壇の製造がはじまった。徳川家康の生誕地でもあった現在の岡崎市は幕府の庇護を受け、仏教の発展とともに仏壇の一大製造地として発達していった。岡崎市には、愛知・岐阜・長野の県境に流れを発し知多湾まで、全長およそ117kmに及ぶ一級河川矢作川が流れている。もともと小さな支流の集まりであったこの川は、徳川家康の命で治水事業を推進したことにより、水運の要衝となった。矢作川を伝い上流から流れ着く松や杉、檜などの木地に加え、三河北部で良質な漆が採取されていたこと、三河地方には高度な鋳造、鍛造技術が伝わっていたことなど、仏壇製造にとって好条件が揃っていた岡崎の地で、1704年(元禄17年)、仏壇師であった庄八家が三河仏壇の製造をはじめた。

製作工程

1.木地造り

三河仏壇は、8つの製作工程を経て完成する。それぞれを担当する職人を総称して「八職」と呼ぶが、そのうち木地師が手掛ける最初の工程を「木地造り」という。木地造りでは、木取りした約30 の部品をほぞ組して仏壇の外郭を作る。ほぞ組の際、にかわなどを塗って合わせたはぎ板を炭火で炙って締め付ける「はぎ付加工」という独特の技術を用いるのは、三河仏壇ならではの特徴です。

2.宮殿(くうでん)造り

仏壇の外郭ができあがったら、次は宮殿師による「宮殿造り」である。宮殿とは仏像や仏会を安置する木地の中央部分をいい、屋根、柱、須弥壇などから成っている。宗派によって、荘厳(しょうごん)造り、宮殿御坊様(ごぼうよう)、禅宗桝造り、堂造り宮殿と、それぞれ造りが異なる。三河仏壇は台が低く作られていることから、この工程で内陣に豪華さが出るよう工夫される。

3.彫刻

彫刻師がうねり長押(なげし)の上部、宮殿の内部にあたる部分などに彫刻を施していく。彫刻で描かれるのは花や鳥、唐草、龍など、宗派ごとに異なる仏界の模様で、材料となる檜や紅松などに下絵を写したあと、荒彫り、中彫り、仕上げ彫りの順に彫り進めていく。三河仏壇は彫刻にも特徴があり、障子の中央部分には「花小彫」と呼ばれる花模様が描かれている。

4.塗り

塗りは、塗師が木地に漆塗りを施す工程。ここではまず、砥の粉下地を木地、宮殿、彫刻に塗り、乾燥させる。次に水を引き、砥石で磨き上げて下地を作る。下地ができあがったらその上に刷毛で漆を塗り、再び乾燥させたあと駿河炭で水研ぎをします。それぞれ部位によって、箔押し漆、呂色(ろいろ)漆、塗立漆を使い分けます。

5.錺金具(かざりかなぐ)造り

仏壇に取り付ける錺金具を作る工程は金物師が請け負う。内側部分に取り付ける錺を内金具、外部分になるものを外金具と分け、それぞれの職人がノミと金槌を使って模様を描く。戸当りなどに付いている毛彫(けぼり)金具が立体的に見えるよう、浮き出し法を使うのは三河仏壇の特徴である。

6. 蒔絵

塗りの工程で漆塗りされた部分に金粉などで絵を描くのが蒔絵(まきえ)である。まず絵漆を塗り、十分に乾燥しないうちに図柄に従って金粉、銀粉、アワビの青貝などを蒔きつけていく。泥盛り蒔絵、平蒔絵、箔下蒔絵など様々な技法があるが、中でも「泥盛り蒔絵」は、下絵に沿って泥を盛り該当部分に立体感を出すという、蒔絵師の熟達した技が要求される作業だ。

7.箔押し(はくおし)

箔押(はくおし)の工程では、押漆(おしうるし)という漆をむらなく塗り、綿で拭きとった部分に、箔箸で金箔を1枚1枚押していきます。金箔を押した部分に柔らかな綿をあて、余分な金箔を拭きとって完成。

8.組立

三河仏壇の最後の工程となるのが、組立師による組立である。ここまで7つの工程を経たそれぞれの部品を、錺金具、宮殿、彫刻、天井、胴、内回りの順に組み合わせていく。形が整ったら不具合がないか確認し、布で拭き上げて完成。

製造地域

脚注

関連項目

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