上野壮大
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来歴
1991年に京都府で生まれ、その後は福井県で育った[2]。愛知県岡崎市での1年間の居住を経て、2013年から2016年までは静岡県浜松市に在住した[2]。この期間、静岡大学情報学部に在籍し、2016年3月に同大学を卒業した[3]。また、同時期に実写映画監督・プロデューサーの越川道夫に師事し[4]:2、越川が製作や監督を務める映画『楽隊のうさぎ』(2013年)および『海辺の生と死』(2017年)において現場スチールを担当した[5]。2016年から2017年にかけて、アニメーション制作会社のスタジオディーンが制作する作品に制作進行として従事した。2018年以降は演出家として活動し、テレビアニメ『佐々木と宮野』(2022年)や劇場アニメ『映画 佐々木と宮野ー卒業編ー』(2023年)で助監督を務めたのち、2024年に放送されたテレビアニメ『義妹生活』で初めて監督を務めた[6]:3。
作風・演出技法
『義妹生活』の原作者・三河ごーすとによれば、上野壮大は映画を好む傾向にあり、アニメ作品の制作において実写映画の手法を参考にしている[4]。『義妹生活』ではジョナス・メカスの日記映画の要素を取り入れ[4]、『死亡遊戯で飯を食う。』では黒沢清監督の映画『CURE』などを参照して映像を構成した[7]。また、両作品で音響監督を務めた小沼則義は、上野を独自の演出思想や強いこだわりを持つ演出家であると述べている[6]。小沼は上野の性質を根暗であると表現し、一般的な商業エンターテインメントの枠組みに終始しない独自の作家性を指摘している[6]。
上野はアニメーションにおける実在感や生命感の表現を課題として挙げており、実写のような本来的な時間が存在しないアニメーションに時間を宿らせるための工夫を行っている[4]:2。上野は静止した画面に時間の流れや生命を感じさせるため、音響を重視し、画面の外側にも世界が継続しているという実写映像の概念を取り入れていると語っている[4]:2。具体的な手法として、『義妹生活』においては撮影監督であるたむらまさきの作品を参考にし、日常をありのままに捉える手法を試みている[4]:2。また、制作における取捨選択に関して、上野は師である越川道夫の教えを根幹に据えている[4]:2。特定の状況が提示された後の直接的な描写は不要であるという越川の教えを受け、上野はその考えを自身の作品の構成に反映させている[4]:2。
上野は、登場人物の心情を直接的に描くのではなく、間接的な手法を用いて視聴者に想像させる演出を重視している。『佐々木と宮野』においては、登場人物の感情の持続や途切れを芝居を通じて表現し[8]、『義妹生活』第1話では、キャラクターが自身の動揺や意図を隠すという行動を強調することで、内面を想像する余地を視聴者に与えたと上野は説明している[9]。さらに上野は、視聴者に解釈を委ねることで、作品が長期にわたって記憶に残ることを目指している。『義妹生活』第7話において登場人物の機嫌が良い理由を明示しなかった点について、上野は継続して視聴している層であれば自ずと理解できるという考えを示している[9]:4。また『佐々木と宮野』に関しても、視聴後に時間を空けて再視聴し、新たな感情に気づくような映像作品の楽しみ方を提案している[8]:2。