義妹生活

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ジャンル恋愛[1]
イラストHiten
出版社KADOKAWA
義妹生活

テレビアニメのロゴ
ジャンル 恋愛[1]
小説
著者 三河ごーすと
イラスト Hiten
出版社 KADOKAWA
レーベル MF文庫J
刊行期間 2021年1月25日 -
巻数 既刊17巻(2026年2月現在)
漫画
原作・原案など 三河ごーすと(原作)
Hiten(キャラクター原案)
作画 奏ユミカ
出版社 KADOKAWA
掲載サイト 少年エースplus
レーベル 角川コミックス・エース
発表期間 2021年7月16日 -
巻数 既刊6巻(2026年2月現在)
アニメ
原作 三河ごーすと
監督 上野壮大
シリーズ構成 広田光毅
キャラクターデザイン 仁井学
音楽 CITOCA
アニメーション制作 スタジオディーン
製作 義妹生活製作委員会
放送局 AT-Xほか
放送期間 2024年7月4日 - 9月19日
話数 全12話
ラジオ:義妹生活ラジオ 〜Radio Diary〜
配信期間 2024年4月29日 -
配信サイト YouTube音泉
配信形式 ストリーミング
パーソナリティ 天﨑滉平(浅村悠太 役)
中島由貴(綾瀬沙季 役)
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画アニメ
ポータル ライトノベル漫画アニメラジオ
義妹生活
YouTube
チャンネル
活動期間 2020年[2] -
ジャンル 漫画[3]、エンタメ[2]
登録者数 22.8万人
総再生回数 4224万1888回
チャンネル登録者数・総再生回数は
2024年7月20日[4]時点。
テンプレートを表示

義妹生活』(ぎまいせいかつ)は、三河ごーすとによる日本YouTube漫画およびそれを原作としたメディアミックス作品。イラストHitenが担当している。

2020年4月にYouTubeチャンネルが開設、2020年5月からYouTube動画として投稿されていた本作がメディアミックスされ、ノベライズ版としてMF文庫JKADOKAWA)にて2021年1月から刊行[5][6]。イラストはYouTube版と同じくHitenが担当している。同年7月からはノベライズ版を元に『少年エースplus』(同)にて奏ユミカによるコミカライズ版が連載されている[7]。また、同月に公式チャンネルにてコミカライズ第1話のボイスコミック動画が投稿された[8]

2022年7月24日に、YouTubeのKADOKAWAanimeチャンネルで行われた生配信「MF文庫J『夏の学園祭2022』」にてテレビアニメ化が発表され[9]、YouTube版の主要キャラクターのキャスト声優がアニメ版でも続投されることも併せて発表された[10]。テレビアニメはノベライズ版の物語を原作として2024年7月から9月まで放送された[11]

高校2年生・浅村悠太は、母の浮気が原因で両親が離婚して以来、女性に対して期待をしなくなっていた。悠太は父親の突然の再婚により、義妹となった派手な見た目の高校2年生・綾瀬沙季と出会う。

沙季も悠太と同様に、両親の不仲を見てきたために男女関係に慎重になっており、このことから二人は互いに「適切な距離感で接すること」を約束しあい、家族として生活していくことになる。

登場人物

声の項はボイスコミック版 / YouTube動画版とテレビアニメ版の声優。声優が1人の場合は原則テレビアニメ版を指す。

浅村 悠太あさむら ゆうた
声 - 天﨑滉平[12][8]石上静香(幼少期)
本作の主人公[12]。都立水星高校に通う高校2年生の男子生徒。沙季の義兄。校内では他の生徒と距離を取っており、友和以外にまともな友人はいない。書店でアルバイトをしている。
このライトノベルがすごい!』男性キャラクター部門では2023年版で10位[13]、2025年版で6位を獲得[14]
綾瀬 沙季あやせ さき
声 - 中島由貴[12][8]
本作のヒロイン[12]。悠太と同じ高校に通う高校2年生の女子生徒。悠太の義妹。悠太とは同い年だが誕生日が1週間遅いため、義妹ということになる。派手な見た目とは裏腹に大人びた性格をしているが、その見た目のせいで校内では浮いている。
『このライトノベルがすごい!』女性キャラクター部門では2022年版で7位[15]、2023年版で9位[16]、2025年版で10位を獲得[17]
丸 友和まる ともかず
声 - 濱野大輝[18]
悠太のクラスメイトで悠太にとっては唯一の友達と呼べる存在。野球部に所属しており、それに加えてオタクでもある。
奈良坂 真綾ならさか まあや
声 - 鈴木愛唯[19]
沙季のクラスメイトで沙季にとっては唯一の友達と呼べる存在。明るい性格に加えお節介焼きであり、孤立していた沙季にウザ絡みをしていくうちに友達となった。
読売 栞よみうり しおり
声 - 鈴木みのり[20]
悠太のバイト先の先輩で大学生。見た目はお淑やかで大和撫子だが、実際は悠太をからかうのが好きで下ネタも平気で口にする。美人なためアルバイト中によくナンパに遭っている。
浅村 太一あさむら たいち
声 - 天﨑滉平(ボイスコミック)[21] / 小林親弘[22]
悠太の実父で、沙季にとっては義父にあたる。
綾瀬 亜季子あやせ あきこ
声 - 原えりこ(ボイスコミック)[23] / 上田麗奈[22]
沙季の実母で、悠太にとっては義母にあたる。

制作背景

経緯

三河は若者にもライトノベルに興味を持ってほしいと考えていた。そこで若者が多く利用するYouTubeに着目し、中高生向けに作品を提供する立場にもかかわらずYouTubeで作品を発表しないのは長期的に考えれば良くないと感じたことで、YouTubeで本作を展開することにした[12]

自身が小説家なこともあり本作をノベライズ化したいと考えていた三河は、知り合いの編集者に本作をアピールし続けた結果、MF文庫Jの担当編集者からオファーを貰うことに成功した[12]

制作

三河は複数の作品を執筆していく中で、「キャラクターの日常をひたすら深く掘り下げてほしい」という要望を持った読者の存在を知った。そこから、「極限まで日常に振り切った作品」に興味を示した三河は義理の兄妹関係を丁寧に描くことを考え、本作を執筆していった[24]

各キャラクターの性格や考え方については、三河曰く「自身の魂から切り分けた要素をある程度振り分けている」としているが、それに加えて他人の言動をキャラクターに反映させるパターンもある。また、三河は読者がハマれるような魅力を兼ね備えつつも限界までリアル感を与えるためにどうすればいいのかを意識して執筆をしている[24]

制作については、『義妹生活』の原作者の立ち位置として三河がいるが、物語の台本は複数のライターが手掛けている。三河曰く、それぞれのライターの味が台本ごとに出ているため、敢えてミニマムコントロールをせずにそのまま収録に持っていくことも多いという[12]

スタッフィング

キャスティングについては三河が声優事務所・ビーフェクトと縁があったため相談したところ、中島由貴天﨑滉平の2人を紹介された。中島と天﨑が本作に登場するキャラクターのイメージに合致したことからオファーを出し、双方から快諾を得ることが出来たという[12]

本作のイラストレーターにHitenを起用した理由について三河は「Hiten先生が個人で発表した『少女がひとりで過ごしている日常の一幕を切り取ったような』イラストが、自身のイメージする『義妹生活』の世界にピッタリだったから」だと述べている[24]

YouTube版と小説版の差異

原作のYouTube版は時系列がバラバラだったが、ノベライズ版では時系列に沿って展開がされている。また、YouTube版では三河曰く「登場人物たちがユーチューバーをやっているイメージ」を描いて作られているが、ノベライズ版では浅村悠太の視点で描かれており、悠太の一人称で物語が進んでいく[12]

双方の一番の違いはストーリー性の有無であり、ノベライズ版では登場人物の関係性が大きく変化している。また、感情の変化や成長に関してはYouTube版以上にあると三河は述べている[12]

ノベライズ版ではYouTube版で登場していなかったキャラクターが複数登場している[12]

反響

本作のYouTube公開後の視聴者の反応について、浅村悠太役の天﨑は「視聴者を含めた皆で一から作品を作り上げていくプロジェクトのような温かさを感じる」と、綾瀬沙季役の中島は「私たちが感じている楽しさや面白さが、視聴者にも受け入れられているというのは嬉しい」とそれぞれ述べている[12]

2021年9月に「義妹生活」チャンネルの過去動画全てに英語字幕がつき、さらにスペイン語中国語ベトナム語の字幕も追加されていることから、三河は自身のTwitterで「海外のファンも増えている」と述べている[25]

ノベライズ版発売後の反響について三河は「想像以上の好評を頂いた」と述べたうえで、「本作はあえて調味料を使わず、素材の味で勝負するような一作であることもあり、一歩間違えれば地味とだけ受け取られ、作品のテーマや日常の空気感を楽しんでもらうという本作の旨味を楽しめない恐れもあった。なので、読者が前向きに作品のテーマに触れてくれてとても嬉しい」とも述べている[24]

評価

ノベライズ版第1巻が「ラノベニュースオンラインアワード2021年1月刊」の投票アンケートで「総合部門」「萌えた部門」「新作総合部門」「新作部門」の4部門にそれぞれ選出された[26]

「次にくるライトノベル大賞2021」では総合部門で8位、書き下ろし新作部門で2位をそれぞれ獲得している[27]。『このライトノベルがすごい!』では2022年版で文庫部門7位、総合新作部門3位[28]、2023年版で文庫部門9位[29]、2025年版で文庫部門8位を獲得している[30]。さらに、同誌2022年版には本作について「義妹との程よい距離感が良い味を出している」とコメントされている[31]

ライターの飯田一史はリアルサウンドのコラムで「YouTube発の小説」として本作を紹介しており、「ノベライズとして刊行された本作はラノベの読者に好意的に受け入れられている」と述べている[3]

書籍『ライトノベルの新・潮流 黎明期→2021』には浅村悠太と綾瀬沙季の2人が家族として暮らしていく過程をリアルかつ丁寧に描いている一方で、過度な溺愛やコメディが描かれていないことによって他のラブコメ作品と差別化が出来ていると記されている[1]

2025年6月時点で電子版を含めたシリーズ累計部数は111万部を突破している[32]

既刊一覧

小説

  • 三河ごーすと(著)・Hiten(イラスト) KADOKAWA〈MF文庫J〉、既刊17巻(2026年2月25日現在)
    1. 『義妹生活』2021年1月25日初版発行(同日発売[33])、ISBN 978-4-04-064726-5
    2. 『義妹生活2』2021年3月25日初版発行(同日発売[34])、ISBN 978-4-04-680326-9
    3. 『義妹生活3』2021年7月25日初版発行(7月21日発売[35])、ISBN 978-4-04-680607-9
    4. 『義妹生活4』2021年12月25日初版発行(12月24日発売[36])、ISBN 978-4-04-681001-4
    5. 『義妹生活5』2022年4月25日初版発行(同日発売[37])、ISBN 978-4-04-681361-9
    6. 『義妹生活6』2022年8月25日初版発行(同日発売[38])、ISBN 978-4-04-681656-6
    7. 『義妹生活7』2022年12月25日初版発行(12月23日発売[39])、ISBN 978-4-04-682033-4
    8. 『義妹生活8』2023年4月25日初版発行(同日発売[40])、ISBN 978-4-04-682404-2
    9. 『義妹生活9』2023年8月25日初版発行(同日発売[41])、ISBN 978-4-04-682764-7
    10. 『義妹生活10』2024年1月25日初版発行(同日発売[42])、ISBN 978-4-04-683233-7
    11. 『義妹生活11』2024年7月25日初版発行(同日発売[43])、ISBN 978-4-04-683793-6
    12. 『義妹生活12』2024年10月25日初版発行(同日発売[44])、ISBN 978-4-04-684229-9
    13. 『義妹生活13』2025年2月25日初版発行(同日発売[45])、ISBN 978-4-04-684554-2
    14. 『義妹生活 another days』2025年2月25日初版発行(同日発売[46])、ISBN 978-4-04-684555-9
    15. 『義妹生活14』2025年6月25日初版発行(同日発売[47])、ISBN 978-4-04-684885-7
    16. 『義妹生活15』2025年10月24日初版発行(同日発売[48])、ISBN 978-4-04-685288-5
    17. 『義妹生活16』2026年2月25日初版発行(同日発売[49])、ISBN 978-4-04-685707-1

漫画

画集

テレビアニメ

2024年7月から9月にかけてAT-Xほかにて放送された[58][59]

製作

スタッフ[60][22][59]
原作 三河ごーすと
キャラクター原案 Hiten
監督 上野壮大
シリーズ構成 広田光毅
キャラクターデザイン 仁井学
プロップデザイン いのうえりか
メインアニメーター 太田衣美、渡邉徳
色彩設計 桂木今里
美術監督 甲斐政俊
美術設定 田尻健一、鹿野良行
撮影監督 近藤慎与
CGディレクター 大嶋慎介
編集 白石あかね
音響監督 小沼則義
音響効果 山田香織
音響制作 100studio
音楽 CITOCA
音楽制作 山口響子、日本コロムビア
音楽プロデューサー 江添佳絵
プロデューサー 香山貴亮、小倉理絵、大類瞬、
門貴治、谷口博康、外川明宏、
杉本拓朗、松村尚、渡瀬昌太
アニメーションプロデューサー 中田善文
アニメーション制作 スタジオディーン
製作 義妹生活製作委員会

沿革

本作のアニメ化は2022年に発表された[61]。2020年から開始されたYouTube漫画版の展開時から視聴者によるアニメ化を期待する声が存在しており、主演声優を務める天﨑滉平と中島由貴も以前からアニメ化への希望を持っていたという[61]。原作者の三河ごーすとがアニメ化の実感を得たのは2023年7月のウルトラティザービジュアル公開時であり、原作から大事にしてきたキャラクターたちや作品世界の実在感が表現されていることに対して肯定的な感想を述べている[61]

第1話の特別先行上映イベントが2024年5月2日に開催され、原作者の三河が登壇した[61]。三河はこのイベントにおいて、2024年3月に公開されたティザーPVについて、映画と見紛うような映像であり「映画泥棒が出てきそう」と感じたと語っている[61]

制作体制

監督を務める上野壮大は構成打ち合わせから脚本会議、コンテや設定のチェック、アフレコといった要所の全てに原作者の三河を参加させる方針を採った[62]。三河によれば、スタッフ陣との脚本会議は密に行われたものの意見の食い違いはほぼなく、意見がぶつかった際も最終的に同じ方向に進むための建設的な案であったため、制作はスムーズに進行したという[61]。上野は三河に対して色褪せたシールや日記のデザイン、幼い頃の髪型やぬいぐるみ、カップ味噌汁、キッチンの動物の置物、風船、給湯器といった細かなアイディアを確認する形で映像化を進めており、監督としての仕事の仕方に反省の念を示しつつも、映像として広がる世界観を豊かかつ確かに描くことができたと評価している[62]

脚本

シリーズ構成の広田光毅と上野は最初の構成打ち合わせにおいて、悠太や沙季の原作におけるモノローグをどう処理するかを検討し、気持ちの発露を恋心に気づくタイミングからにすることを決定した[63]。アニメーションプロデューサーの中田善文は、言葉にできない気持ちは仕草や台詞間や環境音という形で処理され、より観ている人に響く言葉に変換されたと述懐している[63]

第5話の脚本を担当した笹野恵について、上野は読む前よりも背筋が伸びるような読後感があり、新緑の風のような魅力があったと評している[62]:3。第5話の劇中劇「蒼い夜の隙間」は当初ここまで描く予定ではなかったが、笹野の初稿を読んだ上野が栞先輩のためにも描くべきだと判断し、追加を依頼した[62]:3。笹野は1本の映画が作れるほどの細かい設定を作成し、キャラクター原案のpotgがキャラクターの細部から世界観を広げていった[62]:3

最終話の配置については、広田と上野が最初に検討した問題であった[62]:7。テーマが求めるテンポ的には原作3巻までが好ましいものの、物語としては4巻までが好ましいという判断があり、幾度も重ねたすり合わせの結果として後者が選択された[62]:7。上野は放送終了後、この選択は正しかったと振り返っており、限られた尺の中で語るべきテンポを守るために様々な新しい表現が生まれたと述べている[62]:7

演出・映像表現

映像制作の方針として、上野とキャラクターデザインの仁井学は「顔で感情を語りすぎない」という共通認識を持っていた[62]:4。表情設定においても感情の最大値ではなく平均値を描くことが意識され、繊細なバランスが第1話から維持された[62]:4。また上野はコンテ発注時に「感情の変化によって動く表情」を撮るのではなく、「感情は確かに揺れているが変化しない表情」を撮ることの重要性を語っている[62]:4

また、本作では、各話のカット数を平均150カットに抑える方針が採られた[64]。メインアニメーターの太田衣美はコンテを見た際に、カット数を減らすことで1カットの重さが増すことを実感し、大変な戦いが始まると覚悟したと述懐している[64]。実際の制作においても、第4話では長尺のカットが多く、人がいない時間や背景だけの時間をいかに持たせるかという点に苦慮したという[65]。動画検査を担当した玉城清登は、1話あたりのカット数が少ないために1カット1カットが重く、長めの日常芝居でリテイクの量が多く大変であったと述べている[66]

さらに、上野は作品全編を通じて「実在感」という要素にこだわったと語っている[62]。これは目に見えないものや耳で聞こえないものであっても「そこにある確かさ」を表現することを意味しており、第1話では画面外への目線や画面外からの光、音といった要素が印象的に用いられた[62]。上野によれば、帰宅時のリビングからの温かい光、風呂を入れ直す際の給湯器の音、相手との距離を測るようなノックの音、暗い廊下に灯した光といった描写は、目に見えず聞こえない心情を確かなものとして描くための演出であったという[62]。また、触れて確かめるという行為も積極的に取り入れられており、新しい部屋の中を歩いて広さを確かめる、色褪せたシールを撫でる、知らないスイッチを何度も押すといった描写がなされた[62]。上野はこれらの演出について、現実的でリアルな描写を目指したのではなく、言葉だけでは表現できない不明瞭な感情や相手のことを考え想う心情を描写するためのものであったと説明している[62]

原作における綾瀬沙季の日記パートの映像化については、様々なパターンが想定されたものの、三河は最終的に「これしかない」という方法で再現されていると評価している[61]。上野は日記パートの演出方針として、映像の主観性、縦横比4対3の採用、映像内の台詞を極力字幕で表現すること、映像自体の揺れ、フォーカスの揺らぎ、フィルム特有のノイズによる手触りのある映像、ジャンプショットによる非連続性、柔らかな光の表現といった要素を挙げている[62]:2。これらの手法は映像作家ジョナス・メカスが生み出した「日記映画」を参考にしており、沙季が過ごした日々を愛おしく表現することを目指したものであったという[62]:2。上野は綾瀬沙季というキャラクターを「水の人」と捉え、第7話では水の中を歩くシーンや部屋が水槽になっているかのようなシーンが描かれた[62]:4。この表現とエンディング主題歌「水槽のブランコ」の歌詞とのシンクロは偶然であったが、上野はそれを確信的なものとして受け止めたという[62]:4

エンディング映像は映像作家のhewaに全て任せられた[62]:3。上野はhewaについて、日々の描き方や2人のあり方、色彩、音楽とシンクロして風がこちらにまで通り抜けてくるような空気感を持つ非凡な作家であると評している[62]:3。エンディング主題歌を歌うKitriの音楽について、上野は作品と沙季に寄り添って作られたものであり、初めてデモを聴いた日は秋風の屋上で嬉しくて小一時間ほど聴きながら踊っていたと語っている[62]:3。その際に浮かんだ映像がいずれも本編と繋がってしまったため、エンディング映像を作る作家を慌てて探すことになったという[62]:3。hewaへの発注時には、アニメーションで自分たちが描いてきた2人の日々の、撮ってきた日々のそのフレームの外側に行ってスケッチしてきてほしいという趣旨を伝えたと記憶していると述べている[62]:3。上野は本編の世界観やエンディング曲のコンセプトから少し離れてほしいという旨も伝えた可能性があるとしているが、その理由については秘密にすると述べている[62]:3

第5話の劇中劇「蒼い夜の隙間」については、コンセプトアートに加え、キャラクター、色、背景、撮影、音楽などの全てを劇中劇用に制作したため、本編とは異なる表現を楽しむことができるものとなった[67]。演出の小林美月は実写で切り絵アニメを撮影するなど、個人的にも新しい試みをさせてもらったと述べている[67]。劇中劇のキャラクターデザインを担当した村上彩香は、劇中劇用の諸々の資料を受け取った際、作り込みから上野の本気さが伝わり、全力で答えなければならないと感じたという[67]。上野は劇中劇について、つまりは劇中に出てくる映画のためだけに1から新しい作品を作ったことになり、それは栞先輩のためであり、あの夜は確かにあったと描くためであったと述べている[62]:3

第12話のサブタイトル「  と  」について、上野は当初「兄と妹でも彼氏と彼女でもない、言葉にできないけれど2人で大切に考えていきたい何か」として空白で表現する予定であったと語っている[62]:7。「tomorrow and tomorrow」という言葉はコンテ時に生まれたものであり、ラストシーンを描いていく中で描き終えることが惜しく、ずっとこの2人が光の中を歩いていけるようにという祈りが、気づくと紙の端に書いてあったという[62]:7。上野はこれが関わってくれたスタッフの書いた文字としてサブタイトルになったと述べている[62]:7

音響・収録

音響監督の小沼則義について、上野はコンテの読み解き方が好きで信頼しきっていると語っており、音楽ラインは映像で開けきったと思っていた扉をさらに開けるようなものであったという[62]:2。小沼は音楽発注の際に「感情」と「心情」の違いにこだわり、言語化の難しい発注も多い中で悠太と沙季の無自覚な言葉や映像だけでは届かない深い部分にまで寄り添ったという[62]:2

音響効果の山田香織は、絵のスタッフの尽力により本放送に近い状態の映像で作業ができたため、動きの速さや強弱を正確に、感情も乗せて生音を録音することができたと述懐している[63]。山田は食事シーンについて、手元が見えない場面の献立まで細かく設計されていたため、同じ食事を用意して録音しながら毎回2人と同じものを食べていたというエピソードを明かしている[63]。上野は山田の仕事について、無機的なものに心情や命を吹き込んでいくものであり、アニメーションの本質を思い出させるものであったと評している[62]:2

音響制作を担当した穂積千愛は、現場をこの作品の空気感に合った温かく柔らかいものにしてくれたと上野から評価されており[62]:2、録音の長野大輝は繊細な芝居を丁寧に録り、アフレコの合間で上野のメンタルケアまで行っていたという[62]:2。録音助手として小松怜司と沼田陽由里が現場を支え、円滑な収録が実現された[62]:2

ダビングやアフレコのために、制作部は他の作品では依頼しないような無理を引き受け、作画、色彩、背景、撮影、3D、編集の全てのセクションがギリギリまで調整を重ねて各フィルムを押し上げて準備したという[62]:2。上野は第3話のダビング時に受けた感動について、これまでの自分にとってもこれからの自分にとっても大切なものであり、ずっとこれを抱えて作っていきたいと語っている[62]:2

音響監督の小沼則義は中島由貴とは初めての共演であったため、2回目か3回目でまだ緊張が残る時に少しでも雰囲気を変えられればとボケたが大滑りし、それを天﨑滉平がニヤニヤして見ていたという思い出を明かしている[63]。小沼は第5話の栞が深く息を吐く車中のシーンについて、収録現場でスタッフ一同が「辛い」と言うほどの空気感ができており、その空気感を壊さないように収録のオペレーターを行ったと述べている[67]

上野は第9話のアフレコ時、異質な空気感であったと振り返っている[62]:5。悠太の「好きだ」と沙季の「兄さん」を受け止めるのに時間がかかってしまい、誰もすぐに話し出せなかったという[62]:5。ダビングの際も同様であったとしている[62]:5

原作者の三河は第12話のアフレコに立ち会っており、その際にコンビニ店員役として声優出演することになった[68]。三河によれば、小沼が「ミスでモブ役の声優を手配し忘れた」として出演を依頼したものであり、最初は素人が出演することに引け目を感じたが、キャストから台本の持ち方を教わり、小沼からマイクに乗せるための声の出し方を教わって収録に臨んだという[68]。1回目の演技に小沼からダメ出しが入り、居酒屋店員のような語尾上げではなく、脱力感のある語尾下げがコンビニ店員らしいというディレクションを受け、2回目でOKテイクとなったと明かしている[68]

主題歌

「天使たちの歌」
fhánaによるオープニングテーマ[59]。作詞は林秀樹、作曲・編曲は佐藤純一
fhánaは、本作の世界観や視聴者の日常生活に静かに溶け込めるような楽曲を目指して制作したと述べている[59]。周囲の人々との何気ない関係性や、日常の中にある奇跡や希望といった要素を楽曲に込めており、個々の聴き手の心に寄り添うことを意図しているという[59]
本楽曲について、監督の上野壮大は最初にデモを聞いた際、この楽曲が『義妹生活』に似合わないかもしれないと感じたと告白している[62]。音楽が持つ希望や光があまりに眩しく、何かに期待することを諦め期待されることも避けて日々を過ごそうとする2人とは乖離しているように聞こえたというのがその理由であった[62]。しかし制作が進み改めて聞いた際、2人が失ってしまったが確かにあった希望や光、その再生と修復を歌っているのだと気づき、幼い悠太の背中に天使の羽を預けるというコンテを描いたという[62]。上野はフルバージョンを聞いた際、朝の混雑したバスの中で我慢できずに涙を流したと述懐しており、視聴者に対して最終話まで見た後にもう一度この曲を聞いてほしいと述べている[62]
「水槽のブランコ」
Kitriによるエンディングテーマ[59]。作詞はHinaMona、作曲はMona、編曲はKitri。
Kitriによると、家族という関係が安心感をもたらす一方で時に見えない壁を生んでしまうという、変化し続ける二人の関係性や心情を投影して本楽曲は制作された[59]。一言では容易に表現できない物語の要素を楽曲に詰め込んでおり、作品を通じて楽曲が聴き手ごとに異なる印象に染まってほしいという意図があるとKitriは説明している[59]

各話リスト

話数サブタイトル脚本絵コンテ演出作画監督総作画監督初放送日
第1話他人 と ただいま広田光毅上野壮大
  • 安東大瑛
  • 小林美月
  • 村田尚樹
仁井学2024年
7月4日
第2話取引 と 目玉焼き福島宏之中島駿
7月11日
第3話反射 と 修正上野壮大
  • 上野壮大
  • 久保太郎
  • 村田尚樹
  • 森本浩文
  • 森川侑紀
  • 亀谷恭子
  • 佐藤陵
  • 伊藤智子
  • 棚沢隆
  • 小野あゆ美
  • 澤田知世
  • 杉本海帆
  • 石川洋一
  • 許睿雄
7月18日
第4話傾向 と 対策山田花名安東大瑛
  • 杉本梨渚
  • 蔣杭岑
  • 秦詩雨
  • 韓卉
  • 彭麗穎
  • 澤田知世
  • 杉本海帆
  • 植竹康彦
  • 森川侑紀
  • 石川洋一
  • 太田衣美
  • EN.studio
7月25日
第5話レイトショー と ガチなやつ笹野恵小林美月
  • 羽根田弓子
  • 許睿雄
  • 古池ゆかり
  • 杉本梨渚
  • 張昀
  • Rad Plus
8月1日
第6話酢豚 と 雨山田花名上野壮大いとがしんたろー
  • 森本浩文
  • 張昀
  • 古池ゆかり
  • 澤村享
  • いのうえりか
  • 武藤健
  • 植竹康彦
  • 石川洋一
  • Rad Plus
  • reboot
  • スタジオCL
8月8日
第7話感情 と 夏休み広田光毅福島宏之
  • 上野壮大
  • 久保太郎
  • 増喜美和子
  • 張昀
  • 吉田和香子
  • 秦詩雨
  • 韓卉
  • 彭麗穎
  • スタジオCL
8月15日
第8話返事 と ホットミルク笹野恵小林美月浜名孝行
  • 石井明治
  • 杉本梨渚
  • 澤田知世
  • 羽根田弓子
  • 許睿雄
  • 太田衣美
  • 亀谷響子
  • 森本浩文
  • 植竹康彦
  • 吉田和香子
8月22日
第9話義妹 と 日記広田光毅上野壮大
  • 上野壮大
  • 小林美月
  • 張昀
  • 太田衣美
  • 澤田知世
  • 日下岳史
  • 宮川智恵子
  • Rad Plus
  • スタジオCL
  • 無錫月霊動画
8月29日
第10話縁 と 未練山田花名中島駿
  • 張昀
  • 足立裕貴
  • 亀谷響子
  • 森川侑紀
  • 古池ゆかり
  • 羽根田弓子
  • Rad Plus
  • スタジオCL
9月5日
第11話兄 と 妹広田光毅福島宏之
  • いとがしんたろー
  • 安東大瑛
  • 杉本梨渚
  • 張昀
  • 杉本海帆
  • 古池ゆかり
  • 森本浩文
  • 太田衣美
  • 許睿雄
  • 羽根田弓子
  • ワン・オーダー
9月12日
第12話  と  [注 1]上野壮大
  • 上野壮大
  • 小林美月
  • いとがしんたろー
  • 太田衣美
  • 宮川智恵子
  • 王國年
  • 澤田知世
  • Rad Plus
  • スタジオCL
9月19日

放送局

日本国内 テレビ / 放送期間および放送時間[69]
放送期間 放送時間 放送局 対象地域 [70] 備考
2024年7月4日 - 9月19日 木曜 21:00 - 21:30 AT-X 日本全域 製作参加 / CS放送 / 字幕放送[71] / リピート放送あり
木曜 22:30 - 23:00 TOKYO MX 東京都
木曜 23:30 - 金曜 0:00 BS11 日本全域 BS放送 / 『ANIME+』枠
2024年7月5日 - 9月20日 金曜 2:55 - 3:25(木曜深夜) 関西テレビ 近畿広域圏 製作参加
日本国内 インターネット / 配信期間および配信時間[69]
配信開始日 配信時間 配信サイト
2024年7月4日 木曜 22:00 更新
2024年7月9日 火曜 22:00 以降順次更新

BD / DVD

発売日[72]収録話規格品番
BD限定版BD通常版DVD通常版
12024年10月25日第1話 - 第4話KAXA-8881KAXA-8891KABA-11591
22024年11月27日第5話 - 第8話N/AKAXA-8892KABA-11592
32024年12月25日第9話 - 第12話KAXA-8893KABA-11593

Webラジオ

2024年4月29日からWebラジオ番組『義妹生活ラジオ 〜Radio Diary〜』が、YouTubeのKADOKAWAアニメチャンネルおよびインターネットラジオステーション<音泉>にて月1回配信が開始される[73]。パーソナリティは、天﨑滉平(浅村悠太 役)と中島由貴(綾瀬沙季 役)が担当。

ゲスト

  • 第1回 - 三河ごーすと(原作)[74]
  • 第2回 - 鈴木愛唯(奈良坂真綾 役)[75]
  • 第3回 - 上野壮大(監督)[76]
  • 第4回 - 鈴木みのり(読売栞 役)[77]

脚注

参考文献

外部リンク

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