乳化剤

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乳化剤(にゅうかざい、: Emulsifier)は、乳化や起泡・消泡などの目的で使用される薬剤の総称。界面活性剤と同義であるが、食品用として使用される場合は界面活性剤と表記されることは稀である。本項では主に食品用途の乳化剤について扱う。食品用途以外の乳化剤については、界面活性剤を参照されたい。

合成添加物としてはグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルプロピレングリコール脂肪酸エステルショ糖脂肪酸エステルが認可されており、このうちグリセリン脂肪酸エステルが最も消費量が多い。 ほかに天然添加物・既存添加物として、ダイズ卵黄から採られるレシチンキラヤから採られるサポニン牛乳を原料とするカゼインナトリウムなどが使用される。

用途を限定されたものに、果実・野菜の表皮の被膜剤としてオキシエチレン脂肪酸アルコールオレイン酸ナトリウム及びモルホリン脂肪酸塩、ミカン缶詰製造時の果皮除去のためのポリオキシエチレン高級脂肪酸アルコールが認可されている。

日本国外では製パン用途でステアロイル乳酸カルシウム、チョコレートの粘度低下剤としてモノグリセリドリン酸アンモニウムなどが使用されているが、これらは日本では未認可である。

乳化剤の作用

乳化・分散作用
互いに混じり合いにくい水と油を、一方の液中に他方を分散させる効果を乳化と呼ぶ。また、乳化した状態の液体をエマルションと呼ぶ。水・脂との親和性はHLB値で表され、HLB値が高いものはO/W(水中油滴)型乳化に適し、HLB値が低いものはW/O(油中水滴)型乳化に適している。前者は粉末ココアコーヒーフレッシュなどを液中に分散させる効果、後者はマーガリンの水滴分離防止などがある。
湿潤・浸透作用
表面張力を低下させて液体を固体の表面に広げ、また隙間を伝って内部に染み込みやすくする作用を有する。
可溶化作用
微粒子を分散させ、水に溶けにくい物質をあたかも水に溶けたような状態にすることを指す。
起泡作用
液体と空気の界面に作用して表面張力を低下させ、液体と空気との接触面積を増加させるとともに、保護膜を作って泡を破れにくくする作用を持つ。食品では、パンやケーキ、アイスクリーム、ホイップクリームの製造などで効果を発揮する。
消泡作用
消泡作用には、すでに発生した泡を消す破泡作用と、泡立ちを抑える抑泡作用とがあるが、乳化剤は後者の作用を示す。
滑沢作用
錠剤錠菓の製造時に、原料となる粉末の流動性を高め、原料が製造装置に付着するのを防ぐとともに、表面に光沢を与える。
洗浄作用
湿潤・浸透作用により洗浄対象に溶液が染み込み、乳化・分散作用により汚れが溶液中に分散され、再付着しにくくなる。一般に食品用乳化剤は洗浄効果が高くないため、多くの場合、野菜や食品加工機器の洗浄には一般の界面活性剤が使われる。
抗菌性
副次的な用途であるが、脂肪酸エステルの一部にはカビ酵母グラム陽性菌などの発育を抑制する作用があり、中鎖脂肪酸エステルなどが日持保持剤として使用されている。食品衛生法上の表示基準では、乳化・分散・浸透・起消泡・離型などの目的で使用する場合は「乳化剤」と一括表示することが認められているが、日持保持剤など乳化剤以外の目的で使用する場合には物質名で表示する必要がある。

食品工業への応用

関連項目

参考文献

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