- 一 計功多少 量彼来処 : 功の多少を計り彼の来処を量る。
- 二 忖己德行 全缺應供 : 己が徳行の全欠を忖って供に応ず。
- 三 防心離過 貪等為宗 : 心を防ぎ過を離るることは貪等を宗とす。
- 四 正事良薬 為療形枯 : 正に良薬を事とすることは形枯を療ぜんが為なり。
- 五 為成道故 今受此食 : 成道の為の故に今この食を受く。
(略訳)
- 一、この食事がどうしてできたかを考え、食事が調うまでの多くの人々の働きに感謝をいたします。
- 二、自分の行いが、この食を頂くに価するものであるかどうか反省します。
- 三、心を正しく保ち、あやまった行いを避けるために、貪など三つの過ちを持たないことを誓います。
- 四、食とは良薬なのであり、身体をやしない、正しい健康を得るために頂くのです。
- 五、今この食事を頂くのは、己の道を成し遂げるためです。
宗派によって偈文の読み下しに若干の異同があり、臨済宗、黄檗宗では三句目を「三つには心を防ぎ過貪等を離るるを宗とす」と唱える。「貪等」とは三種の煩悩である「貪・瞋・癡」のいわゆる「三毒」を指す。これらはそれぞれ「貪欲」「怒りや憎しみ」「無知や愚かさ」を意味し、食においてはいたずらに美食や暴食する貪欲、食に嫌悪や不満を発する狭量、食の意義や作法を弁えない愚昧を戒める。
数多くの解釈があるが、曹洞宗の公式な資料としては曹洞宗宗務庁教化部刊行『曹洞宗青年聖典』 の解説、また成立の経緯や、偈文の意図を平易に説明した江戸中期の面山瑞方著『受食五観訓蒙』等がある。
なお、道元の師匠筋にあたる栄西の著した『出家大綱』正治2年(西暦1200年)には別バージョンの五観の偈の記載がある。
- 一観物功多少 (一には物の功の多少を観ぜよ)
- 二観己徳厚薄 (二には己の徳の厚薄を観ぜよ)
- 三観良薬 (三には良薬なることを観ぜよ)
- 四観施主是善知識也 (四には施主は是れ善知識なりと観ぜよ)
- 五観為得道也 (五には道を得んが為なることを観ぜよ)