交差分極
From Wikipedia, the free encyclopedia
核磁気共鳴における交差分極(こうさぶんきょく、英: Cross-polarization、略称: CP)とは、測定したい核の緩和時間が長く感度が悪い場合に、プロトンの磁化を測定する核に移動させることで、感度の向上と測定時間の短縮をする手法のことである。固体核磁気共鳴などで用いられる。

この手法は当時マサチューセッツ工科大学ジョン・S・ウォー研究室の大学院生であったMichael Gibbyとアレクサンダー・パインズによって考案され[1]、1972年に特許取得された[2]。元々はProton-enhanced nuclear induction spectroscopy(PENIS[3])という名称であったが、その頭字語(PENIS)の猥褻さのため、パルスシーケンスに提案されたこの名称は広く受け入れられることはなかった。現在は交差分極(cross-polarization)とより一般的に呼ばれている。
RF磁場の二重照射
ハートマン-ハーン条件
照射強度をハートマン-ハーン条件とすると、時間発展演算子の磁気双極子相互作用部分に時間しない部分が残る。この磁気双極子項は、RF磁場のゼーマン相互作用ハミルトニアンと交換する。
分極の移動
スピンロック
交差分極に必要な回転系での縦磁化は、スピンロックで作ることができる。初期状態として実験室系でのゼーマン相互作用の下での熱平衡磁化を考える。I、SスピンのZ磁化に90度パルスを-X軸方向からかけて横磁化を作り、Y軸方向の照射を行ってスピンロックを行う。スピンロックされた磁化(回転系での縦磁化)の状態は平衡状態でないために、系は相互作用を通して平衡状態に向かう。
一般的なCP実験では熱平衡のS磁化は利用しないことが多い。具体的にはSスピンには90度パルスを照射せずに、Sの熱平衡磁化を消している。