表題は「交響曲イ長調」であるが、全曲の主音がA音であるというだけであり、イ長調で通して書かれた楽章は存在しない。
イ短調(正確にはイ音を主音とするフリギア旋法)、4分の3拍子。序奏付きのソナタ形式。
冒頭、ホルンとファゴットのユニゾンにより、グレゴリオ聖歌風の循環主題が提示される。弦楽器、木管楽器も加わって最初の頂点を築くとアレグロの主部に入る。イ短調の飛び跳ねるような第1主題の提示のあとすぐに、ホルンにファンファーレ風の第2主題が登場する。これら二つの主題と、循環主題が駆使されてソナタ形式を構成している。展開部が比較的長めに書かれている。再現部においては、第2主題のファンファーレに導かれて、第1主題がやや変化して再現される。静かにイ短調に終結する。演奏時間約16分。
ヘ長調、4分の4拍子、ABAの三部形式。
循環主題を想起させる旋律が、フルートとファゴットに現れると、弦楽合奏で主題が提示される。次第に厚みを増してゆき、最初の頂点をへてB部分に入る。ここはやや速度を落とし、静かな、緊迫感のある音楽になる。内声の細やかな刻みが特徴的である。ヴァイオリン独奏に導かれてA部分が回帰し、ヘ長調で静かに曲を閉じる。演奏時間約9分。
ニ長調、8分の3拍子、スケルツォ。
メンデルスゾーン風のスケルツォ。木管楽器、弦楽器、ハープに現れる細やかなパッセージと、リズムの刻みの中、ファゴットにスケルツォ主題が現れる。2拍子と3拍子が同時に響く部分もあり、複雑に書かれている。トリオ部分はニ短調、4分の3拍子となり、弦楽器の絶え間ないパッセージとともに、循環主題を想起させる旋律が現れる。ファゴット、フルートに駆け回るような音形は受け渡される。スケルツォ部分が回帰し、派手なクライマックスを築いたあとは非常に静かになり、ハープのパッセージを従えてクラリネットが駆け上がって曲を閉じる。演奏時間約6分。
イ短調(正確にはイ音を主音とするフリギア旋法)、4分の6拍子(主部は2分の2拍子)、序奏付きの行進曲。
ティンパニがニ音を打ち鳴らす上でオーボエを始めとする木管楽器の掛け合いで循環主題が現れる。弦楽器も掛け合いに加わる。頂点を築いて静かになり、テンポを速めてヴィオラに行進曲の主題が提示される。途中やや速度を落として2分の3拍子となり、循環主題と新たな旋律が絡み合う。転調を重ねてもとの調で行進曲が戻ってくる。悲劇的なクライマックスののち、速度を緩め、次第に音量を落とし、循環主題がイ長調で現れる。最後はイ長調主和音の付加六の和音上に静かに終結する。演奏時間約14分。