登記の目的(令3条5号)は「登記の目的 一般の先取特権保存」(記録例322)や「登記の目的 不動産保存先取特権保存」(記録例323)のように記載する。所有権以外の権利を目的とする場合、「登記の目的 1番地上権売買先取特権保存」のように記載する(記録例327)。
登記原因及びその日付(令3条6号)の記載の例は以下のとおりである。日付はいずれも発生日である。
- 一般の先取特権保存の場合、「原因 平成何年何月から平成何年何月までの給料債権の先取特権発生」(記録例322)
- 不動産保存の先取特権保存の場合、「原因 平成何年何月何日修繕費の先取特権発生」(記録例323)
- 不動産工事の先取特権保存の場合、「原因 平成何年何月何日新築請負の先取特権発生」(記録例324)や「原因 平成何年何月何日附属建物増築請負の先取特権発生」(記録例325)
- 不動産売買の先取特権保存の場合、「原因 平成何年何月何日売買の先取特権発生」(記録例326)や「原因 平成何年何月何日地上権売買の先取特権発生」(記録例327)
債権額(令別表42項申請情報イ・43項申請情報イ・44項申請情報イ、法83条1項1号)は「債権額 金何円」(記録例322)や「工事費用予算額 金何円」(記録例324)のように記載する。
利息(民法328条・340条)は「利息 年何%」のように記載する(記録例326)。
債務者の氏名又は名称及び住所(令別表42項申請情報イ・43項申請情報イ・44項申請情報イ、法83条1項2号)「債務者 何市何町何番地 A」のように記載する(記録例322等)。
権利消滅の定め(令3条11号ニ)は、「特約 先取特権者が死亡した時に先取特権は消滅する」のように記載する。
共有物分割禁止の定め(令3条11号ニ)を先取特権保存登記において登記できるかどうかは争いがある(登記インターネット66-148頁参照)。
登記申請人(令3条1号)は先取特権者を登記権利者、先取特権設定者(不動産の所有権登記名義人など)を登記義務者として記載する。ただし、「先取特権者」「義務者」と記載するのが実務の慣行である(書式解説-29頁参照)。なお、法人が申請人となる場合、以下の事項も記載しなければならない。
- 原則として申請人たる法人の代表者の氏名(令3条2号)
- 支配人が申請をするときは支配人の氏名(一発即答14頁)
- 持分会社が申請人となる場合で当該会社の代表者が法人であるときは、当該法人の商号又は名称及びその職務を行うべき者の氏名(2008年(平成18年)3月29日民二755号通達4)。
添付情報(規則34条1項6号、一部)は、原則として、登記原因証明情報(法61条・令7条1項5号ロ)、登記義務者の登記識別情報(法22条本文)又は登記済証及び、所有権を目的とする先取特権保存登記の場合で書面申請のときには登記義務者の印鑑証明書(令16条2項・規則48条1項5号及び47条3号イ(1)、令18条2項・規則49条2項4号及び48条1項5号並びに47条3号イ(1))である。法人が申請人となる場合は更に代表者資格証明情報(令7条1項1号)も原則として添付しなければならない。
以下の例外がある。
- 書面申請の場合でも所有権以外の権利を目的とする先取特権保存のときは印鑑証明書の添付は不要である(令16条2項・規則48条1項5号、令18条2項・規則49条2項4号及び48条1項5号)が、登記義務者が登記識別情報を提供できない場合には添付しなければならない(規則47条3号ハ参照)。
- 主たる建物新築の不動産工事の先取特権保存登記を申請する場合、登記識別情報を添付する必要はない(法86条1項後段)。印鑑証明書も添付する必要はない(登記研究433-133頁)。
- 不動産売買の先取特権保存登記を申請する場合、登記識別情報を添付する必要はない(1954年(昭和29年)9月21日民甲1931号通達参照)。印鑑証明書も添付する必要はない(令16条2項・規則48条1項5号、令18条2項・規則49条2項4号及び48条1項5号)。
- 建物新築の不動産工事の先取特権保存登記を申請する場合、図面を含む設計書の内容を証する情報を添付しなければならない(令別表43項申請情報ロ・44項申請情報ロ)。
- 建物増築の不動産工事の先取特権保存登記を申請する場合、図面を含む設計書の内容を証する情報を添付しなければならない(1967年(昭和42年)8月3日民三666号回答)。
- 宅地造成の不動産工事の先取特権保存登記を申請する場合、図面を含む設計書の内容を証する情報を添付する必要はない(1981年(昭和56年)1月26日民三656号依命回答)。
登録免許税(規則189条1項前段)は債権金額又は不動産工事費用の予算金額の1,000分の4である(登録免許税法別表第1-1(5))。
所有権を目的とする先取特権保存登記は主登記で実行される(規則3条参照、記録例322)。所有権以外の権利を目的とする先取特権保存登記は付記登記で実行される(規則3条4号、記録例327)。
建物新築の不動産工事の先取特権保存の登記をする場合、登記官は表示に関する登記(法86条2項1号)をし、登記記録の甲区に登記義務者の氏名又は名称及び住所並びに不動産工事の先取特権の保存の登記をすることにより登記する旨を職権で記録しなければならない(法86条2項2号・規則161条、記録例324)。
工事が完了した後は、当該建物の所有者は1か月以内に表題登記をし(法47条1項)、遅滞なく所有権保存登記をしなければならない(法87条1項)。この場合、登記官が職権でした表示に関する登記と甲区にした登記は抹消される(規則162条1項・2項)。