児童税額控除 (イギリス)
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イギリスでは、ブレア政権の下で、「welfare to work(福祉から就労へ)」が掲げられ、社会保障制度と税制の統合が進められた。全国最低賃金制度の導入と並行して模索されたのが、稼働能力のある低所得者世帯に対する就労インセンティブ強化策である。その際に参考にされたのが、アメリカで既に導入されていた、勤労所得税額控除(Earned Income Tax Credit)であった。これは,一定の所得以下の労働者世帯に対して給付を行うとともに税負担を軽減し、稼働収入が増える分だけ手取り収入が増えるとした点で、収入の増加分だけ給付額が減少する従来型の公的扶助とは、根本的に異なるものであった。全ての納税義務者にとって同一額の控除がなされる税額控除は、高い税率が適用される納税者(高額所得者)に有利な制度である所得控除に対して、より低所得者に有利な制度であるといえ、その点でも低所得世帯に対する所得支援制度として有効だと考えられた。そして、労働党政権が進める、労働を「ペイする」ものにするという政策に合致したものであった。
そこで、この制度を参考に、就労家族税額控除制度と障害者税額控除制度という2つの制度が1999年10月より導入された。現在では、2002年税額控除法による制度改正を受けて、2003年に現行制度、すなわち、子を有する中低所得世帯の支援(有子要件のみで就労要件のない児童税額控除。Child Tax Credit: CTC)と、低所得者の就労促進策(就労要件はあるが有子要件のない就労税額控除。Working Tax Credit: WTC)とで役割分担をする形に移行した。併せて、諸制度に分散していた児童向けの支援が、児童手当を除き、児童税額控除に集約された。
支給条件
CTCの申請は、16歳未満(フルタイムの教育又は訓練を受けている場合は 20歳未満)の子を有する家族に対して与えられる。
加えて勤労者タックスクレジット(WTC)の申請も可能。WTCとCTCは共同で審査され、もし親が働いていなかったり、WTC水準以上の収入がある場合も、CTCの申請は可能である。
又、CTCの支給が出来ない場合、65歳未満の場合はユニバーサル・クレジット、65歳以上は年金クレジットに申請して、支給することが出来る。
CTCの要件を満たす家族の場合、以下の控除が与えられる。
- 子供1人当たりの児童要素:最大3,235ポンド(最大で子2人分まで)
- 障害児1人当たり:最大3,905ポンド(子要素)
- 重度障害児1人当たり:最大1,575ポンド(子要素と無効な子要素)
なお、以下の子供は、CTCの児童要素が適用される。
- 2017年4月5日以前に生まれた全ての子供
- 2017年4月6日以降に多産(双子・三つ子など)により生まれた場合、それらの子供のうち1人を除く全ての子供
- 2017年4月6日以降で、多産の最初の子供が1人目又は2人目の場合
- 2017年4月6日以降に生まれた2人目以降の同意ない性行為及び性的虐待で生まれた子供
- 2018年11月28日以降の養子縁組による全ての子供
かつて、家族要素(全ての家族が対象であり、最大545ポンド与えられた。)があったが、2016年福祉改革法(Welfare Reform Act 2016(c.7))より、2017課税年度(2017年4月6日に開始)から廃止された。 但し、条件の1にある2017年4月5日以前に生まれた子がいる場合には、従来どおりの制度が適用される。
また、子に関する負担減免措置としては、このほか、児童手当が存在する。児童手当は、16歳未満(フルタイムの教育又は訓練を受けている場合は20歳未満)の子について、第1子は週24.00ポンド、第2子以降は週15.90ポンドが支給される(全額国庫負担。歳入関税庁が執行)。従って、児童手当には所得制限がなかったが、2013年から、所得の高い方の親の収入が5万ポンドを超える場合には超過分に課税されることになり(手当を受給しない場合には課税なし)、事実上の所得制限が導入されている。