共喰山
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ナイジェル・クリスチャンセン
ジョン・コーダクス
ナイジェル・クリステンセン
ジョシュ・リード
| 共喰山 | |
|---|---|
| PRIMAL | |
| 監督 | ジョシュ・リード |
| 脚本 |
ジョシュ・リード ナイジェル・クリスチャンセン |
| 製作 |
ロブ・ギブソン ジョン・コーダクス ナイジェル・クリステンセン ジョシュ・リード |
| 製作総指揮 | ジェームズ・クロフォード |
| 出演者 |
ゾーイ・タックウェル=スミス レベッカ・フォード クリュー・ボイラン リンジー・ファリス |
| 音楽 | ロブ・ギブソン |
| 撮影 | ジョン・ビギンズ |
| 編集 | ジョシュ・リード |
| 製作会社 | プライマル・フィルムズ |
| 配給 |
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| 公開 |
|
| 上映時間 | 84分 |
| 製作国 |
|
| 言語 | 英語 |
『共喰山』(ともぐいやま、原題:PRIMAL)は2010年に公開されたオーストラリアのホラー映画。日本では2011年にキングレコードの配給で劇場公開された。原題は“原始的”の意味。
1万2千年前、ひとりのアボリジニの男性が黙々と壁画を描いている。多足類の怪物の前で股を大きく拡げた人間、陰唇(女性器)の絵、大きな腹の妊婦、そして牙が生えた人間から逃げまどう人々の絵を描き終わった頃、背後から迫る影によって男は喰い殺される。
時は流れて現代。20代の男女6人のチームは、アーニャの遠い親戚が残した絵と資料を手掛かりに、オーストラリアの古い壁画を捜すために車を走らせていた。目的地らしき山の洞窟を抜けて一同はキャンプを設置する。問題の壁画を見つけたウォーレンは、奇妙なイカに見える不気味な絵が危険を知らせるものではないかと言い、大きな女性器にしか見えない絵にデイスとクリスは笑いつつも、何か意味があるのかもと語る。その夜、開放的になったメルは全裸になって池で泳ぎ、大量のヒルに襲われた。高熱を発したメルの容態はどんどん悪化し、出血と共に抜け落ちた歯は獣のような牙に生え変わる。翌朝、狂暴な食人鬼と化したメルは恋人チャドの腕に噛みつき、焚き火の火を恐れて逃亡する。罠を張ってメルを捕えようとするも失敗し、ウォーレンが喰い殺された。
メルから逃れるためにデイスは池に飛び込むが、それが原因でメルと同じ症状に陥り、クリスは彼が狂暴化する前に殺そうと提案する。苦しんでいるデイスの変調を察知したメルが現われ、彼を同族として連れて行こうとする。メルはウォーレンの死体の一部を引き裂いて洞窟に生け贄として捧げた。チャドはメルに理性を取り戻すよう説得を試みるが、逆に指を喰いちぎられてしまう。完全に食人鬼化したデイスは、捕まえたクリスを連れ去り、洞窟に生贄として捧げた。数時間後、洞窟の方向からクリスの凄まじい絶叫が聞こえ、チャドはまだ恐ろしい何かが待ち構えていることに怯える。食人鬼たちはなぜか洞窟を恐れて中に入らないことに気付いたアーニャは、洞窟内を通ってここから脱出する案をチャドに持ちかけ、武器の鉈とたいまつ用の木を手に2人は深夜の洞窟へと向かう。
道中、茂みの奥でメルとデイスが獣のような姿勢で交尾している現場を見た。怒り狂ったチャドはデイスに飛びかかり、格闘の末に両者は共倒れする。たいまつに火を点けて洞窟の中を進むアーニャは、途中で妊娠状態のクリスを発見した。ふいにアーニャは両手足を触手で縛られて転倒し、股を拡げた彼女の前に軟体の巨大な怪物が姿を現す。それはまさに先住民が1万2千年前に描き残した、人間を狂暴化させ、触手で女性器を犯して孕ませる太古の怪物であった。壁画の伝承通り怪物の子種を性器内に射精され、短時間で臨月の妊婦と化したクリスは、自ら下腹部を鉈で切り開き胎児を取り出す。まだ生きている怪物の胎児を鉈で殺したクリスは、触手で壁に叩きつけられ死亡した。アーニャのショートパンツに侵入した触手が性器に挿入されようとした時、彼女は鉈でそれを振り払い、出口を目指して疾走する。洞窟を抜けると夜が明けており、メルが頭上からが襲いかかってきた。アーニャはメルを木に叩きつけて背骨を折った後、動けなくなった彼女の頭部を石で破壊し、その死体に「CUNT(クソ野郎)」と呟く。
キャスト
| 役名 | 俳優 | 日本語吹替[2] |
|---|---|---|
| アーニャ | ゾーイ・タックウェル=スミス | 東條加那子 |
| クリス | レベッカ・フォード | 菅野麻由 |
| メル | クリュー・ボイラン | 小日向みわ |
| チャド | リンジー・ファリス | 逢笠恵祐 |
| ウォーレン | ダミアン・フリーリーガス | 茶花健太 |
| デイス | ウィル・トラヴァル | 遠藤大智 |
| 入植者 | スティファン・シャナハン | |
| 入植者の娘 | チャスカ・キューバ・デ・リード | |
| 入植者の息子 | サンティアゴ・キューバ・デ・リード | |
| 日本語版制作スタッフ | ||
| プロデューサー | 山口幸彦 | |
| 演出 | 高橋正浩 | |
| 翻訳 | 橋本真砂子 | |
| 録音 調整 | 徳久智成 | |
| 制作担当 | 宇出喜美 長谷川恭子 | |
| 日本語版制作 | キングレコード ニュージャパンフィルム | |
※日本語吹替は2011年発売の国内盤DVDに収録
スタッフ
- 監督 - ジョシュ・リード[1]
- 製作 - ロブ・ギブソン[1]、ジョン・コーダクス[1]、ナイジェル・クリステンセン[1]、ジョシュ・リード[1]
- 製作総指揮 - ジェームズ・クロフォード
- 脚本 - ジョシュ・リード[1]、ナイジェル・クリスチャンセン[3]
- 音楽 - ロブ・ギブソン[3]
- 撮影 - ジョン・ビギンズ[1]
- 編集 - ジョシュ・リード[4]
- キャスティング - カースティ・マクレガー[3]
- 視覚効果監修 - ダグ・ベイン[1]
- 特殊メイク - ジェーン・ホルダー[4]
- マットペイント - ニコール・マザー[4]
- プロダクションデザイン - ジプシー・テイラー[1]
- 衣装デザイン - エミリー・シュルツ[1]
- ロケーション・マネージャー - アンナ・ハミルトン[4]
製作
この映画の脚本はプロデューサーのナイジェル・クリスチャンセンと、監督を務めたジュシュ・リードの2人で考えた構成に基づき、ナイジェル、リードの共同で書き上げられた[5]。
本作は様々なエンタメ作品からインスピレーションを受けているとのことで、その中でも特に影響が強いのは日本のアダルトアニメに多く見られる“触手凌辱もの” [注 1]であり、リードはこれを「tentacle porn(触手ポルノ)」と呼んで以下のように話している。「『共喰山』には他の映画から着想を得た要素が沢山ある。日本の触手ポルノがこの映画に影響を与えたことは明らかだし、厳密にいうとこれはゾンビ映画じゃないんだけど、そのゾンビものへの愛もあるよ。でも一番インスピレーションを得たのは、オーストラリアの映画産業への不満と、官僚への盲目的な従属姿勢だね。この業界を牛耳っているクソ野郎どもを怒らせたかった。あいつらの美学とか価値観、趣味、そういったものを一切採り入れない映画を作りたかったんだよ」[6]。
オーストラリア大陸の先住民アボリジニが壁画に描き残した伝説も取り扱っているが、リードによると、自分たちはドキュメンタリーを製作しているわけではなくホラー映画を作っているのだから、アポリジニに関する要素や設定は、フィクションを縛るほど厳密には考えていないという。映画に登場する壁画は、本作の美術デザイナーの女性、ジプシー・テイラーが担当した。テイラーはオーストラリアに残っている色々なタイプの壁画を勉強した上でスケッチを起こし、1から新しい壁画を考案して岩に描いた[6]。
本作の男性キャラクターたちが情けない人物に描かれているが、男性批判というわけではなく、物語の進行と共に女性キャラのアーニャが孤独を深め、1人で立ち向かわざるを得ない状況にするためである。リードの考えでは「2人の強い主人公が力を合わせれば脅威は薄れてしまうが、強さを模索する女性に足手まといの男性がついて行けば、強いキャラの足を引っ張る存在によって脅威は増して行く」ということで、本作の男性キャラクターたちは面倒な性格付けにしているとのこと[6]。
キャスティング
低予算の映画製作だったことから、当初はオーディションで広く出演者を公募する予定だったが、登場人物が少ない故に演技力の高い役者に出てもらうことが重要だとリードは考え、キャスティング分野に専門知識を持つカースティ・マクレガーに依頼をした[6]。
リードはホラー映画の主人公は女性が良いだろうと考えており、それは男性の観客層に“守りたい”という男性固有の本能を持たせ、同時に女性の活躍を描くことで女性の観客の共感を呼ぶからだと分析している。 この映画は、怪物の触手が女性を孕ませる触手ポルノの要素を持たせていることから、その反動で女性主人公アーニャをバイタリティのある強いキャラクターに描いている。リードは「俺は強い女性が大好きなんだ。我慢の限界を超えてブチ切れる、血まみれの女性は特に素晴らしいね」と話している[6]。
キャストのクリュー・ボイランとウィル・トラヴァルは過去にホラー映画の出演歴がなく、トラヴァルは刑事ドラマや医療ドラマなどで8年間、テレビ業界で仕事をしていた俳優であった。ボイランはオーストラリア界のテレビと演劇の仕事を続けていた女優で、ホラー作品の経験がなかっただけに、本作のような攻撃的な怪物になるキャラクターは刺激的で、挑戦のしがいがあったという[5]。狂暴化したメルがジャンプしながら襲いかかるシーンは、スタントマンを使わずにボイラン自身がトランポリンを使って飛んでいる。ボイランはインタビューで以下のように語った。「私は昔ダンサーだったし、ジョシュ(リード)が“君は体格が良いし、弱虫なガリガリ女優じゃないからきっと出来るよ”と言ってくれたんです。マットの着地を何回かミスることもあったけど、自分でスタントをやると凄くアドレナリンが出て楽しいの!」[5]。