膜状凝縮の理論的解析には、ヌセルトの水膜理論(1916)が知られている。実際の熱伝達率は理論値より高くなることが多いが、この理論は良い近似を与える。
この理論では以下の仮定を置くことで現象をモデル化している[2]。
- 冷却面温度TW は一定
- 気液界面の液温は飽和蒸気温度TS で一定
- 冷却面は平滑、気液界面も滑らか(波立ったりしない)
- 液膜は通常薄いことから、凝縮液膜内の流れは層流
- 液膜内の対流熱伝達は無視し、熱は熱伝導のみで伝わる
- 蒸気流速は小さく、気液界面にせん断力は作用しない
- 蒸気は純粋の乾き飽和蒸気
- 物性値は一定
鉛直な冷却面状で蒸気が凝縮し、液膜ができる状況を考える。液膜発生点を起点に、冷却面に平行下向きにx軸を、それに垂直にy軸を取る。位置x における液膜厚さδ は次で表される。

ただし、右辺の各無次元数は
:顕潜熱比
:グラスホフ数
:プラントル数
であり、
である。
位置x における局所熱伝達率と、液膜上端からx までの平均熱伝達率はヌセルト数の形で次のように表される。

また、水力直径4δ と平均流速umean で定義される膜レイノルズ数

を用いると、平均熱伝達率hmean は次式で表される[1][3]。

ここで左辺は凝縮数と呼ばれる無次元数である。
冷却面が鉛直から角度θ だけ傾いている場合は、以上の議論のうち重力加速度g をg cosθ に置き換えればよい。
凝縮液密度ρl が蒸気密度ρv より十分大きい場合、グラスホフ数は次のガリレイ数に置き換えることができる。
