分散型海上作戦

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分散型海上作戦(ぶんさんがたかいじょうさくせん:Distributed Maritime Operation, DMO)は、アメリカ海軍を中心として開発されている軍事コンセプト。センサーや攻撃兵器、艦艇などプラットフォームを広く分散させ、探知や妨害に対する強い耐性を持つネットワークで連接し、優れた状況認識を得るとともに、水上・水中・空中・陸上など全ての領域で高い戦闘力を発揮しようというものである[1]

DMOは、2015年1月に米海軍水上部隊司令官 (ComNavSurFor) トーマス・ローデン中将をはじめとする3人の将官が『プロシーディングス』誌への寄稿によって提唱した分散型攻撃力Distributed Lethality, DL)コンセプトを原型とする[2][注 1]。ローデン中将らの論文では、冷戦終結以降のアメリカ海軍は挑戦を受けることのない支配的な海軍となった結果、敵海洋戦力の撃破という伝統的任務が等閑に付されて対地戦力投射に過度に偏重し、水上部隊はバランスを欠くかたちで発展を遂げてマインドセットは防御主体に変容し、制海のための攻撃能力が低下しているという問題認識が示された[4]。この問題に対して、全ての水上戦闘艦の艦対艦ミサイルを強化するとともに、対空戦用に開発されているNIFC-CAを敷衍してネットワーク化を進め、更にその装備を揚陸艦補給艦にも拡大することで攻撃力の増大を志向したのがDLコンセプトであった[1][5]

2015年3月、海軍・海兵隊沿岸警備隊の3軍は、2007年の「21世紀のシーパワーのための協調戦略」 (CS21) を改訂し、同名の文書としてあらためて公表したが、DLコンセプトはこの改訂において正式に盛り込まれた[1][6]。同年6月にはDLタスクフォースが設置され、海軍大学では同年中に3回のワークショップ、海軍大学院(NPS)では同年および翌年に2回の兵棋演習が実施された[7]。またCS21の改訂に基づいて、2015年6月にはワシントンD.C.において海軍・海兵隊の上級指揮官による協議がもたれ、海軍がどのようにして沿岸地域及びその周辺で作戦すべきかを記述する構想の必要性が認識された[2]。この構想は両軍種の合同作業によって策定する必要があることも同時に認識されたことから、同年8月より、海軍戦闘開発コマンド (NWDC) と海兵隊戦闘研究所 (MCWL) が共同で「係争環境における沿海域作戦」(LOCE)コンセプトの作成に着手した[2]

DMOコンセプトへの発展

脚注

参考文献

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