別離 (漫画)
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リアリズム
本作は、つげ50歳の時の作品。つげの「私小説」的作風が極まった作品であり、自身の内縁の妻であった女性との2年間の同棲生活の破綻、葛藤、絶望を描いたものである[2]。それまでの『無能の人』シリーズに見られた諧謔やユーモアは影を潜め、冷徹なまでのリアリズムと虚無感が全編を支配している点が特徴である[4]。初出時のタイトルは「別離」であったが、後に同名の短編集の表題作として収録された[5]。
同じ女性との同棲生活を描いた『チーコ』で描いた主人公や相手の女性とは全く性格を異にして描かれている。女性は『チーコ』では性格はきつくても純情な面をも持ち合わせたように描かれ、鳥が飛んでいき最後には別離を暗示するようには描かれながらも甘さがあったがそれも消えてひたすら暗くリアルに描かれる。つげ自身は、『別離』のほうが真実に近いと述べ、『チーコ』を描いたときには自分はまだ若く、若さと甘さ、ロマンがあった。50歳になり、人生の錯覚と幻想を一切剥ぎ取り、徳田秋声のように赤裸々に描きたい気持ちが強まった。しかし、一方でディテールのリアリティのある描写に関しては創作が相当含まれ、事実と誤解されやすいが、それでもかまわないとも述べている[2]。
作中には、国子が他の男と1日にセックスを何回したのか主人公が詰問する場面が描かれ、「1回なら許せるが4,5回じゃ、もうダメだと思った」という箇所があるが、権藤晋は「つげさんって助平だな、と思わてもいいわけですね?」と問われ、「そういうとこ、ウソ描けるんです」と答えている[2]。
続編
この作品は現在のところ絶筆にはなっているが、当初はすでに1本、ストーリーは作っていた。そこで一度別れた男女は再会し、一緒には棲まないがまだ関係は続くという展開になっていた。権藤に描かない理由を聞かれ、「自分は、金があれば描かないんですよ」と答えている。創作意欲などというものはなく、生活さえできればいい。『義男の青春』は注文なしで描いたため、売り込みやすいようにエンターテイメントの要素を入れたが、今は状況が変わり何を描いても許されるから、遠慮なく暗さをまき散らしてやろうと思っているなどと語っている[2]。