北海道礼文高等学校
北海道礼文町にある公立高校
From Wikipedia, the free encyclopedia
北海道礼文高等学校(ほっかいどうれぶんこうとうがっこう、Hokkaido Rebun High School)は北海道礼文郡礼文町にある公立(道立)の高等学校。日本で最も北にある高等学校。生徒数44名で、内道外からの生徒は13名[1](2026年(令和8年)現在)。
北海道の北部、稚内の西方60kmの日本海上に位置する礼文島で唯一の高校。北海道の離島にある高校は同校の他に北海道天売高校、北海道利尻高校、北海道奥尻高校がある[注 1][3]。
2020年(令和2年)度入学生より、「礼文高校魅力化プロジェクト」の一環として「最北れぶん留学」と称して全国から生徒募集を開始した[4]。全国からの学生募集にあたり寮を2020年(令和2年)4月に新設、島内移動のためのバス運賃や昼食費助成、帰省交通費助成、保護者来島交通費助成などの就学支援制度も併せて設定された[5]。また、アメリカに姉妹校を持ち、1年生を対象に約2週間の短期留学が行われる。この他、礼文島について学ぶ「高山植物」や「漁業」といった自然教育も行なっている。
象徴
沿革
略歴
同校は1978年に稚内高校の分校として開校[6]。2年後に独立した[6]。礼文島内唯一の高校として、2006年度から礼文島について学ぶ「礼文学」を行っている[9]。 礼文島の人口減少に伴い入学者数が減少したことから、生徒確保を目的として2012年度からアメリカ留学を開始した[10]。また、離島であるため履修できる教科が限られるという課題に対応するため、2013年度から通信教育を導入した[11]。しかし、その後も入学者数の減少に歯止めがかからず、2018年には廃校の危機に直面した[12]。そこで、島内のみを対象とした学校運営には限界があるとの判断から、2020年度より全国を対象とした留学生募集を開始した[13]。
年表
- 1978年(昭和53年) - 北海道稚内高等学校礼文分校として開校[6]。
- 1980年(昭和55年) - 北海道礼文高等学校として独立[6]。
- 1992年(平成4年) - ロシアサハリン州ユジノサハリンスク市との交流事業開始[6]。
- 2006年(平成18年)- 「礼文学」の開始[9]。
- 2011年(平成23年) - ユネスコスクール加盟[6]。千歳科学技術大学との高大連携協定を締結[6]。
- 2012年(平成24年)- アメリカ留学の開始[6]
- 2013年(平成25年)- 通信教育の開始[6]。
- 2019年(令和元年) - 新入生全国募集を開始[14]。アメリカ・カリフォルニア州John Muir Middle Schoolと姉妹校協定を締結[6]。
教育の特色
最北れぶん留学
北海道には「5月1日現在の第1学年在籍者数が10名未満となり、その後も生徒数増が見込まれない場合には再編整備」という方針があった[12]。2018年度、町内の20名の中学校卒業生のうち、同校への新入生は9名にとどまり、廃校となる可能性が懸念されていた[12]。島内の高校が廃校となれば、中学校卒業後に生徒が必然的に島外へ進学することとなり、それをきっかけとして家族ごと転出する事態につながるため、町は高校を存続させたかった[13]。このような中、同2018年度に離島のような地域特性を持つ場合は道外からの生徒を受け入れられるよう入学者選抜制度が緩和された[15]。町内の中学生のみを対象とした政策には限界があるとして、全国に向けて打ち出したのが「最北れぶん留学」である[13]。
2018年7月から「礼文高校魅力化推進委員会」が発足し、全国募集の検討を開始した[16][12]。この後、2020年度から、全国から生徒の募集を開始した。初年度は、千葉県から4名、埼玉県から1名、愛知県から1名、稚内から2名、旭川から1名の道外6名、道内3名の留学生を受け入れた[17]。留学生は全員、学生寮「ポラリス」で暮らすこととなる[18][17]。(詳細は学生寮「ポラリス」)
町は毎年12名程度の島留学生の受け入れを目指すとしている一方[19]、北海道新聞の報道では毎年8名程度が入学しているという[20]。初年度の留学生の卒業生は8名で、内4名が島内に就職した[21]。
公式サイトでは、礼文島に留学する魅力として島内の自然と文化が紹介されている。自然について、次の点が挙げられている[22]。
また、文化面ではアイヌ文化やオホーツク文化の遺跡に接することができる点を挙げている。
地方紙・稚内プレスではこの取り組みについて「大自然に恵まれた環境の中でそれぞれ〝自分探し〟をしているようだ。」とし、「〝花の浮島〟での3年間は得難い経験をし、思うに人間として逞しくなることであろう。」と述べている[23]。
海外交流
同校の初めての海外交流は1992年から2002年にかけてロシア・ユジノサハリンスク市との交流事業である[6]。
この後、2012年度からアメリカに留学を行なっている[10]。カリフォルニア州の「John Muir Middle School[24]」と姉妹校であり、2週間の短期留学を行なっている[25]。開始当初は希望制であったが[10]、2021年現在は1年生を対象としている[25]。生徒はカリフォルニア州の都市・ロスアンゼルスで短期ホームステイをし、現地の高校生との交流や自然・文化の体験を行う[25]。
小野徹町長は、礼文島では観光業が盛んであり、英語を使用する機会のある仕事が多いとして、実践的な英語教育に期待を示している[26]。
通信教育
同校では教員が不足しており、生徒の希望に合わせた教科・科目が設置できないという問題があった[27][11]。この課題を解決するため研究開発学校制度を活用し[11]、2013年度に倶知安高校、釧路湖陵高校、岩内高校、有朋高校と通信教育を開始した[28]。
令和3年度には道内の通信教育施設を有朋高校に集約し、同校に北海道高等学校遠隔授業配信センター(Tーbase)を設置した[29][27]。礼文高校は「書道I」といった教科が配信授業で行われ[27][30]、進学のための夏季遠隔講習も行われている[31]。この通信教育は文部科学省の指定事業に指定されている[32]。
自然教育
2003年度から総合的な学習の時間で礼文島内の高山植物について学ぶようになった[33][34]。2006年度に礼文島について学ぶ「礼文学」が同校で行われるようになると、その一環で「高山植物学習」として組み込まれた[9][34]。2008年度からは科目として独立し、道教委から環境教育プロジェクト校の指定を受けた[34]。
1年次から「高山植物」の学習を行い、島内の自然について学ぶ[35]。3年生の前期には観光ガイドとして6月から7月にかけて3回、島内の自然について観光客に説明する[36]。地元でツアーガイドといった観光業を目指すための生徒の支援も行なっている[37]。
また、漁業連合組合と連携した「漁業」科目も設定されている[37]。将来地元で漁師を目指す生徒のために、漁業研修所への入所や漁業就業フェアへの参画といった担い手育成のための支援を行なっている[37]。
これらの学習と並列して、修学旅行先で礼文島のPRすることを通してコミュニケーション能力を養う学習もしている[34][36]。
助成金
同校には礼文高校生向けにいくつかの支援制度がある。
資格取得費助成は以下の資格のうち、「校長が受験の必要があると認めた資格」の取得を助成する制度のことである。島内で受けられない場合はフェリー往復の交通費の全額、陸路の交通費や宿泊費の一部助成が行われる[38]。
- 日本漢字能力検定
- 数学検定
- ビジネス文書実務検定
- 全商情報処理検定
- 実用英語技能検定
- 危険物取扱者
- 硬筆毛筆検定
- ニュース時事能力検定
- 全商簿記実務検定
- 日商簿記検定
- 介護職員初任者研修
- 小型船舶免許2級
帰省交通費助成は、生徒が帰省するときの往復交通費の半分までを町が助成する制度である。上限は50000円、年4回まで利用可能である。また、保護者は年2回まで50000円を上限に来島時の往復交通費を助成する保護者来島交通費助成もある[38]。
この他、学生寮の寮費に対する月額4万円の助成をはじめ[39]、制服等購入費助成、教科書等購入費助成、端末機器購入費助成、バス運賃助成などが行われている[38]。また、「礼文町育成資金」による奨学生の募集も実施している[40]。
部活動
施設
学生寮「ポラリス」
学生寮「ポラリス」は同校の寮で、留学生はこの寮で暮らすこととなる[18]。男子棟に16室、女子棟に20室がある[43]。
校舎から南に約7キロ[17]から8キロ[5]の位置にあり、バスで12分、自転車で25分かかる[44]。愛称の「ポラリス」は礼文高の在校生が名付けた[17]。
築10年の旅館を改修したもので、総事業費は1億円であった[17]。
各居室に、収納棚・ベッド・冷蔵庫・デスク・デスクライト・イス・カーテンが備え付けられ、全室個室である。共用の設備としてはダイニングテーブル、トイレ、大浴場などがあり、Wi-Fiが通っている[43]。
寮生同士の交流を深めるため月に一度、全員で夕食会を行なっている。また、常駐の管理人がおり、不在時の宅配便や急病時の対応のほか、相談にも応じている[43]。
備考
礼文高校は日本で最北の高等学校である。礼文高校ができるまでは稚内高校が最北であった。最北端、最東端、最南端、最西端の高校は以下の通り。
- 北海道礼文高等学校(最北端)
- 北海道根室高等学校(最東端)
- 沖縄県立八重山商工高等学校(最南端)
- 沖縄県立八重山農林高等学校(最西端)

