南シナ海判決

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裁判所国連海洋法条約附属書VII仲裁裁判所
正式名1982年の国連海洋法条約附属書VIIに基づく南シナ海問題に関するフィリピン共和国と中華人民共和国の仲裁裁判
An Arbitration before an arbitral tribunal constituted under Annex VII to the 1982 United Nations Convention on Law of the Sea between the Republic of the Philippines and the People's Republic of China
判決2016年7月12日
引用PCA Case No. 2013-19
フィリピン共和国 v. 中華人民共和国
The Republic of the Philippines v. The People's Republic of China
裁判所国連海洋法条約附属書VII仲裁裁判所
正式名1982年の国連海洋法条約附属書VIIに基づく南シナ海問題に関するフィリピン共和国と中華人民共和国の仲裁裁判
An Arbitration before an arbitral tribunal constituted under Annex VII to the 1982 United Nations Convention on Law of the Sea between the Republic of the Philippines and the People's Republic of China
判決2016年7月12日
引用PCA Case No. 2013-19
謄本https://pca-cpa.org/en/cases/7/
決定
「九段線」内の海域に対する中国の歴史的権利の主張は、国連海洋法条約(UNCLOS)上の権利を超え、それに反するものについては、合法的な法的効力を持たず、認められない[1]

中国が「九段線」内の海域の資源に対する歴史的権利を主張する法的根拠はない[1]

スカボロー礁ガベン礁(北側の礁のみ)、ケナン礁ヒューズ礁を含む)、ジョンソン南礁クアテロン礁及びファイアリー・クロス礁は、いずれも国連海洋法条約第121条3項の適用上、「岩」であり、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持すること」ができる海洋地勢ではなく、EEZ及び大陸棚を形成しない。その為、12海里の領海のみを有する[1]

南沙諸島の「高潮高地」はいずれも、国連海洋法条約121条3項で定める「人間の居住又は独自の経済的生活を維持すること」ができる海洋地勢ではなく、EEZ及び大陸棚を形成しない。

ミスチーフ礁セカンドトーマス礁及びスビ礁は、いずれも満潮時に海面下に沈む「低潮高地」であり、いかなる海洋権限も有さない[2][3]

中国は、「海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約」上の規則の違反にあたる。また、同規則は一般的に受け入れられている国際的な規則、手続及び慣行を構成するものであるから、同時に「海上安全に関する国連海洋法条約」第94条の義務への違反にもあたる[1]

中国は、紛争が紛争解決手続に継続している間には、紛争を悪化・拡大させない義務に違反し、仲裁裁判所による判決をより困難にしたことによる紛争を悪化・拡大させる行為があったと認める[1]
裁判所の面々
裁判官仲裁人:
トーマス・メンサ英語版
裁判員:
ジャン=ピエール・コット英語版
ルディガー・ヴォルフルム英語版
Alfred H. Soons
スタニスワフ・ポーラク英語版

南シナ海判決(みなみシナかいはんけつ)では、1982年国連海洋法条約附属書VII[4]に基づく南シナ海問題に関するフィリピン共和国中華人民共和国の仲裁裁判英語: Matter of the South China Sea Arbitration before an Arbitral Tribunal constituted under Annex VII to the 1982 United Nations Convention on Law of the Sea between the Republic of the Philippines and the People's Republic of China)、通称、南シナ海仲裁裁判 (みなみシナかいちゅうさいさいばん、: South China Sea Arbitration)の判決(裁定)について説明する。

この事件は、中華人民共和国が、海域や島々の領有権を有すると主張してきた、いわゆる九段線[5]に囲まれた南シナ海の地域について、フィリピンが国連海洋法条約の違反や法的な根拠がない権益の確認を常設仲裁裁判所に対して申し立てた仲裁裁判である。

2013年からフィリピンは中華人民共和国に対して警告を行ってきたが、中華人民共和国側が拒絶してきたため、2014年、フィリピンは常設仲裁裁判所に対してパネルを設置し、仲裁を要望した。

2016年7月12日オランダハーグの常設仲裁裁判所は、九段線とその囲まれた海域に対する中華人民共和国が主張してきた歴史的権利について、国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」とする判断を下した[6][7][8][9][10]

フィリピン側の提訴から常設仲裁裁判所の判決(本項判決)までの間、中国政府は仲裁裁判への出廷を拒否し、人工島の建設を継続した[1]

判決の概要

本判決では、中国の主張する九段線はほぼ認められず、フィリピン側の実質勝訴となった。本裁判は国連海洋法条約附属書VIIに基づき設置された裁判所であるため、本裁判所が管轄できる範囲は国際海洋法のみであり、陸等の領域主権については争えない。そのため、領域主権ではなく島自体について争われる事となった。

常設仲裁裁判所は、九段線内にある島々については、いずれも国連海洋法条約第121条3項の適用上、「岩」であるとし、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持すること」ができる海洋地勢ではなく、EEZ及び大陸棚を形成しないと判断した。その他、裁判所は中国の人工島の建設活動によって第192条の海洋環境を保護・保全する義務、海洋環境を汚染する浚渫の実施により第194条1項、及び稀少・脆弱な生態系および絶滅危惧種等の生息地を保護・保全する義務に違反したと認めた[1]

  • 中国の「九段線」内の海域に対する歴史的権利の主張は、国連海洋法条約(UNCLOS)上の権利を超え、それに反するものについては、合法的な法的効力を持たず、認められない[1]
  • 中国が「九段線」内の海域の資源に対する歴史的権利を主張する法的根拠はない[11]
  • スカボロー礁ガベン礁(北側の礁のみ)、ケナン礁ヒューズ礁を含む)、ジョンソン南礁クアテロン礁及びファイアリー・クロス礁は、いずれも国連海洋法条約第121条3項の適用上、「岩」であり、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持すること」ができる海洋地勢ではなく、EEZ及び大陸棚を形成しない。その為、12海里の領海のみを有する[1]
  • 南沙諸島の「高潮高地」はいずれも、国連海洋法条約121条3項で定める「人間の居住又は独自の経済的生活を維持すること」ができる海洋地勢ではなく、EEZ及び大陸棚を形成しない
  • 私人が伝統的漁業や零細漁業を行う権利は国際法上認められ、保護されており、2012年5月以降に中国が行ったフィリピン漁業者による操業の禁止は伝統的漁業権を侵害するものであってそれを尊重する義務と整合しない[1]
  • 中国は、「海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約」上の規則の違反にあたる。また、同規則は一般的に受け入れられている国際的な規則、手続及び慣行を構成するもであるから、同時に「海上安全に関する国連海洋法条約」第94条の義務への違反にもあたる[1]
  • 中国の人工島の建設活動は第192条の海洋環境を保護・保全する義務、海洋環境を汚染する浚渫の実施により第194条1項、及び稀少・脆弱な生態系および絶滅危惧種等の生息地を保護・保全する義務の違反にあたる。中国は、紛争が紛争解決手続に継続している間には、紛争を悪化・拡大させない義務に違反し、仲裁裁判所による判決をより困難にしたことによる紛争を悪化・拡大させる行為があったと認める。加え、中国は人工島建設にあたって南シナ海近隣諸国に対し調整や協力について怠り第197条及び第123条の下での協力義務違反にあたる。さらに、中国政府が「海洋環境に対する重大かつ有害な変化をもたらす恐れ」について一切の嫌疑をかけなかったことは合理性に欠け、第206条の違反にあたる[1]
  • ミスチーフ礁セカンドトーマス礁及びスビ礁は、いずれも満潮時に海面下に沈む「低潮高地」であり、いかなる海洋権限も有さない[2]
  • 本仲裁判決で決定されていないあらゆる争点についてのさらなる検討及び命令を留保する[1]

各国の反応

脚注

外部リンク

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